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嫉妬
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冷泉のルートはまだ先な筈。
このイベントで踊るのは、蘇芳か鷺宮のどちらか。
どちらにせよ、友人と躍る萌香に興味を持ち、
後日に接触してくるのが、冷泉ルートの始まりだ。
もうイベントはイベントを為さなくなった。
何となくは分かっていたが、
(蘇芳が私と踊ったり、私を放置しない辺りで、いやもっと前か、萌香が私にぶつかってきた時点で。
違う、私が愛良の時点でか。)
花の様に笑う萌香。
冷泉も同じ様に笑顔で萌香をリードする。
冷泉はもしかしたら、萌香に好印象を持ったかもしれない。
私は安堵した。
冷泉ルートは愛良の断罪が比較的に優しめなのだ。
優しめと言っても勘当なのだが。
勘当ならば、まだ生活できる。
いざという時の為に、お小遣いをコツコツ貯めている。
それを元手に仕事を見つける事が出来れば、一人でも生きていける。
その前に萌香を虐めるつもりは無いから、断罪される可能性は低い筈。
萌香も萌香で「たっくん」なる人が好きだから、冷泉とどうこうなるかも分からない。
「愛良、喉乾いてない?」
いつの間にか蘇芳が隣に居た。
蘇芳の手には飲み物があり、それを私に手渡してくれた。
「ありがとう。」
一口飲む。
結構喉が渇いていたみたいだ。
体中に水分が行き渡る。
「草薙さんは踊る相手が居なかったから、東矢が誘ったんだよ。」
「そうなんだ。」
これで一応、萌香も冷泉もオリエンテーションの成績の心配は無くなった。
曲が終わり、二人がこちらへやって来る。
「愛良!どうだった?私、練習以外で初めてダンスを踊ったんだけど、ちゃんと踊れてたかな?」
息を弾ませて、笑顔の萌香が私に尋ねてくる。
桃色の頬で私を見る萌香は本当にゲームのヒロインらしく可憐だ。
彼女を見れば、誰もが彼女を好きになる。
天真爛漫な彼女は誰とでも仲良くなれる。
だから、彼女の周りには人が沢山集まる。
比べて私は、
悪役令嬢の様な振る舞いなどしていないのに、
・・・友達がいない!!
でも蘇芳に言われて嫌われていない事は分かった。
さっき分かった事だから、いまいち実感は出来ていない。
なので、明日勇気を出して話しかけようと思う。
目の前の萌香はそんなの関係無く友達になってくれた。
私の返答を待ってニコニコ顔の萌香をジッと見つめる。
大事にしよう。
私と友達になってくれた萌香。
「とても初めてとは思えない位、素晴らしいダンスだったわ。
私は一生懸命練習しても上達しないから、少し羨ましい。」
笑顔で答えた。
「本当!?嬉しい!!
ていうか、愛良周りの反応に気付いてないの?
愛良のダンス、皆見惚れてたんだよ?」
「え?」
そうなの?
蘇芳に見惚れていた女生徒の皆は気付いていたけど、
自分のステップを間違えないようにと考えていたから、
そこまで周りに気を配れなかった。
「気付かなかった?」
萌香の言葉に無言で頷く。
「愛良、凄く人気者なんだなって思ったよ~。
愛良とどうやって仲良くなったの?って何人かに聞かれたもん。」
え?
そんな事聞かれてたの?
驚きで目が見開いていたのだろう、萌香は首を傾げて私を見ている。
「え?まさか、愛良本当に気付いてないの?」
「だ、だって、今まで誰も親しい人が居なかったし、目が合うと反らされるし、嫌われているとばかり。」
萌香は口が開いたまま。
その後、何故か隣に居た蘇芳を睨んでいた。
「嫉妬深いにも程があるんじゃないですか?」
「・・・何の事?」
萌香は勿論蘇芳を睨んでいる。
蘇芳も笑みを浮かべているが、目が笑っていない。
二人は何の話をしているのだろう?
