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お腹いっぱい
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蘇芳に説得?され、講堂に戻る。
「あ!愛良!待ってたんだよ!」
溌溂とした笑顔で私元へ駆けて来たのは萌香だった。
ピンクのAラインのドレスに黒のベルト。
白い花のコサージュがアクセントになっていて、
彼女の可憐さが引き立つようだ。
栗色の髪も編み込んでキラキラした真珠?だろうか、まさか真珠なのか?
その真珠らしいバレッタで纏めている。
ああ、可愛いヒロインがそこに居る。
これは・・・・皆が恋に落ちるのも頷ける。
先程まで浮上していた気持ちが、少しずつ下降していく。
周りもざわついている。
きっと萌香の可愛さに色めきだっているのだろう。
「愛良?どうしたの?」
全く反応が無かった私を萌香が覗き込む。
「あ、ごめん。ボーっとしてた。」
「ええ?なぁに?まさか私の可愛さに見とれてたとか?」
萌香が笑いながら言う。
「うん。萌香のドレス、萌香に凄く似合っていて可愛い。」
「・・・・え?」
「本当に可愛いなぁって、見とれてたの。」
ちょっと照れ臭いけど、白状した。
見とれていたのは本当の事だから。
沈黙。
萌香が固まっている。
あれ、おかしな事言ってないよな。
「い、い、」
い?
私が首を傾げていた瞬間、私の体が凄い勢いで萌香に引き寄せられた。
「いやあああああ!!!かわいいいいいい!!
すきいいいいい!!!
愛良、超好き!
可愛いのは愛良の方だよ!!」
萌香に抱き締められている、それもかなり強めの力で。
く、苦しい。中身出ちゃう。
「も、萌香、萌香。ちょっと力を弱めて欲しいの・・・。」
「あ!ごめん。愛良があんまりにも可愛いから、つい。」
少し弱めてくれた。
抱き締められているのは変わらない。
「愛良、ありがとう。凄く嬉しい。
こういうの初めてだったから、ちょっと、いや滅茶苦茶緊張してたんだ。
だから愛良のおかげで、緊張が解れたわ。」
そうだよね、一般家庭からいきなりこんなブルジョワな学園に入って、
早々にダンスパーティーとかだもん。
緊張でしかない。
私が萌香の役に立てた事がとても嬉しくて、
じわじわと顔が緩んでくる。
「私も萌香の緊張を解す事が出来て嬉しい、な。」
凄く恥ずかしい。
けど、気持ちはちゃんと伝えないと。
周りがどよめく。
蘇芳も萌香も私を見てまた固まっている。
おかしいな。
これは一応舞台は日本のゲームなはず。
石化魔法なんてファンタジーな事は出来ない筈だ。
神様がチートって言ってたのは、もしかしたら魔法が使えるようにしてくれたのかな?
それにしても、石化魔法なんて正直いらないけど。
「何、この可愛さ。凶器よ、美少女のはにかむ笑顔とか凶器でしかないわ。」
萌香の石化が解けて、何かブツブツ言ってる。
美少女?自分の事言ってるの?
というか、萌香そろそろ解放してくれないかな?
実はまだ私、萌香に抱き締められているままだ。
「萌香、あの。」
私の声に反応して萌香は何故かまた強く抱き締めて来た。
今度は頬擦りまでしてくる。
「あああ!お家に持って帰りたい!!」
持って帰る!?
本当に私を人形と思っているんじゃないか?
「萌香、それは・・・。」
言い終える前に、ベリッという効果音が聞こえる位に、私と萌香を引き剥がしたのは、
蘇芳だった。
黒いオーラが漏れ出て、青筋が浮き上がっている。
なのに笑顔だ。
「草薙さん、愛良は優しいから何も言わないけど、
先程の様に人前で騒ぐのははしたない行為だと思うな?
接触も幾ら同性だからといって、過剰過ぎるし、
少し控えてくれるかな?
愛良は僕の婚約者なんだから。」
???
「騒ぎ過ぎたのは悪いと思う。
ごめんなさい。
でも、愛良は私の友達でもあるのよ。
接触が過剰とは思わないし、こんなの私が前に通っていた中学校では普通だったわ。」
????
