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お兄様?
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アリスと別れ、私とセイさんは家に着く。
「さて、今日から此処で生活してもらいます。」
屋敷をバックに私はセイさんに告げる。
セイさんはまた顔面蒼白になり、背中を向けて
「俺、やっぱり帰る。」
そうはさせまいと、セイさんの肩をがっしりと掴む。
「離せ!俺は帰る!こんな所、住めるわけないだろう!」
私の家、THE貴族という程立派で、住んでる人間は少ないのに、何LLLLDDKKなんだよと思う位、部屋数が無駄に多い。
それに比例してデカい。
転生して何回も迷子になった。
今も迷う。
これは、私が方向音痴のせいだけでは無い筈だ。
だから、セイさんの気持ちも分かる。
だが、
「ふふふ。誰が帰すものですか。
セイさんは大切なひとじ・・・ゲフンゲフン、お客様です。
デイヴィッドさんにもくれぐれも宜しくと言われているのに、帰す馬鹿が何処に居るのですか。」
デイヴィッドからは、金を貸してくれと頼まれただけだが、デイヴィッドが確実にこちらに会いに来るように、
セイさんには悪いが大事なお客様になって頂く。
お客様ね、大事な。
お客様だからね?
「態とらしく咳き込んで、人質って言っただろ!」
私の不穏な気配を察知して、セイさんが震える。
「なーにを言ってるんですかぁ。
大事なお客様ですよ?
この屋敷、ある程度自由にしていいんですから、
遠慮せずに。」
「遠慮する!俺、平民だぞ!
いきなりこんな豪邸に住めって言われて、はい、分かりましたって了承できないだろ。」
「大丈夫です、慣れます。」
「何を根拠に。」
元平民だった私が慣れたから、セイさんも大丈夫だ。
「大丈夫です。」
「いや、だから、」
「ミリアム?帰って来たの?」
私とセイさんが屋敷の外でで押し問答をしていると、シュタイナーが屋敷から出てきた。
「あ、お兄様、ただいま戻りました。」
「お帰り、ミリアム。」
シュタイナーはセイさんを一瞥し、視線を私に戻す。
「ミリアム、この人は?」
「この人は、セイさんです。諸事情により此処で暫く生活して頂く事になりました。」
「バッ!おい!」
先手必勝、言ったもん勝ちだ。
ほほほ。
と、ほくそ笑んでいると、シュタイナーは目を細めてセイさんに挨拶をする。
何故だろう、空気が重い。
「こんにちは、僕はシュタイナー。ミリアムの義理の兄です。
随分とミリアムと仲が良いんだね?
ずっと屋敷の前でじゃれ合ってたから、
何だか羨ましくなっちゃった。」
「セイと申します。
ミリアムさんとは、今日初めて会った訳で、
別にじゃれ合ってはいなかったのですが・・・。」
シュタイナーが何故か敵意剥き出しで、
セイさんを睨み付けている。
セイさんは何故そんな目で見られなければいけないのか分からないと、困惑している。
「初めて?会ったのに、もうミリアムにそんな砕けた話し方をするの?」
「ミリアムさんがそうしろと仰ったので。」
おい!確かに言ったが、矛先をこちらに向けないでくれ!
「そうなの?ミリアム?」
ほらー、やっぱり来たじゃないか。
シュタイナーの目が恐いわ。
「はい、そうです。
共通の話題で意気投合しまして、
其処からとても仲良くなりました。」
「おま、」
セイさんは思わず声が出たが、シュタイナーがチロリと見てきたので、最後まで言い切らずに言葉を呑み込んだ。
(アンタ、何言ってくれてんだよ!
あの眼見ろよ!俺を殺す眼をしてるのか分からないか?)
(分かった上での発言です。
意気投合したのは確かでしょう?)
(だからと言って、正直に言うなよ!)
(いやぁ。お兄様何か、怒ってるっぽいから、
怒られる時は一緒だ!と思いましてつい。)
以上。
私とセイさんのアイコンタクトの会話でした。
「どうかしたの?二人とも見つめ合って。」
「いえ、何も。」
シュタイナーが相変わらず黒い空気を纏い、
私に話し掛ける。
一体どうしたというのか。
「まぁ、こんな所でいつまでも話していても、アレだから、早く中に入ろう?
