転生?乙女ゲーム?悪役令嬢?そんなの知るか!私は前世の夫を探しに行く。

コロンパン

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男の気持ちが何と無く分かった気がする。

「え?何故泣いているんです?」

「う、うるさい!泣いてない!!」

いや、目に涙滅茶苦茶溜まってるぞ?
嘘だろ?
あんな事で泣くとか無いよな?
目にゴミが入ったとか、いきなり口の中にワサビが入ったとかだよな?


「まさかですが、私の言葉で泣いたとかでは無いですよね?
そんな事は無いとは思いますが。」

「・・・・・・。」

肩を震わせて唇を噛み締めるセイに、どんどん焦りが募る。
いやいやいや。
止めて?
あんな、私のショボい口撃で泣くか、普通?

君、デイヴィッドさんに寄って来る女性達を排除してきたんだろ?

「嘘ですよね?そんなメンタル弱い訳無いですよね?
だって、こんな事で泣いてたら、腹黒い女性に勝てる訳無いじゃないですか。
え?まさか排除してきたとか、実は・・・・虚勢・・?」


「ミリアム・・・!」

「え?」

「追い打ち掛けてるから。」

アリスに言われて、セイを見たら・・・・。
完全に涙がボロボロと流れ落ちていた。

「ううう・・・。」

おおおいい!
マジ泣きしてるじゃん!

はっ!
アリスが『あーあ、泣かせたー。』って顔してる!
違うって!
あんな風にこっちに喧嘩売ってきてるから、
買っただけなのにあんな泣くとか狡いだろ!

「いやいや!アリス!違いますよ!?
そもそもセイさんが最初ですよ?
私は正論を言った筈です。
それで泣かれるとか。
勘弁してくださいよ・・・。」

「ふぐっ・・・!!」

更にセイが嗚咽を漏らして泣き出す。

「え、ちょ、」

「また泣かせてどうすんのよ。」

「えええええ・・・。」

気分は、ミスを注意した女性社員がいきなり泣き出して、
それを周りから非難の目で見られる上司の、それだ。

まさか、そんなネタの様な話、自分が当事者になるなんて。


うーん、どうしたものか。
頭を掻きながら、セイに近づく。


「嘘泣きじゃないですよね?」

スパンッ!!
アリスが私の頭を叩く。

効かぬ!!

じゃなかった、セイの背中を摩りながら考えながら話す。


「ええと、言い過ぎたのでしょうね、きっと。
(私としては甚だ不本意ですが)申し訳ありません。
ずっと探していた大切な人に会えると思って、
今日此処へ来たのですが、まさかの展開に少し頭に血が上ってしまった様です。」

本音を隠しながら謝る。
すると、涙を手で拭いながらセイさんが小さい声で話始める。


「俺も・・・、頭ごなしにあんな事を言って悪かった。
デイヴィッド目当てによく嘘の依頼書で呼び出してくる女が時々居るから、
正規の依頼は依頼主が直接会う事が少ないから、女が依頼主は全部疑う事にしているんだ。」

ギックウ!!
背中を摩る手が止まる。

「今回もそうなのかと思ったんだ。
いつもの女達なら、さっきみたいに言えばすぐ引き下がって帰ってたから、
お前もどうせそうなんだと、いつもみたいに言って追い払おうと思った。」

「あ、ああ、そうなんですか。」

目が泳ぎ始めるが、セイさんは俯いている為気が付かないみたいだ。
良かった。

「本当の依頼だったらなんて考えもしなくて、
俺のせいでデイヴィッドの評判が悪くなるって言われて途端に恐くなって。」

グゥッ!!
こちらは途端に罪悪感が芽生え始める。
私に構わずセイさんは続ける。


「初めて見たんだ。」

「え?」

「デイヴィッドのあんな優しい顔を見たの、初めてだったんだ。」

ドクン。
それは、恐らく自意識過剰では無い。
胸が大きく脈打つのが分かった。

「アンタの依頼書を愛おしそうに見ていたんだ。
好きな人の手紙を読んでいる様に大事そうに扱って。」

胸がこれでもかという位、締め付けられる。
彼が私を覚えていてくれた。
自分の洋服を握り締める。
堪えろ。堪えろ。

「でも、デイヴィッドの事だから、悪い女に騙されているのかもしれないとも思った。
だって、アイツ。 」

「・・・凄く、お人好しで、頼まれたら嫌とは言えず、沢山の仕事を背負い込む?」

声が少し震えたが、きっと誰も気付いていないだろう。
だって、私は無表情がデフォだから。

「そう!そうなんだよ!」

「皆に優しくて、のほほんとしてる。
だから、誰からも好かれてしまうんですよね?」

セイさんの顔がぱあっと明るく輝く。

「そうなんだ!
アイツ、人を疑う事を知らないから、
本当によく良い様に使われている時が多くて。
だから、俺がいつもちゃんとした依頼かどうか確認してたんだ。」

君は今世でも君なんだ、とても安心した。

「今回もアンタの顔を見て、絶対騙されてると思って、あんな事を言ってしまったんだ。
ごめん・・・。」

済まなそうな顔をするセイさん。

「ははは。まぁ、私悪い顔していますものね。
紛らわしくて済みません。」

この子も大変だったのだろうな。
前世で私がヤキモキしていたみたいに。

「変な所、頑固でこちらが助言しても聞きもしない。
かと言って、暫くしたら然も自分が調べたかの様にその助言をこちらに言うでしょう?
記憶何処に落としてきたのかなと思ってしまいますよね?」

こくこくと首を何回も縦に振るセイさん。
ああ、セイさんの苦労が分かる。

「心中お察しします。」

つい、セイさんの頭を撫でてしまった。
カアッとセイさんの顔が赤くなる。

「あ、済みません。年若い貴方の苦労が想像出来るなあと思いまして。」

「・・・・・アンタ、俺の事幾つだと思ってる?」

顔が赤いままセイさんが私に尋ねる。

「13歳位かと。」

「!!!・・・俺は、20だ!」

「え!?」「嘘!!??」

アリスと私が同時に叫んだ。
アリスも私と同じ様に思ったのだろう。

ショックを隠せないセイさんは、大分傷付いた顔をしている。
だが、仕方ないだろう。

彼の見た目、本当に少年みたいだもの。
栗色のほわほわした癖毛。
どんぐりの様に真ん丸な瞳。
小ぶりな唇。

うーん。恐るべきハニーフェイス。


「本当に済みません。
てっきり年下かと思いました。」

「いいよ、よく間違えられるし、もう慣れた。」

哀愁の漂うセイさん。

「あ、そうだ。これ。」

傷心のセイさんから、手紙を渡される。

「これは?」

「デイヴィッドから。」

彼は手紙を書いてくれたのか!
そういうの恥ずかしいからと書いてくれなかったのに、じんわり心が暖かくなる。


「セイさん、ありがとうございます。」

手紙を受け取り、胸に抱える。





もうすぐで会えるんだ、実感が全然湧かないが、
会えたら取り敢えず謝る。

そう、決めていた。













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