「君が前に通っていた中学校の事は知らないけれど、ここではそれは通用しない。
もう少し距離感を考えて欲しいんだけどな。」
??????
「友達に距離感って、どういう事?
愛良に言われるのならまだしも、婚約者のあなたに言われる謂れは無いと思うのだけど?」
????????
「婚約者だからこそだよ。婚約者が不埒な事をされていて黙っていないよ。」
何だろう、この状況。
悪役令嬢は私な筈なのに攻略対象である蘇芳がヒロインの萌香に、
悪役令嬢の様な台詞を言い放っている。
私を引き寄せた蘇芳は私の顔を覗き込み萌香とは違う穏やかな笑みで私に向ける。
「愛良、嫌だったらちゃんと言わないといけないよ?」
この言葉を受けて萌香が私に詰め寄る。
「愛良、嫌なんかじゃないよね?私と友達になりたいって言ってたもんね?」
二人に尋問を受けている様な圧を感じる。
何これ?どういう状況?
「「ね?愛良?」」
二人共笑顔で二人共怖い。
だけど、私は彼等に答えるよりも大事な事がある。
「お腹が・・・・空いた・・・。」
二人の呆けた顔。
そして萌香は大きな声を上げて笑う。
「あははははっ!!愛良ったら最高!!」
蘇芳も心からの笑顔を見せる。
「ごめんね、愛良。そうだったね、お腹空いたよね。
直ぐに食べに行こう。」
蘇芳が私を沢山のご馳走の並ぶテーブルへ案内してくれる。
こんなに料理が並んでいるのに、誰も居ない。
皆何で食べないのだろう。
「わあああ!美味しそうな料理がいっぱい!」
萌香が私に笑いかける。
「・・・うん。美味しそう。」
もう私は料理にしか目がいかない。
「愛良、好きなだけ食べていいんだよ。」
蘇芳の言葉に私は眼を剥く。
いいの?え?いいの?
蘇芳は頷く。
ああ、嬉しい。
漸くご飯にありつける。
「・・・・!!愛良、ご飯にそんな笑顔を見せるなんて・・・。」
蘇芳は何故か顔が赤くして何か言っている。
だが、私はご飯に夢中で聞こえない。
「愛良、食べよう。私もお腹すいちゃった。」
「うん。」
萌香と私はご馳走を思う存分堪能する。
おいしいいいいい!!しあわせ!!
ぐふ。食べ過ぎたかもしれない。
でも、後悔はしない。
「お腹一杯になった?」
蘇芳がにこやかに笑う。
「うん。」
私も笑顔で答える。
「・・・・はぁ、可愛すぎるよ・・・。」
蘇芳の何か呟いたみたいだが、聞き取れなかった。
「蘇芳?」
私が声を掛けると蘇芳はハッとして私に取り繕う様に笑いかける。
「何でもないよ。さぁ、愛良。僕と踊ってくれるかな?」
私に手を差し出す。
私が踊って良いのかな。
ゲームでは愛良と蘇芳は踊らなかった。
蘇芳と踊ったのは萌香。
右も左も分からない萌香に蘇芳がエスコートを引き受け、
ダンスを踊るのだ。
愛良はそれを見て怒りを爆発させる。
萌香に激しい憎しみを抱くようになる。
今の蘇芳は萌香じゃなく、私をダンスに誘う。
いつまでも手を取らない私を見かねて、萌香が私の手を無理矢理蘇芳の手に乗せた。
「王子様に恥をかかせちゃ駄目だよ。
ほら、早く踊っておいで。」
萌香は悪戯っぽく片目を瞑って見せる。
「え、でも。」
ぎゅっと手を握られて私の心臓が跳ね上がる。
「さぁ、行こう、愛良。」
蘇芳は私の手を引き、講堂の中央へ連れて行く。
ドクンドクン。
萌香の方を向くと、ニコニコと私に手を振る。
本当に蘇芳と踊って良いの?