ジョセフ様にも言わなければいけないしね。」
そう言われたので、私は中へ入った。
セイさんもシュタイナーの無言の圧力で、肩をがっくりと落とし観念して中へ入った。
うーん。
シュタイナーよ、何故私の手を握っているのだ。
「ねぇ、ミリアム。」
「はい、何でしょう。」
「ミリアムが言っていた最愛の人って、この人の事?」
「いいえ、この人は最愛の人のご友人です。」
「ふぅん?諸事情って何があったの?」
「それは、」
何だろう、尋問されている気分だ。
うーん。
「それは、俺の友人が俺の金を持ってクエストに行ってしまいまして、
お優しいミリアムさんが、それならとこちらへ連れて来てくれたんですよ。」
私達の後ろを歩いていたセイさんが助け船を出してくれた。
「・・・そうなの?」
シュタイナーはセイさんを見た後、私に確認する。
「はい、その通りです。」
シュタイナーはニコリと微笑む。
「そうなんだね。ミリアムは本当に優しいね。」
「・・・優しくは無いです。」
打算でセイさんを連れて来たので、優しいとは違う。
「ふふふ。照れているの?」
「いや、そういう訳では無いのですが。」
照れてなどいない。
先程とは違うシュタイナーの純粋な微笑み。
汚れた考えを持つ私は罪悪感を抱く。
「ジョセフ様もこんなに優しいミリアムを誇りに思われるよ。」
「そんな事は無いです。」
「思われるよ、絶対。」
「はぁ・・・。」
これは困った。
何処で私の株が上がったのか、私を過大評価するシュタイナーに何を言っても無駄なようだ。
私は、諦めた。
三人で父の居る部屋へ。
事情を話したら、父は何故か号泣し、
「私のミリアムはなんて慈悲深い!!
私は幸せ者だ。天使の様に清らかな心を持つ娘の父親で。」
「ね。言ったでしょう?」
「あははは。」
もう笑うしかない。
こうして、セイさんを問題なくこの屋敷に招き入れる事に成功した。
私の少しばかりのMPを犠牲にして。
「さて、今日から此処で生活してもらいます。」
屋敷をバックに私はセイさんに告げる。
セイさんはまた顔面蒼白になり、背中を向けて
「俺、やっぱり帰る。」
そうはさせまいと、セイさんの肩をがっしりと掴む。
「離せ!俺は帰る!こんな所、住めるわけないだろう!」
私の家、THE貴族という程立派で、住んでる人間は少ないのに、何LLLLDDKKなんだよと思う位、部屋数が無駄に多い。
それに比例してデカい。
転生して何回も迷子になった。
今も迷う。
これは、私が方向音痴のせいだけでは無い筈だ。
だから、セイさんの気持ちも分かる。
だが、
「ふふふ。誰が帰すものですか。
セイさんは大切なひとじ・・・ゲフンゲフン、お客様です。
デイヴィッドさんにもくれぐれも宜しくと言われているのに、帰す馬鹿が何処に居るのですか。」
デイヴィッドからは、金を貸してくれと頼まれただけだが、デイヴィッドが確実にこちらに会いに来るように、
セイさんには悪いが大事なお客様になって頂く。
お客様ね、大事な。
お客様だからね?
「態とらしく咳き込んで、人質って言っただろ!」
私の不穏な気配を察知して、セイさんが震える。
「なーにを言ってるんですかぁ。
大事なお客様ですよ?
この屋敷、ある程度自由にしていいんですから、
遠慮せずに。」
「遠慮する!俺、平民だぞ!
いきなりこんな豪邸に住めって言われて、はい、分かりましたって了承できないだろ。」
「大丈夫です、慣れます。」
「何を根拠に。」
元平民だった私が慣れたから、セイさんも大丈夫だ。
「大丈夫です。」
「いや、だから、」
「ミリアム?帰って来たの?」
私とセイさんが屋敷の外でで押し問答をしていると、シュタイナーが屋敷から出てきた。
「あ、お兄様、ただいま戻りました。」
「お帰り、ミリアム。」
シュタイナーはセイさんを一瞥し、視線を私に戻す。
「ミリアム、この人は?」
「この人は、セイさんです。諸事情により此処で暫く生活して頂く事になりました。」
「バッ!おい!」
先手必勝、言ったもん勝ちだ。
ほほほ。
と、ほくそ笑んでいると、シュタイナーは目を細めてセイさんに挨拶をする。
何故だろう、空気が重い。
「こんにちは、僕はシュタイナー。ミリアムの義理の兄です。
随分とミリアムと仲が良いんだね?