何故か通じ合っている二人。
そこに甘さは無いのだが、疎外感を感じてしまう。
堪らず、
「あ、私教室に用があるので、少しだけ外すね?」
逃げた。
後ろから蘇芳や萌香の声がするけど、
無視して走った。
校舎に入って、息を整える。
結構走ったから、時間がかかった。
鷺宮に渡すお礼をこれを機に取りに来た。
わざわざ残って貰うのも、やっぱり悪い気がしたから。
暫くして教室へ向かう。
誰も居ない廊下を歩く。
学校の誰も居ない感じ、微妙に怖いよなぁ。
怪談話とかこの学園は無い事を祈りながら、目的の教室へ。
教室の扉を開けようとすると、
「おい。」
「ぴゃいっ!!!」
後ろから誰かに呼び止められて、心臓が飛び出るかと思う位驚いた。
実際、ちょっと出たかもしれない。
驚きの余り情けない返事をしてしまった。
振り向きたくないけど、ゆっくりと後ろを向くと、
怪訝な顔で私を睨む攻略対象の一人、
秋葉秀一・・・先生が立っていた。
このイベントで踊るのは、蘇芳か鷺宮のどちらか。
どちらにせよ、友人と躍る萌香に興味を持ち、
後日に接触してくるのが、冷泉ルートの始まりだ。
もうイベントはイベントを為さなくなった。
何となくは分かっていたが、
(蘇芳が私と踊ったり、私を放置しない辺りで、いやもっと前か、萌香が私にぶつかってきた時点で。
違う、私が愛良の時点でか。)
花の様に笑う萌香。
冷泉も同じ様に笑顔で萌香をリードする。
冷泉はもしかしたら、萌香に好印象を持ったかもしれない。
私は安堵した。
冷泉ルートは愛良の断罪が比較的に優しめなのだ。
優しめと言っても勘当なのだが。
勘当ならば、まだ生活できる。
いざという時の為に、お小遣いをコツコツ貯めている。
それを元手に仕事を見つける事が出来れば、一人でも生きていける。
その前に萌香を虐めるつもりは無いから、断罪される可能性は低い筈。
萌香も萌香で「たっくん」なる人が好きだから、冷泉とどうこうなるかも分からない。
「愛良、喉乾いてない?」
いつの間にか蘇芳が隣に居た。
蘇芳の手には飲み物があり、それを私に手渡してくれた。
「ありがとう。」
一口飲む。
結構喉が渇いていたみたいだ。
体中に水分が行き渡る。
「草薙さんは踊る相手が居なかったから、東矢が誘ったんだよ。」
「そうなんだ。」
これで一応、萌香も冷泉もオリエンテーションの成績の心配は無くなった。
曲が終わり、二人がこちらへやって来る。
「愛良!どうだった?私、練習以外で初めてダンスを踊ったんだけど、ちゃんと踊れてたかな?」
息を弾ませて、笑顔の萌香が私に尋ねてくる。
桃色の頬で私を見る萌香は本当にゲームのヒロインらしく可憐だ。
彼女を見れば、誰もが彼女を好きになる。
天真爛漫な彼女は誰とでも仲良くなれる。
だから、彼女の周りには人が沢山集まる。
比べて私は、
悪役令嬢の様な振る舞いなどしていないのに、
・・・友達がいない!!
でも蘇芳に言われて嫌われていない事は分かった。
さっき分かった事だから、いまいち実感は出来ていない。
なので、明日勇気を出して話しかけようと思う。
目の前の萌香はそんなの関係無く友達になってくれた。
私の返答を待ってニコニコ顔の萌香をジッと見つめる。
大事にしよう。
私と友達になってくれた萌香。
「とても初めてとは思えない位、素晴らしいダンスだったわ。
私は一生懸命練習しても上達しないから、少し羨ましい。」
笑顔で答えた。
「本当!?嬉しい!!
ていうか、愛良周りの反応に気付いてないの?
愛良のダンス、皆見惚れてたんだよ?」
「え?」
そうなの?
蘇芳に見惚れていた女生徒の皆は気付いていたけど、
自分のステップを間違えないようにと考えていたから、
そこまで周りに気を配れなかった。
「気付かなかった?」
萌香の言葉に無言で頷く。
「愛良、凄く人気者なんだなって思ったよ~。
愛良とどうやって仲良くなったの?って何人かに聞かれたもん。」
え?
そんな事聞かれてたの?
驚きで目が見開いていたのだろう、萌香は首を傾げて私を見ている。
「え?まさか、愛良本当に気付いてないの?」
「だ、だって、今まで誰も親しい人が居なかったし、目が合うと反らされるし、嫌われているとばかり。」
萌香は口が開いたまま。
その後、何故か隣に居た蘇芳を睨んでいた。
「嫉妬深いにも程があるんじゃないですか?」
「・・・何の事?」
萌香は勿論蘇芳を睨んでいる。
蘇芳も笑みを浮かべているが、目が笑っていない。
二人は何の話をしているのだろう?
何故か通じ合っている二人。
そこに甘さは無いのだが、疎外感を感じてしまう。
堪らず、
「あ、私教室に用があるので、少しだけ外すね?」
逃げた。
後ろから蘇芳や萌香の声がするけど、
無視して走った。
校舎に入って、息を整える。
結構走ったから、時間がかかった。
鷺宮に渡すお礼をこれを機に取りに来た。
わざわざ残って貰うのも、やっぱり悪い気がしたから。
暫くして教室へ向かう。
誰も居ない廊下を歩く。
学校の誰も居ない感じ、微妙に怖いよなぁ。
怪談話とかこの学園は無い事を祈りながら、目的の教室へ。
教室の扉を開けようとすると、
「おい。」
「ぴゃいっ!!!」
後ろから誰かに呼び止められて、心臓が飛び出るかと思う位驚いた。
実際、ちょっと出たかもしれない。
驚きの余り情けない返事をしてしまった。
振り向きたくないけど、ゆっくりと後ろを向くと、
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