萌香は全く蘇芳に対して何も思っていないみたいだ。
「愛良。」
私の顎に触れ、蘇芳は私の顔を自分に向かせる。
これは、顎クイというやつでは。
「僕と踊る時は、僕だけを見て?」
「は、はひ。」
妖艶な顔で私を見つめる。
この歳でそんな顔が出来るとか、末恐ろしい。
私は只々心臓が大きく脈打つのを感じながら、蘇芳を見つめ返すだけだった。
「あ!愛良!待ってたんだよ!」
溌溂とした笑顔で私元へ駆けて来たのは萌香だった。
ピンクのAラインのドレスに黒のベルト。
白い花のコサージュがアクセントになっていて、
彼女の可憐さが引き立つようだ。
栗色の髪も編み込んでキラキラした真珠?だろうか、まさか真珠なのか?
その真珠らしいバレッタで纏めている。
ああ、可愛いヒロインがそこに居る。
これは・・・・皆が恋に落ちるのも頷ける。
先程まで浮上していた気持ちが、少しずつ下降していく。
周りもざわついている。
きっと萌香の可愛さに色めきだっているのだろう。
「愛良?どうしたの?」
全く反応が無かった私を萌香が覗き込む。
「あ、ごめん。ボーっとしてた。」
「ええ?なぁに?まさか私の可愛さに見とれてたとか?」
萌香が笑いながら言う。
「うん。萌香のドレス、萌香に凄く似合っていて可愛い。」
「・・・・え?」
「本当に可愛いなぁって、見とれてたの。」
ちょっと照れ臭いけど、白状した。
見とれていたのは本当の事だから。
沈黙。
萌香が固まっている。
あれ、おかしな事言ってないよな。
「い、い、」
い?
私が首を傾げていた瞬間、私の体が凄い勢いで萌香に引き寄せられた。
「いやあああああ!!!かわいいいいいい!!
すきいいいいい!!!
愛良、超好き!
可愛いのは愛良の方だよ!!」
萌香に抱き締められている、それもかなり強めの力で。
く、苦しい。中身出ちゃう。
「も、萌香、萌香。ちょっと力を弱めて欲しいの・・・。」
「あ!ごめん。愛良があんまりにも可愛いから、つい。」
少し弱めてくれた。
抱き締められているのは変わらない。
「愛良、ありがとう。凄く嬉しい。
こういうの初めてだったから、ちょっと、いや滅茶苦茶緊張してたんだ。
だから愛良のおかげで、緊張が解れたわ。」
そうだよね、一般家庭からいきなりこんなブルジョワな学園に入って、
早々にダンスパーティーとかだもん。
緊張でしかない。
私が萌香の役に立てた事がとても嬉しくて、
じわじわと顔が緩んでくる。
「私も萌香の緊張を解す事が出来て嬉しい、な。」
凄く恥ずかしい。
けど、気持ちはちゃんと伝えないと。
周りがどよめく。
蘇芳も萌香も私を見てまた固まっている。
おかしいな。
これは一応舞台は日本のゲームなはず。
石化魔法なんてファンタジーな事は出来ない筈だ。
神様がチートって言ってたのは、もしかしたら魔法が使えるようにしてくれたのかな?
それにしても、石化魔法なんて正直いらないけど。
「何、この可愛さ。凶器よ、美少女のはにかむ笑顔とか凶器でしかないわ。」
萌香の石化が解けて、何かブツブツ言ってる。
美少女?自分の事言ってるの?
というか、萌香そろそろ解放してくれないかな?
実はまだ私、萌香に抱き締められているままだ。
「萌香、あの。」
私の声に反応して萌香は何故かまた強く抱き締めて来た。
今度は頬擦りまでしてくる。
「あああ!お家に持って帰りたい!!」
持って帰る!?
本当に私を人形と思っているんじゃないか?
「萌香、それは・・・。」
言い終える前に、ベリッという効果音が聞こえる位に、私と萌香を引き剥がしたのは、
蘇芳だった。
黒いオーラが漏れ出て、青筋が浮き上がっている。
なのに笑顔だ。
「草薙さん、愛良は優しいから何も言わないけど、
先程の様に人前で騒ぐのははしたない行為だと思うな?
接触も幾ら同性だからといって、過剰過ぎるし、
少し控えてくれるかな?
愛良は僕の婚約者なんだから。」
???
「騒ぎ過ぎたのは悪いと思う。
ごめんなさい。
でも、愛良は私の友達でもあるのよ。
接触が過剰とは思わないし、こんなの私が前に通っていた中学校では普通だったわ。」
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「君が前に通っていた中学校の事は知らないけれど、ここではそれは通用しない。
もう少し距離感を考えて欲しいんだけどな。」
??????
