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さあ、ゲーム開始だ。
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ゲーム開始。
それは高等部初日だ。
豪華な神明学園に気後れするヒロイン。
周りを見ても自分とは違い過ぎる生徒達。
キョロキョロと余所見をしていると、
愛良と歩いている蘇芳とぶつかる。
慌てて謝るヒロインに憤慨するのは愛良。
罵倒され涙ぐむヒロイン。
愛良を諫め、ヒロインを慰める蘇芳。
それが更に愛良の怒りを買い、此処から愛良のいじめが始まる。
ああ、私なら絶対にそんな事出来ない。
罵倒って・・・、どうやるの?
ゲームの愛良みたいな台詞なんて言える筈無い。
でも、ゲーム通りに怒った方が良いのかな・・・?
「愛良、愛良。」
確かゲームでは、『私の蘇芳にぶつかって来て、貴女どういうつもりなの!!
まさかそうやって蘇芳に近づこうとしているんじゃないでしょうね!?』
とか、言ってたよな・・・。
「愛良ちゃーん?おーい。」
私の、とかどんだけ調子乗ってんのよねぇ。
言える筈ないよ。
「・・・西園寺。考え事をしながら歩いていると・・・。」
「ぶぎゃ!!」
「きゃっ!」
後ろからの衝撃で、何の心構えをしていない私は、
そのまま地面へ倒れ込む。
そう顔から、ばたりと。
「愛良!」「愛良ちゃん!」「西園寺!」
蘇芳、冷泉、鷺宮の順に私の名前を叫び前から駆け寄ってくる。
ぶぎゃとか、凄く酷い悲鳴を上げてしまった。
恥ずかしい。早く起き上がろう。
・・・・ん?
・・・・・・んん?
起き上がれない。
私の上に何か・・・。
少し上体を反らして自分の体を見ると、私の上に女の子が乗っていた。
うん、倒れ込んでと言った方が正しい。
その子は恥ずかしさか、カチンコチンに固まっている様で今の状態がどうなっているのか把握出来ていないのだろう。
「西園寺様、大丈夫かしら・・・。」
「あの見慣れない女性、いつまで西園寺様の上にいらっしゃるの!?」
周りがざわつき始めた。
「あ、あのぅ・・・。すみません。」
私が恐る恐る声を掛けると、やっと意識が戻ってきたのか、その子は目にも止まらぬ速さで私から飛び退いた。
そして、
「ごめんなさい!ごめんなさい!
私、余所見をしていて前をちゃんと見ていなくて!
しかもあなたをずっと下敷きにしちゃってるし、
怪我してな・・・。」
「ああ、大丈夫です。気にしないで下さい。
私も考え事をしていて、ふらふらしていました。
こちらこそごめんなさ・・・い。」
お互い顔を見合わせ、言葉を失う。
あ・・・ヒロインだ。
え?何で?ぶつかる相手違うくね?
ヒロインは顔が蒼褪めている。
あ、まさか彼女は、もしかしたら、・・・転生者・・・?
「あああああああ!!!ごめんなさい!ごめんなさい!
本当にごめんなさいいいいいい!!!」
可哀想なほどパニックに陥っている。
ん?私の事に気付いていない?
転生者じゃ、ない?
あれ?鼻がムズムズする。
「・・・・愛良・・・・。保健室行こう?」
蘇芳が凄く心配そうな顔をしている。
「え?蘇芳君。私は大丈夫ですよ。ちょっと顔が痛いだけです。」
「大丈夫じゃないよ、愛良ちゃん。鼻、鼻。」
「鼻?」
冷泉も眉根を寄せて私の鼻を指差す。
私の鼻がどうしたの?
鼻を触ると、何だかぬるりとした液体が付着した。
あ!嘘!鼻水!!??
ヤダ!恥ずかしい!!
手を見ると、真っ赤だった。
鼻水じゃない!鼻血だった!!
どうしよう!!鼻血ってどうやって止めてたっけ?
ぼーっと自分の手を眺めていたら、鷺宮がハンカチをくれた。
「西園寺、これを鼻に当てろ。」
「あ、ありがとうございます。」
鷺宮、ハンカチを持ってるとかやりおる。
鼻にハンカチを当てる。
「愛良、行こう。冷泉、鷺宮。先生には入園式は欠席すると伝えてくれる?」
「え~!蘇芳、式で挨拶するじゃん!どうするんだよ!
俺が愛良ちゃんを連れて行くから、蘇芳は式に出なよ。」
「愛良は僕の婚約者だ。僕が連れて行く。挨拶なんて誰かにさせればいい。」
「・・蘇芳、それは駄目だろう。」
三人がもだもだしている。
こうしている間に式の時間が迫る。
「蘇芳君、私一人で大丈夫ですから、式に出席してください。」
「愛良!」
鼻血が出ただけだから、一人でも大丈夫。
「本当に大丈夫です。だから、私の欠席を先生に伝えて下さい。」
「でも・・・。」
蘇芳は中々了承しない。
「わ、私が付き添います!!元はと言えば私のせいですから!!」
ヒロインの子が手を上げて主張してきた。
「・・・君は・・?」
蘇芳が怪訝な表情をする。
あれ?
