転生?乙女ゲーム?悪役令嬢?そんなの知るか!私は前世の夫を探しに行く。

コロンパン

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「ど、どういう事よ!!」

「それがですね、さっき話したばk・・・んんっ。
・・・神様が、乙女ゲームの悪役令嬢に転生させてあげるね。って言って、
私はこの世界に来たわけなのですけど、
残念ながら、私のオタクのベクトルは乙女ゲームに向いてなくてですね。」

「・・・・。」

アリスちゃんが絶句してる。

「そういう転生物の小説とかは読んでたので、
ざまぁ系とかそう言うジャンルとか、
乙女ゲームとはこう言う物だみたいな漠然とした感じでしか把握出来てないんですよ。」

「う、嘘でしょ・・・。こういう転生って、そのゲームに思い入れがある人とか、
プレイした事がある人が転生するんじゃないの・・・?」

まぁ、そうだよな。私もそう思うよ。

「ですよね・・・。でも、本当に知らないんです。
本当、バ神のせいです。
申し訳ないです。私の様な半端な人間が、この世界に来てしまって・・・。」

土下座しようと床に手を付く。

「ちょ、ちょっと、良いって!びっくりしただけだから!やめて!」

いいのか、寛大な娘さんだわ。

「そんな感じで、誰が攻略対象か教えて頂ければ、その人達には極力近寄りませんので。
今の所どなたがそうなんですか?」

うーん、とアリスちゃんは記憶を辿り出す。

「あ、そうだ。
後、18禁とかでも無いですよね?」

ブハッと吹き出すアリスちゃん。
吹いてる姿も可愛いなあ。

「な、な、な何言ってんの!何言ってんの!!」

「いやあ、そうだったら、嫌なので聞いてるんですよ。
好きでもない人に迫られるとか、気持ち悪いじゃないですか。」

「18禁でも無いし!
そうだったら、そもそも私プレイ出来てないし!」

あら、アリスちゃん案外真面目な子なのね。
ていう事は。

「アリスさん、そんなに若い時にお亡くなりに・・・。」

「うん、転生物の良くあるやつ。
車の事故だった。」

ほろほろと涙が出てくる。

「ちょっと!何泣いてんの!」

20近く年下の娘さんに、涙を拭かれる私。

「まだこれから、沢山やりたい事があったでしょうに・・・。」

「別に、良いわよ。この世界に来れて推しを見れたから。」

「因みに推しはどなた?」

ぐずぐずと鼻を啜りながら、アリスちゃんに訊ねる。

「ノエル王子。」

あー・・・。

「あのナルシストですか・・・。」

「な!ナルシスト!?」

ビッシと顔に手を当て、指の隙間から目を見せるあの特有のポーズを決める。

「だって、こういうポーズで『この私と!!』みたいな台詞をほざいてたんですよ。
ナルシスト以外何者でも無いですよ。
!!・・・あ・・・・ごめんなさい。推しだったのに・・・。」

アリスちゃんが俯いて肩を震わせているのを見て、しまったと後悔する。
誰だって好きな人を馬鹿にされたら、腹が立つのに。

「・・・で、ウルフィン様は?」

「ウルフィン様?」

「あの、さっきアンタに話しかけた髪の毛赤い人。」

ああー、あれね。
ええと・・・確か。

「脳筋だったかな。」

更に肩を震わせる。
ううむ。やばい。

「じゃあ、リヒト様。髪の毛青色の。」

「インテリ腹黒。」

「ク、クリス様、黄色の髪。」

「ぶりっ子ショタボーイ。」

ブッとまたアリスちゃんが吹く。
ん?

「あーははっはっははは!!アンタ酷いわ!
攻略対象にそんな名前つけて!」

あ、笑ってた。良かった。怒ってない。

「あんなにイケメンの人達にそんな感情しか抱かないとか、どういう神経してんのよ。」

涙目になりながら、私に問いかける。
そう言われてもなあ。

「うーん。まず野郎に興味無いものだから、ですかねぇ?
二次元は二次元で割り切ってたので、実際現実に現れて二次元の振る舞いをされて、
引いたというか・・・。」

「え、まさかとは思うけど・・・。今の言葉・・・。」

「はい、本人に言いました。」

「ぎゃははっはははは!!マジで!言ったの!?」

「はい、ちょっとブチ切れてしまいまして。」

「最高!アンタ最高!」

「ありがとうございます?」

褒められたのかな?
ヒーヒー言ってるヒロイン。
あ、攻略対象って言ってた。

「やっぱりその四人は攻略対象なんですか。」

「そうそう、あとあの担任の先生と、隠しキャラの魔王と。」

「まおう。」

ほう、ファンタジー臭がぷんぷんするぜぇ。

「魔王は確かアンタの義理の兄じゃなかった?」

「え、そうなんですか?
居たかなあ、そんな人。」

「多分、もう少し後に養子として迎えられる筈。」

「うへえ、魔王が夫だったら嫌だなあ。」

フラグじゃないからね、先に言っておくけど。

「私がプレイしたのでは、6人だった。」

「なら、ほぼもう会ってますね。
そうであれば彼等には近寄りませんので、
アリスさんは推しの方を。」

「いや、アンタ。
あれだけ言って、そんな奴進める?」

「oh・・・・。」

「ohって。まぁ、私はこれに対してはそこまで思い入れがある訳じゃないし、
推しって言ってたけど、そこまで入れ込んでプレイしてなかったから。
まぁ、付き合えたらいいなぁ、位にしか思ってなかったわ。
それに、アンタの言う様に、リアルにあのキャラクターだったら、
そうよね、引くわ。」

良かった。同じ感性の持ち主で。

「そうですよね。好きでも無いのに、待ち伏せとかされたりとか幾ら、
見目が整っていても、おまわりさんこいつですレベルですもんね。」

「アンタ、イケメンに何かされたの?」

アリスちゃんは心配そうな目で私を見る。

「いえいえ、先程も言ったように、野郎に興味無いだけですよ。
私には夫が一番のイケメンに見えたのです。」

「イケメンだったの?」

興味津々に聞いてくるアリスちゃん。

「いいえ、何処にでもいる、フツメンですよ。」

「え・・・。」

「顔もタイプでは無かったですし、出会い方が違ってたら付き合っても居なかったかもしれないですね。」

納得いってない顔のアリスちゃん。
そうなんだよ、好きって気付いたら、
どうしようもなく好きなんだよ。

「好きになって、夫がすごーくイケメンに見えてくるんですよ。
何ですかね?自分にドンピシャなフェロモンでも出てたんですかね?
一緒に居てふわあって落ち着く感じ?」

「へぇー、・・・。そういうもんか。」

「まあ、あくまでも私個人の意見ですよ。」

「でも、いいなあ。
私もそんな人出来るかなあ?」

あら!可愛い!

「出来ますよ!アリスさんみたいに可愛い子、
私が男だったら、もう。
掴んで離しませんよ。
いや、女でも・・・。」

手をワキワキさせて、アリスちゃんに近寄る。

アリスちゃんはドン引きして、後退りする。

「ちょ、気持ち悪い。」

気持ちを静めて居住まいを正す。
咳払いをして、アリスちゃんに伝える。

「ですから、私はアリスさんをどうこうしようとは考えていませんので、
それだけは分かっていただきたかった訳です。」

「うん。私も。悪役令嬢ってだけで、敵視してたけど、
ちゃんと話せて良かった。」



「そして、もう一つお願いがあるのですが。」


「何よ?」


結構これ、重要なお願いです。





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