転生?乙女ゲーム?悪役令嬢?そんなの知るか!私は前世の夫を探しに行く。

コロンパン

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再会

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そろそろ、夫探しに動き出したい。

だが、何処から始めればいいのやら。

今は、私の部屋でアリスと作戦タイム。

「ほんっとーに何もヒント無いの?」

「はい、あのバ神の野郎、自力で探させとしか言ってなかったです。」

アリスは溜め息を吐く。

「探しよう無いわよね・・・。ノーヒントで探せって、世界中探すのにどのくらい時間かかるかって話よ。
全く、何考えてんのかしら?」

「本当に。一発でもぶん殴っておけば良かったです。
この世界って言っても、地球の様に丸いのなら裏側とかで転生したら、大変ですよね。」

「ああ、大丈夫だよ~。
私、そこまで鬼じゃないし~。
ちゃんとこの国の何処かに転生させたから~。」

「この国って言っても、結構広いのよ?このゲーム、攻略対象が色んな所に散らばるから、探すの凄く大変だったんだから。」

「そうなんですか。地球で言う所のどの国位の広さなんですか?」

「ええと・・・。どのくらいだろう。」

「んーとね、あー・・・。地球引く日本かな?」

「それ、ほぼ地球じゃね?」

「ですね。ふざけんな、ですよ。」

「ごめんて!でも、探し甲斐あるでしょ?」

「探し甲斐なんてもとめ・・・。」

「・・・・・・。」





私とアリスは自分の間にちゃっかり座って、お菓子を食べている人物を無言で見つめる。

その人物は二人の視線に気づき、

「んもう!やぁっと気づいてくれたぁ!
結構、寂しかったんだからね!!」

態とらしく頬を膨らまして腰に手を当てる。






私とアリスは無言で頷き合いながら、アリスは無言でその人物、じゃない、バ神を羽交い締めにする。

「え?ちょ、ちょっと?何?何?てか、ヒロインの子さ、力強くない?」

そして、私は無言で立ち上がり、羽交い締めにされたバ神の前に立つ。

「え?え?どしたの?何、顔すんごく怖いよ?ちょっと、何か喋ってよ!」

「歯ぁ、食いしばるなよ?」

「何?言葉おかしいよね?歯食いしばるなってプギャン!!!」

全くのノーモーションで、バ神の脳天に強化した私の拳骨をお見舞いした。
バ神は馬鹿みたいな叫び声を上げて、頭が首にめり込んだ。


あああああ、すーーーーーっとしたぁ!!!
幾分か、気分が晴れた私は、まだ頭がめり込んだままのバ神を見る。
手で頭の位置を戻して、凄いな、戻るんだ。

バ神は叫び出す。

「いーーーったああああああい!!んもう!!
私が神様じゃなかったら、頭割れてたんだからね!」

割れてたら良かったのに。

「ちょっと!割れてたら良かったって、聞こえてるんだからね!!
で、後ろのヒロインの子!
私、化け物じゃないから、神様だからね!!」

「えっ・・・。何で、私の考えてる事・・・。」

アリスがドン引きして、バ神から即座に離れて私の後ろに隠れる。

・・・可愛いなあ、もう。

「アリス、コイツ人の心を勝手に読む変態神なんです。」

「え、キモい。」

「ちょっと?君達、心の中と口に出してるのが全く一緒なんだけど、どういう事?」

そら、本心でそう思っているからでしょうね。

「んもう!!折角ヒント出してあげようと思ったのに、そんな態度なんだったら、帰っちゃうからね?」

「え!?」

アリスが私の洋服の端を引っ張る。
一々可愛いな。

窓の方へ歩いていき、チラチラ此方を見てくるバ神。

「いいの?本当に帰っちゃうよ?」

一々キモイな。

「・・・・ヒロインの子との差が激しくない?」

激しくない。本心だ。

「本当に酷いよね、君。悪役令嬢お似合いじゃない?」

そうか、もう一発ぶん殴られたいか。
今度は手加減無しでいいんだな?

「いやいやいやいや!無理無理無理!
ごめんなさい!許して!」

「ねえ、さっきからあの人しか喋ってないけど、
ミリアム何言ってるの?」

ああ、もう口を開くのすら面倒だったから、心の中で話していたわ。

「気にしないでください、アリス。
取り敢えずあのバ神をもう一発殴るという話なだけですから。」

「あ、そうなの。捕まえておこうか?」

アリスの順応の早さに涙が出ます。

「分かった!分かったから!
ヒント言うから、捕まえないで!殴らないで!」

「始めからすぐ言えばいいのに。」

「ねー。」

アリスも同調する。

「何?このヒロインと悪役令嬢のコンビ。恐ろしいわぁ・・・。」

「早く言ってくれませんかね。」

「分かったよ!んもう!」

・・・・。

「あのねぇ。旦那さんの事を本当に理解しているなら、
転生しているかは分かると思うんだけどなぁ~。」

「何に?」

「そ。何に。」






ーああ、なるほど。

私は思わず笑みを溢す。

「ヒントだったでしょ?」

「そうですね。これは大きいヒントでした。」

「え?え?」

どや顔のバ神。
悪い顔で笑う私。
混乱顔のアリス。

三者三様の反応をする。

「凄いヒントなら、ほら、はい!」

バ神が何かを催促している。
よく分からないから無視しておこう。

「え?お礼は・・・?」

悲しげな顔で私を見るが、お礼を言う理由も無いから、無視しておこう。

「な、何て言う・・・。」

「さて、アリス。」

「さらっと無視!んもう!!!
根性悪の悪役令嬢!!」

無言でバ神を睨む。

「ばーか!ばーか!」

小学生の様な罵倒を残してバ神は消えた。




呆然としたアリスはぽつりと溢す。

「・・・何だったの、一体。」

「私も分からないです。只言える事は。」

「言える事は?」

「取り敢えず、んもう!が苛つく。」

「は、・・・はははははは!!
確かに!あれ、凄く気持ち悪い!
あはははは!」

あ、アリスもやっぱりそう思ったんだ。

お腹を抱えて笑うアリスに私も釣られて笑う。

「ふふふふ。気持ち悪いしかないですよね。」

「・・・・!!」

アリスの顔が驚愕の表情に変わる。
ん?
どうしたんだろう。

「その顔、反則よね・・・。さっきの神様を殴る時の顔はゲームのミリアムの顔だったのに。」

「え?」

「何でもない。ていうか、ヒントって何だったの?」

アリスが言う。
そうだった。

「アリス、この世界にギルドとかあります?」

「え?あったと思うけど、それが?」

私はニヤリと笑う。

「夫を探しに行くんです。」












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