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アリスの焼きもちは私にとってご褒美です。
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え?
この目の前のお嬢さんは何を言っているのかな?
必死の形相で男装とか言ってなかったか?
私が固まっていると、ジュリアンちゃんは更に言葉を重ねてくる。
「あのギルドを偶然通りかかった方が、ミリアム様の姿をお見かけになったと仰っていました。
その際に、ミリアム様が男装なさっていたと。」
「男装かどうかは分からないんですけど、動きやすい服装をしていたのは確かですね。」
アリスも言ってたけど、あの服装は男装になるのか?
「!!!やはり、そうなのですね!!」
ジュリアンちゃんの目が輝き出す。
私は嫌な予感がして、後退りする。
逃がすまいと私の手を両手で握り締める。
「ミリアム様!!」
「は、はい。」
ああ、本当に嫌な予感。
「私達にも、是非!是非!
男装姿を見せてください!!!」
あー、ですよねー。
周りのお嬢さん達も鼻息荒く私に詰め寄る。
「ちょっと待ちなさいよ!」
アリス!
「あら、何かしら?」
ジュリアンちゃんがふんっとアリスを一瞥する。
「ミリアムの男装姿は私が先に見るんだからね!
アンタ達は後よ!後!」
ア、アリス?
「あーら、そんな順番なんて知らないわ?
私達はミリアム様にお願いしているのよ?
ほら、こうやって服も転写機もちゃんと用意しているのよ?」
ジュリアンちゃん達がビラっと沢山の男物の服と何やら小さな機械を見せびらかす。
・・・・ちょっと待ってね。
その服の量・・・。
2、30着位あるのは、私の目が老眼になってる訳じゃないよね?
「て、転写機ですって!!
何それ、詳しく教えろ下さい!」
アリス!?
ジュリアンちゃんが不敵に笑い出す。
「ほほほほほ!!これはね、目的物を忠実に映し出す最先端の物なのよ。
これで男装したミリアム様を映し出して、半永久的にそのお姿を保存できる素晴らしい機械なのよ。
我が家で発明したのよ!」
「な、なんですって・・・・!!!」
アリスがブルブルと震え出す。
ア、アリス?
嘘だよね、アリスは味方だよね?
信じてるよ、アリス?アリス?
「是非とも!!私もその撮影会に参加させて下さい!!!
私も衣装を持参いたしますので!!何卒!!」
アリスが何ともキレッキレの土下座をする。
ああああああああ!!アリスぅううううううう!
裏切者!!!!
「ふん。分かっているじゃないの。いいわ、特別に貴女も参加を認めましょう。」
「ありがとうございます!!」
「アリスさん・・・?」
「はっ!?」
私のゴゴゴゴゴゴゴという不穏なオーラにアリスがびくりと肩を震わせる。
「何、勝手に話を進めてくれてんの?」
「ごめーん、つい?」
あ、正統派ヒロインのてへぺろだ。
ズルい、許しちゃうよ、そんな可愛い顔されたら。
はあああああああと長い溜息を吐く。
でも留飲は下がらないので、アリスにもジュリアンちゃんにも軽い仕返しをしよう。
「まぁ、可愛いお嬢さん達のお願いを断る訳にはいかないですね。
でも。」
私はジュリアンちゃんに近寄る。
そしてジュリアンちゃんを自分に引き寄せる。
「え・・・。」
ジュリアンちゃんが小さく声を上げる。
私はジュリアンちゃんの小さな顎を人差し指と親指で優しく挟み込み、クイと私の顔に近づけるように上げる。
「アリスまで味方に引き込むなんて、貴女も中々策士ですね?」
「あ、あ、あ。あの、ミリアム様ぁ。」
後ろから割れんばかりの悲鳴が上がる。
「きゃああああ!!ジュリアン様!!!」
「何て羨ましい!!」
あれ?