あ、そうか、私が罵倒していないからか!
ええと、今からでも、間に合うのかな?
「私は佐々木、じゃない草薙萌香と言います!」
「草薙・・・?」
やっぱりヒロインだ。
まぁ、ヴィジュアルでそうだと確信してたけど、名前でもう確定した。
肩の長さのウェーブのかかったふわふわの栗色の髪。
ビー玉の様なクリクリの瞳。
プルプルの唇。
「草薙って、あの不動産会社の?」
「そう言えば、養子を取ったっていう噂よね?」
「あの子が?」
さわさわと周りが囁き合う。
草薙は居心地が悪そうに視線を彷徨わせる。
ううむ。これは、一緒に行った方が良いかもしれない。
「私は西園寺愛良です。では、草薙さん、お言葉に甘えて付き添いをお願いしてもよろしいでしょうか。」
「愛良!?」
蘇芳が私を見る。
「蘇芳君が心配しているのは、冷泉君が付き添う事でしょう?
彼女なら蘇芳君が心配する事も無いでしょう。
それに、ほら。」
私は萌香の手をそっと取る。
「あっ!」
蘇芳は萌香の手を見て目を見開く。
「彼女も怪我をしています。だから二人で行く方が良いです。」
萌香の手の平も少し血が滲んでいる。
私とぶつかって倒れた時に擦りむいたのだ。
私の責任でもある。
それに彼女は保健室の場所を知らないだろうから、案内する必要もある。
「蘇芳君も、冷泉君も、鷺宮君も心配してくれてありがとうございます。
私達は保健室へ行くので、皆さんは入園式へ行って下さい。」
私は大丈夫と鼻をハンカチで押さえながら笑う。
蘇芳は私が折れないと諦めたのか小さく溜息を吐く。
「・・・分かったよ。式が終わったら、迎えに行くから待っていてね。」
蘇芳は私の頭を撫でて微笑む。
その微笑みがとても綺麗で私は少し胸が痛くなった。
蘇芳は冷泉と鷺宮を連れて講堂へ向かった。
周りの人達も講堂へ。
私は草薙に声を掛ける。
「さ、草薙さん行きましょうか。貴女も手の怪我の消毒をしないと。」
「え、ああ。この位私は大丈夫です。」
「駄目です。化膿したら大変です。」
「は、はい。」
小さな怪我を甘く見てはいけない。
私の気迫に半ば押されながら草薙は頷いた。
私達は校舎へと足を運んだ。
この時点で、もう出会いのイベントが消滅してしまった。
ううん、私のせいなのかな・・・。
それは高等部初日だ。
豪華な神明学園に気後れするヒロイン。
周りを見ても自分とは違い過ぎる生徒達。
キョロキョロと余所見をしていると、
愛良と歩いている蘇芳とぶつかる。
慌てて謝るヒロインに憤慨するのは愛良。
罵倒され涙ぐむヒロイン。
愛良を諫め、ヒロインを慰める蘇芳。
それが更に愛良の怒りを買い、此処から愛良のいじめが始まる。
ああ、私なら絶対にそんな事出来ない。
罵倒って・・・、どうやるの?
ゲームの愛良みたいな台詞なんて言える筈無い。
でも、ゲーム通りに怒った方が良いのかな・・・?
「愛良、愛良。」
確かゲームでは、『私の蘇芳にぶつかって来て、貴女どういうつもりなの!!
まさかそうやって蘇芳に近づこうとしているんじゃないでしょうね!?』
とか、言ってたよな・・・。
「愛良ちゃーん?おーい。」
私の、とかどんだけ調子乗ってんのよねぇ。
言える筈ないよ。
「・・・西園寺。考え事をしながら歩いていると・・・。」
「ぶぎゃ!!」
「きゃっ!」
後ろからの衝撃で、何の心構えをしていない私は、
そのまま地面へ倒れ込む。
そう顔から、ばたりと。
「愛良!」「愛良ちゃん!」「西園寺!」
蘇芳、冷泉、鷺宮の順に私の名前を叫び前から駆け寄ってくる。
ぶぎゃとか、凄く酷い悲鳴を上げてしまった。
恥ずかしい。早く起き上がろう。
・・・・ん?
・・・・・・んん?
起き上がれない。
私の上に何か・・・。
少し上体を反らして自分の体を見ると、私の上に女の子が乗っていた。
うん、倒れ込んでと言った方が正しい。
その子は恥ずかしさか、カチンコチンに固まっている様で今の状態がどうなっているのか把握出来ていないのだろう。
「西園寺様、大丈夫かしら・・・。」
「あの見慣れない女性、いつまで西園寺様の上にいらっしゃるの!?」
周りがざわつき始めた。
「あ、あのぅ・・・。すみません。」
私が恐る恐る声を掛けると、やっと意識が戻ってきたのか、その子は目にも止まらぬ速さで私から飛び退いた。
そして、
「ごめんなさい!ごめんなさい!
