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異常事態
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あの騒動の後、部屋には戻らず、
そのまま家に帰った。
水をもろにかぶって、ずぶ濡れだったし、
アリスも心配だったし。
なので翌日、こんな事になるとは夢にも思わなかった。
アリスと一緒に学園に向かう道中、
チラチラとこちらを伺う視線が多数。
まぁ、ヒロインと悪役令嬢のビジュアルは整っているからなと、
呑気に考えていたが、学園に入った瞬間、
いや、学園の入り口付近での方が正しい。
大人数の人に囲まれた。
ほぼ女性。
数人が男性。
なに?なに?
全く予期していない状況に脳内がプチパニックを起こす。
アリスを見ると、プイとそっぽを向かれた。
わあ、かわいい!
いや、でも今はちょっとこっち向いて?
この状況本当に分からないから!
何だ?これ、集団暴行か?
おし、受けてたつぞ。
こちとら、チートで強くなってんだからな。
覚悟を決めて臨戦態勢を取る。
すると、大勢の中の一人が前に出て私の前に立つ。
あ、ハンナちゃんだ。
ハンナちゃんはもじもじしながら、顔を少し赤くして、
そして意を決して私を見て声を出す。
「ミ、ミリアム様!おはようございます!!」
「お、おはようございます。」
挨拶・・・?
うん、挨拶は大事だ。
そして続けてハンナちゃんは話す。
「昨日は私を介抱して下さり、本当にありがとうございました。
ミリアム様自ら、私を医務室まで連れて行って下さったと聞きました。」
「いえいえ、お身体はもう大丈夫ですか?」
わざわざお礼を言いに来てくれたのか。
私としては夢を叶えさせてくれて、逆にありがとうございます、だが。
それを言ってしまえば、
色々何かが終わりそうなので、敢えて言わなかった。
ハンナちゃんは頬に手を当て、少し目が潤んでいる。
「ミリアム様が、私を抱えてくれたと聞いて、
・・・意識を失ってた事を本当に悔やみましたわ・・・。」
ぬな?
「とっても、とーっても悔やまれます・・・。
ミリアム様の麗しいお顔を間近で拝見出来る事なんてそうそう無いのに、
ましてや私を抱えてなんて、そんな素敵な状況、もう二度とあるか分からないのに・・・。」
???
「そうですよぅ!!
御伽噺に出て来る王子様の様に本当に格好良くて、羨ましくて羨ましくて堪りませんでしたわ!!
私も気を失えば良かったと思う位!!」
「それは、心配になるので駄目ですよ?」
昨日、あの場に居た女の子の一人が熱に浮かされたように語るのを、
私はどう言ったら分からなかったので、良く分からない返しをした。
御伽噺の王子様って、此処に王子様と言うポジションの人が居るのに、
それを差し置いて私が王子様なんて・・・・。
と、離れた距離に件の王子様を視認出来た。
何かもう、泣きそうな、いや半分泣いてる顔で私を見てた。
あ。何か・・・ごめんよ・・・。
私は心の中で謝罪する。
「まぁああ!何てお優しいの!!私の事も気遣って下さるなんて!!」
意識を目の前に居るお嬢様達に戻す。
目の前!?
いつの間にか、結構な人数の女性が私のすぐ目の前に居た。
近い、近い。
「ええと、あの・・・。これは、一体?」
ハンナちゃんはキリリとした顔になる。
「私達、ミリアム様のファンクラブを結成しましたの!
つきましては、その事をミリアム様にご了承戴きたくて、此処でミリアム様を待っていました。」
「ファンクラブ。」
「そうです!此処に居る全員がミリアム様のファンクラブに入りたい方達です。
どうか、ミリアム様、ご了承して戴けますか?」
これは、お願いと言うより、強制ですよね?
この人数で、駄目だと言った時の反動が怖い。
アリスを見る。
すんごく楽しそうな顔で笑っている。
あ、他人事だと思ってんな、これ。
「いいわね、ミリアム。こんなにファンが居て。
私もファンクラブに入ろうかしら?」
「面白がってますね、アリス。」
はぁあああああああ。私は大きく溜息を吐く。
「もうこんなに多くの方が賛同しているのに、駄目だとは言えないでしょう。」
「では!!!」
ハンナちゃんは更に私に詰め寄る。
可愛いけど、もう顔と顔当たるって。
私は一歩後退して距離を取る。
「その代わり、揉め事を起こさないようにしてくださいね?
喧嘩とか駄目ですからね。」
「「「「「「「はい!!!!」」」」」
まあ、良いお返事だこと。
皆さんきゃわきゃわ楽しそうにしているので、
良しとしよう。
「では、私はこの辺で・・・。」
「はい!!!!ありがとうございました!」
ハンナちゃんが元気よく応える。
「どういたしまして。」
アリスと再び歩き出す。
アリスは肩を震わせながら歩く。
「ファンクラブて・・・。王子差し置いて、
ファンクラブて・・・。」
コイツめ!
「王子涙目・・・きゃあ!」
アリスに抱きついて、こそばす。
「あは、あはははは、やめ、ちょ、ごめんて!