「み、みりあむさま?これはいったい。」
涙目で私を見るジュリアンちゃん。
可哀想な位真っ赤だ。
「ああ、これは顎クイという悩殺技です。」
「あ、あごくい?」
「ドキドキするでしょ?」
「は、はい。とても、心臓が止まりそうです。」
おっと、危うく殺人犯になる所だった。
ジュリアンちゃんがホッと息を吐く。
「あごくい?」
「初めて聞いたわ・・・。」
「何て魅惑的なんでしょう・・・。」
お嬢さん達がうっとりとした顔で呟く。
案の定、アリスはハムスターがヒマワリの種を頬袋に満タン入れた様に頬っぺたが膨れ上がっている。
ちょっとした仕返しだ。
舌を出してアリスを見ると、更に頬っぺたが膨らむアリス。
どれだけ膨らむか気になる所だが、ふと我に返る。
顎クイとか、広めても良いのかな?
「ジュリアン様、ずるいですわ!」
「ミリアム様!私も、私にもそのあごくいをしてください!」
「私も!」
「私も!」
ギラギラした目をしたお嬢さん達が口々に私の顎クイを所望してくる。
「あ、ああ、じゃあ、一列に並んでくれますか?」
「「「「「はい!」」」」」
わー皆良い返事。
私の前にお嬢さん達はお行儀良く一列に並び出す。
「え?本当にやるの?」
アリスが信じられないといった顔で私を見る。
「まぁ、女性のお願いを無下には出来ないから。」
「・・・本当に天然タラシなんだから。」
アリスの呆れ顔に苦笑しつつ、
「さて、と。では始めますか。」
先頭に並んでいるお嬢さんの腰に手を回し、自分の所へ引き寄せる。
「きゃっ!」
小さな悲鳴を上げているが、嬉しそうな顔を期待に満ちた表情だ。
その可愛らしい顎に私の右手の人差し指を添えて、
クイと上に上げる。
「こんな事を所望だなんて、ハンナさんは悪い子ですね?」
「は、は、はい。
ごめんなひゃい・・・。」
ハンナちゃんは顔だけでなく、全身が真っ赤に染まり上がった。
という事をワンセット、繰り返す。
決して手抜きはしませんよ?
女性の願いは叶えなければ。
熱意を込めてしっかりと。
ていうか、列増えてないか?
終わる気がしないんだけど。
十数名のお嬢さんの願いを叶え、
「はい、次のお嬢さ・・・。」
私は言葉を失う。
「・・・・・・。」
・・・・・・・・・・。
一同沈黙。
ソイツだけは空気が読めないのか、嬉々とした表情で明るく口を開く。
「私はそのあごくいではなく、思い切り顎を掴んで、『この駄犬がっ!』と罵って下さい!!」
うわぁ・・・・。
って、いや、お前何、普通に並んでるんだよっ!
律儀に並んでたのかよ!
真面目か!
いや、顎クイの列で顎掴んで罵倒とか、
もう違うプレイだぞ!
周りのお嬢さん達が見えないのか!?
うわぁ・・・・って、ドン引きしてるぞ!
「うわぁ・・・・。」
はい!アリスに至っては声に出てました!
ありがとうございます!
周りドン引きしていようがお構い無く、
この変態、もといリヒトは背筋をピンと伸ばし、
(無駄に姿勢良いな!)
澄んだ瞳をして、
(要望は濁りきってるのに、何でこんな瞳が出来るのか。)
お嬢さん達の列に並んでいた。
「ふふふふ。皆さんの蔑んだ目も大変結構です。
ですが、ミリアム女王・・・。「今女王様って言おうとしたな?」
ミリアム嬢には誰にも敵いません。」
明らかに女王様って言おうとしたな。
やめてくれよ、私をそちらの世界に引き込まないでくれ!
ていうか、ミリアム『嬢』って、そっちの『嬢』のニュアンスが含まれてるよな?
ホントふざけんなよ?
だが、我慢だ。
此処で何らかのアクションを起こせば、リヒトを無駄に喜ばせる事になる。
なので私のとった行動は、
「はい、次のお嬢さん。」
「え!?あ、あの、リヒト様が・・・。」
「誰ですか?私には見えないのですが、誰か居るんですか?
嫌だわ、幽霊かしら?」
「あ・・えと、あ、はい。宜しくお願い致します。」
もう居ないものとして、存在をスルーした。
リヒトの後ろに並んでいたお嬢さんも、最初は戸惑っていたが、
私の意図を理解してくれた様で、そのまま私の所へ来てくれた。
「ああああああああ!!!アリガトゴザイマス!!!」
身悶えて、床に伏すリヒト。
何しても喜ぶんかいっ!!!
