異世界転生なんか望んでない!！どうしたらもとの世界に帰れますか？

クリスティーナの疑惑

そう呟き部屋から出てドアを閉めると......、

「マスター......、」

そう呼ばれ声の方に振り向くとクリスティーナが立っていた。

「クリスティーナ、どうかしたか？」
「マスター......」

そう言うと、着ていた服の胸元を大きく広げた。
するとそこには、アリスと同じ羽のアザがくっきり浮かび上がっていた。

「私だけじゃない、ここの覚醒者の子達にも同じアザがある何でその事を彼女に伝えなかったのですか。」
「また、聞き耳立てていたのですが？」

俺が少し咎めるような口調で言うと彼女は少し睨み付けながらいった。

「それは、悪いと思いましたけど、私あなたの事信用していないんです。」
「なぜですか、私はあなた達が安心して暮らせるように......」
「よくもそんな、白々しい…、私は、知っているのよあなたがあの日、ボスを消すところをね!!」

俺は、言葉をつまらせた。
何か言おうとするも口の中がからっからに乾いていき口を開くも言葉が出てこなかった。
それを見た彼女は、歪んだ笑みを浮かべた。

「見られていないとでも思った？私はあの日胸騒ぎがして、ボスの後をつけていたの、そしたら、ある部屋に入っていった。私は、ドアの隙間から見ていたんです、全てを!!声までは聞こえませんでしたけど......あの日ボスは、あなたを睨み付け怒鳴ったと思うとあなたが少し話したあと彼は驚愕し、怯えた瞬間、あなたがボスの方に手を振れたとたん彼を光が包み光が収まると彼は消えていた。」

そう言うと、クリスティーナは俺の胸元に掴みかかってきた。

「マスター、答えなさい、あの人は生きているんでしょうね!?私の大切な......！」

そう彼女が言った瞬間どこからか黒い人影が飛び出してきて彼女のみぞおちに拳を叩きつけると彼女は呻き声をあげその場に崩れ落ちた。
俺は、そんな彼女を見下ろしているとその人影が彼女を肩に担ぎ上げた。

「すまない、君にこんなことをさせてしまって」
「いいえ、私は、あの時の当事者なので、どうして彼女に本当の事を言わないのですか？」

彼は、少し困ったような顔をした。

「彼女達は、あの方に助けてもらい尊敬し信じている。そんな彼女達に真実を伝えるのはあまりに酷だ。それに、不信感をもつ気持ちも分かる、彼女に真実を伝えないのは彼女が俺や皆の最後の希望だと思うから......、」

彼は、そう言うと、少し困った笑顔をこっちに向けた。

「まだ、確信が持てないから今は何も言えないけどね......。」
「忘れないで、俺は何があってもあんたの味方だから。」

そういうと歩きだした。

「彼女は、部屋に運んでおく」

そう言うと、彼は、闇の中にとけ、あたりを静寂が包んでいた。
その暗闇を見つめ彼も踵を返し歩きだした。