68 / 126
まだかな、まだかな~
しおりを挟む
「思った以上にデイヴィッドの依頼が難航しているみたいだな。」
セイさんの言葉。どうやらギルドに行って進行状況を聞いてくれたみたいだ。
凄く申し訳なさそうな顔をしている。
「ああ、大丈夫ですよ。
厄介な依頼だとデイヴィッドさんも書いていたので、気長に待ちますよ。
人質も居る事ですしね。」
「もう、誤魔化すの止めたのかよ・・・。
普通に人質って言ってるじゃないか。」
セイさんの肩をポンと叩き、とても穏やかな顔(自分の中では)をする。
「セイさんはとても大事な人質です。
逃がしませんよ。ふふふ、ふふふふふふ。」
セイさんが後退りする。
「お、お、お俺は、食っても旨くないからな!!」
はははは、何を言っているのかね。
「食人鬼でも無いのに、そんな事はしないですよ。
人質です。人質。はははは。」
セイさんが何故か震えている。
おかしいな、何も変な事は言ってないのに。
「デイヴィッド・・・・!!早く帰って来てくれ!!」
心からの願いを天に叫ぶセイさん。
私だって、早く会いたいのは一緒だよ。
早く帰って来ないかな~。
「ヘブシャンッ!!!」
「汚いな!デイヴィッド!」
「ごめん。」
「まぁ、いいさ。
はぁ~。早く終わんねぇかな、この依頼。
倒しても倒しても、キリがねぇ。
ていうか、何で今回セイが一緒じゃないんだ?」
「今回は俺だけって指定があったから、何でか分からないけど。」
「まぁ、別にいいけど。」
「一緒の方が良かった?セイと仲良かったもんね。」
「べ、べべべ別に!な、な仲良いってわけじゃあ・・・。」
「(ニコリ。って結愛なら言いそう。)」
「な、何笑ってんだよ。」
「何でも無いよ。思い出し笑い。あ~早く帰りたいねぇ~。」
「違うからな!!お前が思っているのと、全然違うからな!!」
「はいはい。今日のノルマ倒しに行くよ~。」
「話聞いてないじゃないか!!おい!デイヴィッド!!」
(結愛、セイと上手くやってるかなぁ~。
結愛もセイも人見知りだから、喧嘩してそう。
結愛はどんな魔法使えるのかなぁ~。)
ある日の学園のお休みの朝。
「セイさん、セイさん。」
「何だよ、ミリアムさん。」
私は前を歩いていたセイさんを呼び止める。
セイさんは立ち止まり、振り返る。
「何か依頼来てません?」
「・・・・来てない。」
あ、目を逸らした。
セイさん、嘘下手だなぁ。
私はセイさんを無言で見つめ続ける。
じー。
「・・・・・・。」
じじー。
「・・・・・・。」
じじじー。
「・・・・・何だよ!」
じじじじー。
「何か言えよ!」
じじじじじー。
「分かったよ!来てるよ!来てる!
アンタも連れて行くから、無言の圧力を止めろ!!」
分かればいいのだよ。
あの一件以来、私は本格的に小金を稼いで生活費を貯めようと、セイさんを脅・・・、お話してセイさんの依頼についていく事を決めた。
この件に関してははアリスやシュタイナーは遠慮してもらった。
学園終わりや休みの日に、予定が合えぱ同行する。
ギルドの登録もロランバルトさんが手際よく処理してくれて、私は晴れてハンターだ!
「今日は護衛の依頼だよ。何処かの貴族のご令嬢が街へ出掛けたいと駄々をこねたから、
親がその護衛をギルドに頼んだんだよ。」
「ほ~。」
「しかも一人で出掛けたいから、護衛は要らないって言ってるそうだ。」
「ほう、という事は?」
私が言おうとする事に頷くセイさん。
「そうだ。今日はご令嬢にバレない様に護衛をする。」
「おお!隠密という訳ですね!!