ずっと屋敷の前でじゃれ合ってたから、
何だか羨ましくなっちゃった。」
「セイと申します。
ミリアムさんとは、今日初めて会った訳で、
別にじゃれ合ってはいなかったのですが・・・。」
シュタイナーが何故か敵意剥き出しで、
セイさんを睨み付けている。
セイさんは何故そんな目で見られなければいけないのか分からないと、困惑している。
「初めて?会ったのに、もうミリアムにそんな砕けた話し方をするの?」
「ミリアムさんがそうしろと仰ったので。」
おい!確かに言ったが、矛先をこちらに向けないでくれ!
「そうなの?ミリアム?」
ほらー、やっぱり来たじゃないか。
シュタイナーの目が恐いわ。
「はい、そうです。
共通の話題で意気投合しまして、
其処からとても仲良くなりました。」
「おま、」
セイさんは思わず声が出たが、シュタイナーがチロリと見てきたので、最後まで言い切らずに言葉を呑み込んだ。
(アンタ、何言ってくれてんだよ!
あの眼見ろよ!俺を殺す眼をしてるのか分からないか?)
(分かった上での発言です。
意気投合したのは確かでしょう?)
(だからと言って、正直に言うなよ!)
(いやぁ。お兄様何か、怒ってるっぽいから、
怒られる時は一緒だ!と思いましてつい。)
以上。
私とセイさんのアイコンタクトの会話でした。
「どうかしたの?二人とも見つめ合って。」
「いえ、何も。」
シュタイナーが相変わらず黒い空気を纏い、
私に話し掛ける。
一体どうしたというのか。
「まぁ、こんな所でいつまでも話していても、アレだから、早く中に入ろう?
ジョセフ様にも言わなければいけないしね。」
そう言われたので、私は中へ入った。
セイさんもシュタイナーの無言の圧力で、肩をがっくりと落とし観念して中へ入った。
うーん。
シュタイナーよ、何故私の手を握っているのだ。
「ねぇ、ミリアム。」
「はい、何でしょう。」
「ミリアムが言っていた最愛の人って、この人の事?」
「いいえ、この人は最愛の人のご友人です。」
「ふぅん?諸事情って何があったの?」
「それは、」
何だろう、尋問されている気分だ。
うーん。
「それは、俺の友人が俺の金を持ってクエストに行ってしまいまして、
お優しいミリアムさんが、それならとこちらへ連れて来てくれたんですよ。」
私達の後ろを歩いていたセイさんが助け船を出してくれた。
「・・・そうなの?」
シュタイナーはセイさんを見た後、私に確認する。
「はい、その通りです。」
シュタイナーはニコリと微笑む。
「そうなんだね。ミリアムは本当に優しいね。」
「・・・優しくは無いです。」
打算でセイさんを連れて来たので、優しいとは違う。
「ふふふ。照れているの?」
「いや、そういう訳では無いのですが。」
照れてなどいない。
先程とは違うシュタイナーの純粋な微笑み。
汚れた考えを持つ私は罪悪感を抱く。
「ジョセフ様もこんなに優しいミリアムを誇りに思われるよ。」
「そんな事は無いです。」
「思われるよ、絶対。」
「はぁ・・・。」
これは困った。
何処で私の株が上がったのか、私を過大評価するシュタイナーに何を言っても無駄なようだ。
私は、諦めた。
三人で父の居る部屋へ。
事情を話したら、父は何故か号泣し、
「私のミリアムはなんて慈悲深い!!
私は幸せ者だ。天使の様に清らかな心を持つ娘の父親で。」
「ね。言ったでしょう?」
「あははは。」
もう笑うしかない。
こうして、セイさんを問題なくこの屋敷に招き入れる事に成功した。
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