私、余所見をしていて前をちゃんと見ていなくて!
しかもあなたをずっと下敷きにしちゃってるし、
怪我してな・・・。」
「ああ、大丈夫です。気にしないで下さい。
私も考え事をしていて、ふらふらしていました。
こちらこそごめんなさ・・・い。」
お互い顔を見合わせ、言葉を失う。
あ・・・ヒロインだ。
え?何で?ぶつかる相手違うくね?
ヒロインは顔が蒼褪めている。
あ、まさか彼女は、もしかしたら、・・・転生者・・・?
「あああああああ!!!ごめんなさい!ごめんなさい!
本当にごめんなさいいいいいい!!!」
可哀想なほどパニックに陥っている。
ん?私の事に気付いていない?
転生者じゃ、ない?
あれ?鼻がムズムズする。
「・・・・愛良・・・・。保健室行こう?」
蘇芳が凄く心配そうな顔をしている。
「え?蘇芳君。私は大丈夫ですよ。ちょっと顔が痛いだけです。」
「大丈夫じゃないよ、愛良ちゃん。鼻、鼻。」
「鼻?」
冷泉も眉根を寄せて私の鼻を指差す。
私の鼻がどうしたの?
鼻を触ると、何だかぬるりとした液体が付着した。
あ!嘘!鼻水!!??
ヤダ!恥ずかしい!!
手を見ると、真っ赤だった。
鼻水じゃない!鼻血だった!!
どうしよう!!鼻血ってどうやって止めてたっけ?
ぼーっと自分の手を眺めていたら、鷺宮がハンカチをくれた。
「西園寺、これを鼻に当てろ。」
「あ、ありがとうございます。」
鷺宮、ハンカチを持ってるとかやりおる。
鼻にハンカチを当てる。
「愛良、行こう。冷泉、鷺宮。先生には入園式は欠席すると伝えてくれる?」
「え~!蘇芳、式で挨拶するじゃん!どうするんだよ!
俺が愛良ちゃんを連れて行くから、蘇芳は式に出なよ。」
「愛良は僕の婚約者だ。僕が連れて行く。挨拶なんて誰かにさせればいい。」
「・・蘇芳、それは駄目だろう。」
三人がもだもだしている。
こうしている間に式の時間が迫る。
「蘇芳君、私一人で大丈夫ですから、式に出席してください。」
「愛良!」
鼻血が出ただけだから、一人でも大丈夫。
「本当に大丈夫です。だから、私の欠席を先生に伝えて下さい。」
「でも・・・。」
蘇芳は中々了承しない。
「わ、私が付き添います!!元はと言えば私のせいですから!!」
ヒロインの子が手を上げて主張してきた。
「・・・君は・・?」
蘇芳が怪訝な表情をする。
あれ?
あ、そうか、私が罵倒していないからか!
ええと、今からでも、間に合うのかな?
「私は佐々木、じゃない草薙萌香と言います!」
「草薙・・・?」
やっぱりヒロインだ。
まぁ、ヴィジュアルでそうだと確信してたけど、名前でもう確定した。
肩の長さのウェーブのかかったふわふわの栗色の髪。
ビー玉の様なクリクリの瞳。
プルプルの唇。
「草薙って、あの不動産会社の?」
「そう言えば、養子を取ったっていう噂よね?」
「あの子が?」
さわさわと周りが囁き合う。
草薙は居心地が悪そうに視線を彷徨わせる。
ううむ。これは、一緒に行った方が良いかもしれない。
「私は西園寺愛良です。では、草薙さん、お言葉に甘えて付き添いをお願いしてもよろしいでしょうか。」
「愛良!?」
蘇芳が私を見る。
「蘇芳君が心配しているのは、冷泉君が付き添う事でしょう?
彼女なら蘇芳君が心配する事も無いでしょう。
それに、ほら。」
私は萌香の手をそっと取る。
「あっ!」
蘇芳は萌香の手を見て目を見開く。
「彼女も怪我をしています。だから二人で行く方が良いです。」
萌香の手の平も少し血が滲んでいる。
私とぶつかって倒れた時に擦りむいたのだ。
私の責任でもある。
それに彼女は保健室の場所を知らないだろうから、案内する必要もある。
「蘇芳君も、冷泉君も、鷺宮君も心配してくれてありがとうございます。
私達は保健室へ行くので、皆さんは入園式へ行って下さい。」
私は大丈夫と鼻をハンカチで押さえながら笑う。
蘇芳は私が折れないと諦めたのか小さく溜息を吐く。
「・・・分かったよ。式が終わったら、迎えに行くから待っていてね。」
蘇芳は私の頭を撫でて微笑む。
その微笑みがとても綺麗で私は少し胸が痛くなった。
蘇芳は冷泉と鷺宮を連れて講堂へ向かった。
周りの人達も講堂へ。
私は草薙に声を掛ける。
「さ、草薙さん行きましょうか。貴女も手の怪我の消毒をしないと。」
「え、ああ。この位私は大丈夫です。」
「駄目です。化膿したら大変です。」
「は、はい。」
小さな怪我を甘く見てはいけない。
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