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訓練
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神殺し稼業をしていたマリクに思わぬ依頼が舞い込んだ。
「妻の仇を自分で取りたい。
自分で神を殺せるように鍛えて欲しい」という依頼であった。
それがマリクとキュクロープスの出逢いであった。
神々との戦いで片目を失うキュクロープスは「隻眼の悪魔」「一つ目の魔神」と名を轟かせる。
この後、各地からマリクやキュクロープスの元に弟子入り志願者が殺到する。
キュクロープスは神殺しの訓練を受ける者達にこう言った。
「神が強いのは最初だけだ。
正しい訓練をすれば人間は神を遥かに陵駕する。
それに神は集団行動を苦手としている。
おまけに神は戦闘前に戦術を立てない。
正しい訓練を行い、正しい軍団を作り、正しい戦術を立てれば負ける事はない。」
世界のそこら中でマリクとキュクロープスの弟子達が神殺しを始めた。
彼等は国に招かれ、軍隊としての神の殺し方をレクチャーする。
邪神と呼ばれる者達も「神殺し」のレクチャーに加わった。
こうなるともう、狩る側と狩られる側が逆転する。
神は神界にこもり人間界には来なければ良い・・・はずなのに神のプライドがそうはさせない。
精鋭部隊で神々は人間界に攻めて来た。
この時、戦況は拮抗していた。
もうこの時点で神は負けを認めるべきであった。
戦闘で生き残った人間はレベルアップして強くなる。
神はレベルアップしても強さは大して変りはない。
その上人間と神ではその繁殖力にも大きな差があった。
人間は減った軍勢は即座に補充されたが、神は軍勢は減ったら補充される事はなく単純に戦力ダウンであった。
しかもレベルアップした者達の分、人間の軍勢は強くなっている。
人間の軍隊は戦闘を積む度、軍隊としてのレベルもアップして強くなっていく。
急速に強くなる者達と、急速に弱くなる者達とで均衡が崩れるのは一瞬だった。
大軍勢で人間界に攻め込んで大敗北を喫した神々はその数を大きく減らした。
この戦闘で人間達は沢山の神々を捕虜として拘束していた。
今まで一方的に攻め込まれていた人間達は、神界に攻め込む足掛りを得た。
神の徹底した個人主義のせいで「命が助かるなら」という条件で神界に人間を案内するらしい。
「ふざけるな。私は脅しに屈しない。殺すのであれば殺せ!」という神は全く存在しなかった。
「命を惜しむな。名を惜しむめ」という考え方は人間の物であるらしい。
「生き残るためなら味方も裏切るし、靴もなめる」という神の姿はいっそ清々しく、生への執着に満ちていた。
神界がほぼ人間の物となり、人間に奴隷として従属する神が珍しくなくなった頃、マリクは思った。
両陣営、沢山の者が死んだ。
人間が神を蹂躙する・・・神がかつてやっていた事を人間がやるのでは意味がない。
この争いの歴史に終止符を打とう。
次の戦いを最期の戦いにしよう。
マリクは捕虜となった神の軍勢の将軍に言った。
「おい、お前らもう勝ち目はないぞ?
でも俺はお前らにチャンスをやろうと思っている。
次の戦いを俺は最終戦闘にしようと思っている。
お前らが次の戦いに勝てば今までの負けは全部チャラだ。
お前ら神々の勝ちだ。
人間はおとなしく人間界に帰る。
だが次の戦いを最終戦闘にするには条件がある。
『大将は神の親玉』だ。
人間の軍勢の親玉は俺がつとめる。
親玉同士で勝負するのが一発勝負ではわかりやすいだろ?」
これが後に語り継がれる『神殺しの七英雄』と呼ばれる男達と神々との最終戦闘である。
「妻の仇を自分で取りたい。
自分で神を殺せるように鍛えて欲しい」という依頼であった。
それがマリクとキュクロープスの出逢いであった。
神々との戦いで片目を失うキュクロープスは「隻眼の悪魔」「一つ目の魔神」と名を轟かせる。
この後、各地からマリクやキュクロープスの元に弟子入り志願者が殺到する。
キュクロープスは神殺しの訓練を受ける者達にこう言った。
「神が強いのは最初だけだ。
正しい訓練をすれば人間は神を遥かに陵駕する。
それに神は集団行動を苦手としている。
おまけに神は戦闘前に戦術を立てない。
正しい訓練を行い、正しい軍団を作り、正しい戦術を立てれば負ける事はない。」
世界のそこら中でマリクとキュクロープスの弟子達が神殺しを始めた。
彼等は国に招かれ、軍隊としての神の殺し方をレクチャーする。
邪神と呼ばれる者達も「神殺し」のレクチャーに加わった。
こうなるともう、狩る側と狩られる側が逆転する。
神は神界にこもり人間界には来なければ良い・・・はずなのに神のプライドがそうはさせない。
精鋭部隊で神々は人間界に攻めて来た。
この時、戦況は拮抗していた。
もうこの時点で神は負けを認めるべきであった。
戦闘で生き残った人間はレベルアップして強くなる。
神はレベルアップしても強さは大して変りはない。
その上人間と神ではその繁殖力にも大きな差があった。
人間は減った軍勢は即座に補充されたが、神は軍勢は減ったら補充される事はなく単純に戦力ダウンであった。
しかもレベルアップした者達の分、人間の軍勢は強くなっている。
人間の軍隊は戦闘を積む度、軍隊としてのレベルもアップして強くなっていく。
急速に強くなる者達と、急速に弱くなる者達とで均衡が崩れるのは一瞬だった。
大軍勢で人間界に攻め込んで大敗北を喫した神々はその数を大きく減らした。
この戦闘で人間達は沢山の神々を捕虜として拘束していた。
今まで一方的に攻め込まれていた人間達は、神界に攻め込む足掛りを得た。
神の徹底した個人主義のせいで「命が助かるなら」という条件で神界に人間を案内するらしい。
「ふざけるな。私は脅しに屈しない。殺すのであれば殺せ!」という神は全く存在しなかった。
「命を惜しむな。名を惜しむめ」という考え方は人間の物であるらしい。
「生き残るためなら味方も裏切るし、靴もなめる」という神の姿はいっそ清々しく、生への執着に満ちていた。
神界がほぼ人間の物となり、人間に奴隷として従属する神が珍しくなくなった頃、マリクは思った。
両陣営、沢山の者が死んだ。
人間が神を蹂躙する・・・神がかつてやっていた事を人間がやるのでは意味がない。
この争いの歴史に終止符を打とう。
次の戦いを最期の戦いにしよう。
マリクは捕虜となった神の軍勢の将軍に言った。
「おい、お前らもう勝ち目はないぞ?
でも俺はお前らにチャンスをやろうと思っている。
次の戦いを俺は最終戦闘にしようと思っている。
お前らが次の戦いに勝てば今までの負けは全部チャラだ。
お前ら神々の勝ちだ。
人間はおとなしく人間界に帰る。
だが次の戦いを最終戦闘にするには条件がある。
『大将は神の親玉』だ。
人間の軍勢の親玉は俺がつとめる。
親玉同士で勝負するのが一発勝負ではわかりやすいだろ?」
これが後に語り継がれる『神殺しの七英雄』と呼ばれる男達と神々との最終戦闘である。
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