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悲願
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私はこれまでの経緯を話した。
前世の事故の事。
夫の事。
神様の事。
自分の事。
そして、
「私は夫を見つけて、どうしても叶えたい願いがあるんです。」
そうだ。
前世から夫と話していた未来の話。
「彼との子供を産み、二人で育てたい。」
彼がブラック企業から転職が出来て、二人の時間が作れるようになって、
子供を作る余裕が出来た矢先の出来事だった。
私に似たら、凄く捻くれてしまうから、彼に似た素直な子供が出来たらいいね。
俺はサッカーをさせたい。いいや、私は野球がいい。
でも、子供がやりたい事をさせるのが一番だな。
女の子だったら、どうしよう。
嫁にやりたくない。
それ、母親が言う台詞?逆じゃない?
ずっとずっと二人で話していた。
分かっている。
そういう思いをしているのは自分だけじゃないという事は。
でも、折角神様がくれたもう一度。
これを逃したくない。
前世の二人じゃないけれど、
魂が同じなら、私はもう一度彼と一緒になりたい。
話している内に、胸に熱い物がこみ上げてくる。
先に死んだら契約違反だって笑って言っていた彼を思い出し、
必死に溢れ出る気持ちを抑え込む。
ごめんね、本当に。君を残して死んだ私をどうか、どうか、許して欲しい。
会えたら、ちゃんと謝るから。
でも、まずは、アリスちゃんに解って貰える様に、ちゃんと話さなければ。
「だから、彼を探す。今の私にはそれしかない。
なので、攻略対象の人達と恋愛するつもりもない。
アリスちゃんの邪魔をするつもりもない。
でも、もし攻略対象の中に彼が居たのなら、
私は諦める事は出来ないから、その時は
・・・貴女の敵になってしまう。
本当にごめんなさい。」
よし、最後まで話し切ったぞ。
アリスちゃんから、差し出されるハンカチ。
ん?と思って、自分の頬が濡れているのに気付く。
ありゃ、抑えきれなかったか。
見たら、彼女の目にも涙が溜まっていた。
「・・・私、そこまで好きになった人、今まで居ないから、分かんないけど。
何か、羨ましいと思う。」
あ、この子実は良い子だ。
そう思った。
アンタの事情なんか知らないと言われるのも覚悟していたから、
そう言ってくれて、少しホッとした。
ハンカチを受け取り、涙を拭く。
「結構辛いもんですよ。忘れられないのは。」
転生して、残る記憶に何度も何度も襲われる。
夜中、ふと目覚めて、
横にいびきをかいて寝ている彼が居ない事を思い知り、
何度、胸が締め付けられた事だろう。
忘れたくはない。
今此処に彼が居ないという現実に心が折れそうになる。
「馬鹿じゃない、アンタ。忘れて他の人と付き合えば良かったのに。」
そう言ってるアリスちゃん。
言葉と表情が合ってないよ。
「ふふふ。優しいですね、アリスさん。」
彼女の瞳から零れた涙を指でそっと掬う。
アリスちゃんは少し頬を染める。
「別に優しくなんて・・・!」
充分優しいよね。
良かった。
ざまぁ系のヒロインちゃんみたいに、えげつない性格の子じゃなくて。
ああ、でも。
「何かすみません。」
「え?」
「悪役令嬢の私が居ないと攻略対象の人と親密度とかが上がらなくなるのでは。」
「ああ。・・・うーん、まぁ、いいかな・・・。このキャラクター作るのめんどくさかったし。」
やっぱり作ってたのか。
そう言えば。
「攻略対象ってこのゲームって何人くらいいるのでしょうか?
というか、誰が攻略対象なのですか?