この目の前のお嬢さんは何を言っているのかな?
必死の形相で男装とか言ってなかったか?
私が固まっていると、ジュリアンちゃんは更に言葉を重ねてくる。
「あのギルドを偶然通りかかった方が、ミリアム様の姿をお見かけになったと仰っていました。
その際に、ミリアム様が男装なさっていたと。」
「男装かどうかは分からないんですけど、動きやすい服装をしていたのは確かですね。」
アリスも言ってたけど、あの服装は男装になるのか?
「!!!やはり、そうなのですね!!」
ジュリアンちゃんの目が輝き出す。
私は嫌な予感がして、後退りする。
逃がすまいと私の手を両手で握り締める。
「ミリアム様!!」
「は、はい。」
ああ、本当に嫌な予感。
「私達にも、是非!是非!
男装姿を見せてください!!!」
あー、ですよねー。
周りのお嬢さん達も鼻息荒く私に詰め寄る。
「ちょっと待ちなさいよ!」
アリス!
「あら、何かしら?」
ジュリアンちゃんがふんっとアリスを一瞥する。
「ミリアムの男装姿は私が先に見るんだからね!
アンタ達は後よ!後!」
ア、アリス?
「あーら、そんな順番なんて知らないわ?
私達はミリアム様にお願いしているのよ?
ほら、こうやって服も転写機もちゃんと用意しているのよ?」
ジュリアンちゃん達がビラっと沢山の男物の服と何やら小さな機械を見せびらかす。
・・・・ちょっと待ってね。
その服の量・・・。
2、30着位あるのは、私の目が老眼になってる訳じゃないよね?
「て、転写機ですって!!
何それ、詳しく教えろ下さい!」
アリス!?
ジュリアンちゃんが不敵に笑い出す。
「ほほほほほ!!これはね、目的物を忠実に映し出す最先端の物なのよ。
これで男装したミリアム様を映し出して、半永久的にそのお姿を保存できる素晴らしい機械なのよ。
我が家で発明したのよ!」
「な、なんですって・・・・!!!」
アリスがブルブルと震え出す。
ア、アリス?
嘘だよね、アリスは味方だよね?
信じてるよ、アリス?アリス?
「是非とも!!私もその撮影会に参加させて下さい!!!
私も衣装を持参いたしますので!!何卒!!」
アリスが何ともキレッキレの土下座をする。
ああああああああ!!アリスぅううううううう!
裏切者!!!!
「ふん。分かっているじゃないの。いいわ、特別に貴女も参加を認めましょう。」
「ありがとうございます!!」
「アリスさん・・・?」
「はっ!?」
私のゴゴゴゴゴゴゴという不穏なオーラにアリスがびくりと肩を震わせる。
「何、勝手に話を進めてくれてんの?」
「ごめーん、つい?」
あ、正統派ヒロインのてへぺろだ。
ズルい、許しちゃうよ、そんな可愛い顔されたら。
はあああああああと長い溜息を吐く。
でも留飲は下がらないので、アリスにもジュリアンちゃんにも軽い仕返しをしよう。
「まぁ、可愛いお嬢さん達のお願いを断る訳にはいかないですね。
でも。」
私はジュリアンちゃんに近寄る。
そしてジュリアンちゃんを自分に引き寄せる。
「え・・・。」
ジュリアンちゃんが小さく声を上げる。
私はジュリアンちゃんの小さな顎を人差し指と親指で優しく挟み込み、クイと私の顔に近づけるように上げる。
「アリスまで味方に引き込むなんて、貴女も中々策士ですね?」
「あ、あ、あ。あの、ミリアム様ぁ。」
後ろから割れんばかりの悲鳴が上がる。
「きゃああああ!!ジュリアン様!!!」
「何て羨ましい!!」
あれ?