ははははは!!」
「また、動きにくくなってしまったじゃないですかぁ!」
「あは、はは。だって、それはアンタが、昨日あんな事をするから、いけな、ははは!!」
ひとしきりこそばして、満足したのでアリスから離れる。
「はぁ、まあ、いいか。
女の子に嫌われるよりかはマシですし。」
「ミリアム王子、ふふふふ。」
まだ忍び笑いをするアリスをチロリと睨む。
アリスはすん、と静かになる。
はぁ、どうしよ。
夫探し難航しそうだな・・・。
そのまま家に帰った。
水をもろにかぶって、ずぶ濡れだったし、
アリスも心配だったし。
なので翌日、こんな事になるとは夢にも思わなかった。
アリスと一緒に学園に向かう道中、
チラチラとこちらを伺う視線が多数。
まぁ、ヒロインと悪役令嬢のビジュアルは整っているからなと、
呑気に考えていたが、学園に入った瞬間、
いや、学園の入り口付近での方が正しい。
大人数の人に囲まれた。
ほぼ女性。
数人が男性。
なに?なに?
全く予期していない状況に脳内がプチパニックを起こす。
アリスを見ると、プイとそっぽを向かれた。
わあ、かわいい!
いや、でも今はちょっとこっち向いて?
この状況本当に分からないから!
何だ?これ、集団暴行か?
おし、受けてたつぞ。
こちとら、チートで強くなってんだからな。
覚悟を決めて臨戦態勢を取る。
すると、大勢の中の一人が前に出て私の前に立つ。
あ、ハンナちゃんだ。
ハンナちゃんはもじもじしながら、顔を少し赤くして、
そして意を決して私を見て声を出す。
「ミ、ミリアム様!おはようございます!!」
「お、おはようございます。」
挨拶・・・?
うん、挨拶は大事だ。
そして続けてハンナちゃんは話す。
「昨日は私を介抱して下さり、本当にありがとうございました。
ミリアム様自ら、私を医務室まで連れて行って下さったと聞きました。」
「いえいえ、お身体はもう大丈夫ですか?」
わざわざお礼を言いに来てくれたのか。
私としては夢を叶えさせてくれて、逆にありがとうございます、だが。
それを言ってしまえば、
色々何かが終わりそうなので、敢えて言わなかった。
ハンナちゃんは頬に手を当て、少し目が潤んでいる。
「ミリアム様が、私を抱えてくれたと聞いて、
・・・意識を失ってた事を本当に悔やみましたわ・・・。」
ぬな?
「とっても、とーっても悔やまれます・・・。
ミリアム様の麗しいお顔を間近で拝見出来る事なんてそうそう無いのに、
ましてや私を抱えてなんて、そんな素敵な状況、もう二度とあるか分からないのに・・・。」
???
「そうですよぅ!!
御伽噺に出て来る王子様の様に本当に格好良くて、羨ましくて羨ましくて堪りませんでしたわ!!
私も気を失えば良かったと思う位!!」
「それは、心配になるので駄目ですよ?」
昨日、あの場に居た女の子の一人が熱に浮かされたように語るのを、
私はどう言ったら分からなかったので、良く分からない返しをした。
御伽噺の王子様って、此処に王子様と言うポジションの人が居るのに、
それを差し置いて私が王子様なんて・・・・。
と、離れた距離に件の王子様を視認出来た。
何かもう、泣きそうな、いや半分泣いてる顔で私を見てた。
あ。何か・・・ごめんよ・・・。
私は心の中で謝罪する。
「まぁああ!何てお優しいの!!私の事も気遣って下さるなんて!!」
意識を目の前に居るお嬢様達に戻す。
目の前!?
いつの間にか、結構な人数の女性が私のすぐ目の前に居た。
近い、近い。
「ええと、あの・・・。これは、一体?」
ハンナちゃんはキリリとした顔になる。
「私達、ミリアム様のファンクラブを結成しましたの!
つきましては、その事をミリアム様にご了承戴きたくて、此処でミリアム様を待っていました。」
「ファンクラブ。」
「そうです!此処に居る全員がミリアム様のファンクラブに入りたい方達です。
どうか、ミリアム様、ご了承して戴けますか?」
これは、お願いと言うより、強制ですよね?
この人数で、駄目だと言った時の反動が怖い。
アリスを見る。
すんごく楽しそうな顔で笑っている。
あ、他人事だと思ってんな、これ。
「いいわね、ミリアム。こんなにファンが居て。
私もファンクラブに入ろうかしら?」
「面白がってますね、アリス。」
はぁあああああああ。私は大きく溜息を吐く。
「もうこんなに多くの方が賛同しているのに、駄目だとは言えないでしょう。」
「では!!!」
ハンナちゃんは更に私に詰め寄る。
可愛いけど、もう顔と顔当たるって。
私は一歩後退して距離を取る。
「その代わり、揉め事を起こさないようにしてくださいね?
喧嘩とか駄目ですからね。」
「「「「「「「はい!!!!」」」」」
まあ、良いお返事だこと。
皆さんきゃわきゃわ楽しそうにしているので、
良しとしよう。
「では、私はこの辺で・・・。」
「はい!!!!ありがとうございました!」
ハンナちゃんが元気よく応える。
「どういたしまして。」
アリスと再び歩き出す。
アリスは肩を震わせながら歩く。
「ファンクラブて・・・。王子差し置いて、
ファンクラブて・・・。」
コイツめ!
「王子涙目・・・きゃあ!」
アリスに抱きついて、こそばす。
「あは、あはははは、やめ、ちょ、ごめんて!
ははははは!!」
「また、動きにくくなってしまったじゃないですかぁ!」
「あは、はは。だって、それはアンタが、昨日あんな事をするから、いけな、ははは!!」
ひとしきりこそばして、満足したのでアリスから離れる。
「はぁ、まあ、いいか。
女の子に嫌われるよりかはマシですし。」
「ミリアム王子、ふふふふ。」
まだ忍び笑いをするアリスをチロリと睨む。
アリスはすん、と静かになる。
はぁ、どうしよ。
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