まぁ、あの私の隣の席の人は該当するのは分かるのですけど。」
「え?何言ってんの?このゲームをプレイしてるんでしょ?」
あ、言うの忘れてた。
「私、このゲームの事、全く知らないんですよ。」
「・・・・・はあああああああああ!?」
前世の事故の事。
夫の事。
神様の事。
自分の事。
そして、
「私は夫を見つけて、どうしても叶えたい願いがあるんです。」
そうだ。
前世から夫と話していた未来の話。
「彼との子供を産み、二人で育てたい。」
彼がブラック企業から転職が出来て、二人の時間が作れるようになって、
子供を作る余裕が出来た矢先の出来事だった。
私に似たら、凄く捻くれてしまうから、彼に似た素直な子供が出来たらいいね。
俺はサッカーをさせたい。いいや、私は野球がいい。
でも、子供がやりたい事をさせるのが一番だな。
女の子だったら、どうしよう。
嫁にやりたくない。
それ、母親が言う台詞?逆じゃない?
ずっとずっと二人で話していた。
分かっている。
そういう思いをしているのは自分だけじゃないという事は。
でも、折角神様がくれたもう一度。
これを逃したくない。
前世の二人じゃないけれど、
魂が同じなら、私はもう一度彼と一緒になりたい。
話している内に、胸に熱い物がこみ上げてくる。
先に死んだら契約違反だって笑って言っていた彼を思い出し、
必死に溢れ出る気持ちを抑え込む。
ごめんね、本当に。君を残して死んだ私をどうか、どうか、許して欲しい。
会えたら、ちゃんと謝るから。
でも、まずは、アリスちゃんに解って貰える様に、ちゃんと話さなければ。
「だから、彼を探す。今の私にはそれしかない。
なので、攻略対象の人達と恋愛するつもりもない。
アリスちゃんの邪魔をするつもりもない。
でも、もし攻略対象の中に彼が居たのなら、
私は諦める事は出来ないから、その時は
・・・貴女の敵になってしまう。
本当にごめんなさい。」
よし、最後まで話し切ったぞ。
アリスちゃんから、差し出されるハンカチ。
ん?と思って、自分の頬が濡れているのに気付く。
ありゃ、抑えきれなかったか。
見たら、彼女の目にも涙が溜まっていた。
「・・・私、そこまで好きになった人、今まで居ないから、分かんないけど。
何か、羨ましいと思う。」
あ、この子実は良い子だ。
そう思った。
アンタの事情なんか知らないと言われるのも覚悟していたから、
そう言ってくれて、少しホッとした。
ハンカチを受け取り、涙を拭く。
「結構辛いもんですよ。忘れられないのは。」
転生して、残る記憶に何度も何度も襲われる。
夜中、ふと目覚めて、
横にいびきをかいて寝ている彼が居ない事を思い知り、
何度、胸が締め付けられた事だろう。
忘れたくはない。
今此処に彼が居ないという現実に心が折れそうになる。
「馬鹿じゃない、アンタ。忘れて他の人と付き合えば良かったのに。」
そう言ってるアリスちゃん。
言葉と表情が合ってないよ。
「ふふふ。優しいですね、アリスさん。」
彼女の瞳から零れた涙を指でそっと掬う。
アリスちゃんは少し頬を染める。
「別に優しくなんて・・・!」
充分優しいよね。
良かった。
ざまぁ系のヒロインちゃんみたいに、えげつない性格の子じゃなくて。
ああ、でも。
「何かすみません。」
「え?」
「悪役令嬢の私が居ないと攻略対象の人と親密度とかが上がらなくなるのでは。」
「ああ。・・・うーん、まぁ、いいかな・・・。このキャラクター作るのめんどくさかったし。」
やっぱり作ってたのか。
そう言えば。
「攻略対象ってこのゲームって何人くらいいるのでしょうか?
というか、誰が攻略対象なのですか?
まぁ、あの私の隣の席の人は該当するのは分かるのですけど。」
「え?何言ってんの?このゲームをプレイしてるんでしょ?」
あ、言うの忘れてた。
「私、このゲームの事、全く知らないんですよ。」
「・・・・・はあああああああああ!?」
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