「み、みりあむさま?これはいったい。」
涙目で私を見るジュリアンちゃん。
可哀想な位真っ赤だ。
「ああ、これは顎クイという悩殺技です。」
「あ、あごくい?」
「ドキドキするでしょ?」
「は、はい。とても、心臓が止まりそうです。」
おっと、危うく殺人犯になる所だった。
ジュリアンちゃんがホッと息を吐く。
「あごくい?」
「初めて聞いたわ・・・。」
「何て魅惑的なんでしょう・・・。」
お嬢さん達がうっとりとした顔で呟く。
案の定、アリスはハムスターがヒマワリの種を頬袋に満タン入れた様に頬っぺたが膨れ上がっている。
ちょっとした仕返しだ。
舌を出してアリスを見ると、更に頬っぺたが膨らむアリス。
どれだけ膨らむか気になる所だが、ふと我に返る。
顎クイとか、広めても良いのかな?
「ジュリアン様、ずるいですわ!」
「ミリアム様!私も、私にもそのあごくいをしてください!」
「私も!」
「私も!」
ギラギラした目をしたお嬢さん達が口々に私の顎クイを所望してくる。
「あ、ああ、じゃあ、一列に並んでくれますか?」
「「「「「はい!」」」」」
わー皆良い返事。
私の前にお嬢さん達はお行儀良く一列に並び出す。
「え?本当にやるの?」
アリスが信じられないといった顔で私を見る。
「まぁ、女性のお願いを無下には出来ないから。」
「・・・本当に天然タラシなんだから。」
アリスの呆れ顔に苦笑しつつ、
「さて、と。では始めますか。」
先頭に並んでいるお嬢さんの腰に手を回し、自分の所へ引き寄せる。
「きゃっ!」
小さな悲鳴を上げているが、嬉しそうな顔を期待に満ちた表情だ。
その可愛らしい顎に私の右手の人差し指を添えて、
クイと上に上げる。
「こんな事を所望だなんて、ハンナさんは悪い子ですね?」
「は、は、はい。
ごめんなひゃい・・・。」
ハンナちゃんは顔だけでなく、全身が真っ赤に染まり上がった。
という事をワンセット、繰り返す。
決して手抜きはしませんよ?
女性の願いは叶えなければ。
熱意を込めてしっかりと。
ていうか、列増えてないか?
終わる気がしないんだけど。
十数名のお嬢さんの願いを叶え、
「はい、次のお嬢さ・・・。」
私は言葉を失う。
「・・・・・・。」
・・・・・・・・・・。
一同沈黙。
ソイツだけは空気が読めないのか、嬉々とした表情で明るく口を開く。
「私はそのあごくいではなく、思い切り顎を掴んで、『この駄犬がっ!』と罵って下さい!!」
うわぁ・・・・。
って、いや、お前何、普通に並んでるんだよっ!
律儀に並んでたのかよ!
真面目か!
いや、顎クイの列で顎掴んで罵倒とか、
もう違うプレイだぞ!
周りのお嬢さん達が見えないのか!?
うわぁ・・・・って、ドン引きしてるぞ!
「うわぁ・・・・。」
はい!アリスに至っては声に出てました!
ありがとうございます!
周りドン引きしていようがお構い無く、
この変態、もといリヒトは背筋をピンと伸ばし、
(無駄に姿勢良いな!)
澄んだ瞳をして、
(要望は濁りきってるのに、何でこんな瞳が出来るのか。)
お嬢さん達の列に並んでいた。
「ふふふふ。皆さんの蔑んだ目も大変結構です。
ですが、ミリアム女王・・・。「今女王様って言おうとしたな?」
ミリアム嬢には誰にも敵いません。」
明らかに女王様って言おうとしたな。
やめてくれよ、私をそちらの世界に引き込まないでくれ!
ていうか、ミリアム『嬢』って、そっちの『嬢』のニュアンスが含まれてるよな?
ホントふざけんなよ?
だが、我慢だ。
此処で何らかのアクションを起こせば、リヒトを無駄に喜ばせる事になる。
なので私のとった行動は、
「はい、次のお嬢さん。」
「え!?あ、あの、リヒト様が・・・。」
「誰ですか?私には見えないのですが、誰か居るんですか?
嫌だわ、幽霊かしら?」
「あ・・えと、あ、はい。宜しくお願い致します。」
もう居ないものとして、存在をスルーした。
リヒトの後ろに並んでいたお嬢さんも、最初は戸惑っていたが、
私の意図を理解してくれた様で、そのまま私の所へ来てくれた。
「ああああああああ!!!アリガトゴザイマス!!!」
身悶えて、床に伏すリヒト。
何しても喜ぶんかいっ!!!
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