転生？乙女ゲーム？悪役令嬢？そんなの知るか！私は前世の夫を探しに行く。

まあ、お約束ですわね

数日後、今世父に呼び出される。

こないだのブチ切れ事件で、死刑でもなるのかな。
覚悟を決めて、父の部屋へ行く。

待っていたのは、やけに上機嫌の父親だった。

「やあ、ミリアム！！待っていたよ～。」

両手を広げて、私に近寄り抱き締めようとする。
それをすっと避ける。

「・・・・。んんっ。ミリアム。今日は良い知らせがあるんだ。」

「勘当ですか？国外追放ですか？死刑ですか？」

「良い知らせって言ったのに、何でそうなるんだ！！」

あれ？罪に問われないのかな？
首を傾げていると、父親が肩を落とす。

「ミリアム、以前から学園に通いたいって言っていただろう？」

以前の私だろうな、それは。

「なんと！通えるようになったんだよ！」

「はあ。」

反応が薄い私に、明らかに動揺する父親。

「う、嬉しくないのかい？」

「以前の記憶が無いもので。」

「そ、そんなあ・・・。」

がくりと項垂れる父親。
うーん。
流石に悪い事したかな。

「すみません。でも、学校ですか、興味はありますね。」

がばっと私にかぶりつく。
うう。やめて。父親でもイケメンだから、あんまり近寄らないで！

「そうかい！？そうかい！良かった！これで王子も・・・。」

「はい？」

父親が、やべっとばかりに口を手で覆う。
お・う・じという言葉を聞きました。
ええ、聞き逃しませんでしたとも。

「・・・・んー。お父様。私聞き捨てならない言葉を耳にしましたが？」

「い、いや、あは、あははは？」

「王子と聞こえましたが、私の耳がおかしくなったのですかねぇ？」

「ん？ん？？そんな事言ったかなあ？」

ほう。あくまで白を切るおつもりか。
宜しい。
それならば、私にも考えがある。

「まぁ、いいでしょう。ナル・・・第二王子とはあの後、キッチリと婚約破棄出来ましたので、
関わる事は金輪際無いでしょうから、私は目立たず学園生活を送りますので。」


「・・・・・。」


「金輪際、二度と。未来永劫関わりませんので、お父様もそのおつもりで。」


「そ、そんな強調しなくても分かっているよ・・・。」

口を尖らせながら、父親が呟く。


「で？いつから通う事になるのですか？」

「明日からだよ！」

しょんぼりしてた父親が一変、ぱあ！と顔を明るくさせ言う。
明日？急ですな、また。

「ミリアムの魔力の事を話したら、直ぐにでも学園へ来てくれって、学園長が言うからさ。
特急で手配したんだよ！」

褒めてと言わんばかりに、父親が胸を張る。


「それは、それは。ありがとうございます。」

まぁ、家でごろごろしているよりかはマシだな。
学園に行けば、もしかしたら彼も居るかもしれないし。

「準備等、学園に必要な物とかはあるのですか？」

父に聞くと、キョトンとした顔で私を見る。
ん、何かおかしいこと言った？

「準備なんて、ミリアムがするべき事じゃないよ？
メイドがするのだから。」

ああ、そうか。貴族だったわ。
学校＝前日に次の日の準備の認識だった庶民の私に無かった発想だったわ。

「そうでした。急だったもので、少し動揺してました。」

そう誤魔化す。
父も気にする事無く、ニコニコ笑う。

「取り敢えず明日は、先に学園長の所へ行って挨拶をするんだよ。
後は学園の人達が色々手配してくれるから、
ミリアムは何も心配しないで大丈夫だからね！」

「分かりました。」




まさか、もう一度学校に通うなんて、
でも、少しわくわくしている自分が居る。

魔法の勉強とかするのかな？

遠足の前日の様に眠れない・・・訳は無く、
ぐっすり眠れた私は、
翌日、リリィちゃんと一緒に学園へ向かった。