「友達に距離感って、どういう事?
愛良に言われるのならまだしも、婚約者のあなたに言われる謂れは無いと思うのだけど?」
????????
「婚約者だからこそだよ。婚約者が不埒な事をされていて黙っていないよ。」
何だろう、この状況。
悪役令嬢は私な筈なのに攻略対象である蘇芳がヒロインの萌香に、
悪役令嬢の様な台詞を言い放っている。
私を引き寄せた蘇芳は私の顔を覗き込み萌香とは違う穏やかな笑みで私に向ける。
「愛良、嫌だったらちゃんと言わないといけないよ?」
この言葉を受けて萌香が私に詰め寄る。
「愛良、嫌なんかじゃないよね?私と友達になりたいって言ってたもんね?」
二人に尋問を受けている様な圧を感じる。
何これ?どういう状況?
「「ね?愛良?」」
二人共笑顔で二人共怖い。
だけど、私は彼等に答えるよりも大事な事がある。
「お腹が・・・・空いた・・・。」
二人の呆けた顔。
そして萌香は大きな声を上げて笑う。
「あははははっ!!愛良ったら最高!!」
蘇芳も心からの笑顔を見せる。
「ごめんね、愛良。そうだったね、お腹空いたよね。
直ぐに食べに行こう。」
蘇芳が私を沢山のご馳走の並ぶテーブルへ案内してくれる。
こんなに料理が並んでいるのに、誰も居ない。
皆何で食べないのだろう。
「わあああ!美味しそうな料理がいっぱい!」
萌香が私に笑いかける。
「・・・うん。美味しそう。」
もう私は料理にしか目がいかない。
「愛良、好きなだけ食べていいんだよ。」
蘇芳の言葉に私は眼を剥く。
いいの?え?いいの?
蘇芳は頷く。
ああ、嬉しい。
漸くご飯にありつける。
「・・・・!!愛良、ご飯にそんな笑顔を見せるなんて・・・。」
蘇芳は何故か顔が赤くして何か言っている。
だが、私はご飯に夢中で聞こえない。
「愛良、食べよう。私もお腹すいちゃった。」
「うん。」
萌香と私はご馳走を思う存分堪能する。
おいしいいいいい!!しあわせ!!
ぐふ。食べ過ぎたかもしれない。
でも、後悔はしない。
「お腹一杯になった?」
蘇芳がにこやかに笑う。
「うん。」
私も笑顔で答える。
「・・・・はぁ、可愛すぎるよ・・・。」
蘇芳の何か呟いたみたいだが、聞き取れなかった。
「蘇芳?」
私が声を掛けると蘇芳はハッとして私に取り繕う様に笑いかける。
「何でもないよ。さぁ、愛良。僕と踊ってくれるかな?」
私に手を差し出す。
私が踊って良いのかな。
ゲームでは愛良と蘇芳は踊らなかった。
蘇芳と踊ったのは萌香。
右も左も分からない萌香に蘇芳がエスコートを引き受け、
ダンスを踊るのだ。
愛良はそれを見て怒りを爆発させる。
萌香に激しい憎しみを抱くようになる。
今の蘇芳は萌香じゃなく、私をダンスに誘う。
いつまでも手を取らない私を見かねて、萌香が私の手を無理矢理蘇芳の手に乗せた。
「王子様に恥をかかせちゃ駄目だよ。
ほら、早く踊っておいで。」
萌香は悪戯っぽく片目を瞑って見せる。
「え、でも。」
ぎゅっと手を握られて私の心臓が跳ね上がる。
「さぁ、行こう、愛良。」
蘇芳は私の手を引き、講堂の中央へ連れて行く。
ドクンドクン。
萌香の方を向くと、ニコニコと私に手を振る。
本当に蘇芳と踊って良いの?
萌香は全く蘇芳に対して何も思っていないみたいだ。
「愛良。」
私の顎に触れ、蘇芳は私の顔を自分に向かせる。
これは、顎クイというやつでは。
「僕と踊る時は、僕だけを見て?」
「は、はひ。」
妖艶な顔で私を見つめる。
この歳でそんな顔が出来るとか、末恐ろしい。
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