いいですねぇ~。」
「言っておくけど、遊びじゃないからな。」
「分かってますよ。キリッ!!」
私は真剣な顔で背筋を伸ばす。
「・・・そうか。」
あれあれ!?
渾身のボケが通じなかったか!!
効果音を口で言ってどうするんだよ!!ってツッコミが欲しかった所だよ?
あ~やっぱりこちらの世界では通じないのか・・・。
アリスならツッコんでくれるのに・・・。
セイさんは普通に流し、踵を返して歩き出した。
「ふぅ。やれやれ、ちゃんと真面目に頑張りますか。」
肩を竦めてセイさんの後に続いた。
「あれが依頼を受けた護衛対象だ。」
「ほう。中々に目立ってますね。」
私とセイさんは建物の陰からターゲットを確認する。
貴族と丸分かりの着飾った女の子。
髪の毛は漫画でしか見た事が無い程の見事な金髪縦ロール。
これでもかと髪飾りに宝石を散りばめて、ドレスも見るからに高そうだ。
「あれ、襲ってくれって自分で言っている様な物ですね。」
「あ、ああ・・・。何考えてんだ、あの女。」
心底嫌そうな顔でご令嬢を睨みつけているセイさん。
「セイさん、ああいうタイプの女性は好みでは無いんですか?」
純粋な興味で聞いただけの私の質問に、セイさんはブーッと吹き出す。
「な、な何をいきなり言い出すんだよ、アンタは!!」
「え?いや、セイさんはどんな女性が好きなのかなと単に思っただけです。
深い意味は全くありません。」
「いや、俺は別に好きな女とか・・・・。」
言い淀むセイさんに私のセンサーが過敏に作動した。
「好きな男ですか!?まさか性的指向は男なんですか!?」
さっきよりも激しくブーッと吹く。
「バッカじゃねえの!?そんな訳あるかよ!!」
「怪しいなぁ?ムキになって怪しいなぁ?」
「俺は今は仕事に専念してるから、そういう事は考えてないだけだよ!
オラ!対象が動いた、もう行くぞ!」
誤魔化された。
まぁ、いい。後でじっくり話を聞かせて貰うとしよう。
私達はご令嬢の後に続いた。
セイさんの言葉。どうやらギルドに行って進行状況を聞いてくれたみたいだ。
凄く申し訳なさそうな顔をしている。
「ああ、大丈夫ですよ。
厄介な依頼だとデイヴィッドさんも書いていたので、気長に待ちますよ。
人質も居る事ですしね。」
「もう、誤魔化すの止めたのかよ・・・。
普通に人質って言ってるじゃないか。」
セイさんの肩をポンと叩き、とても穏やかな顔(自分の中では)をする。
「セイさんはとても大事な人質です。
逃がしませんよ。ふふふ、ふふふふふふ。」
セイさんが後退りする。
「お、お、お俺は、食っても旨くないからな!!」
はははは、何を言っているのかね。
「食人鬼でも無いのに、そんな事はしないですよ。
人質です。人質。はははは。」
セイさんが何故か震えている。
おかしいな、何も変な事は言ってないのに。
「デイヴィッド・・・・!!早く帰って来てくれ!!」
心からの願いを天に叫ぶセイさん。
私だって、早く会いたいのは一緒だよ。
早く帰って来ないかな~。
「ヘブシャンッ!!!」
「汚いな!デイヴィッド!」
「ごめん。」
「まぁ、いいさ。
はぁ~。早く終わんねぇかな、この依頼。
倒しても倒しても、キリがねぇ。
ていうか、何で今回セイが一緒じゃないんだ?」
「今回は俺だけって指定があったから、何でか分からないけど。」
「まぁ、別にいいけど。」
「一緒の方が良かった?セイと仲良かったもんね。」
「べ、べべべ別に!な、な仲良いってわけじゃあ・・・。」
「(ニコリ。って結愛なら言いそう。)」
「な、何笑ってんだよ。」
「何でも無いよ。思い出し笑い。あ~早く帰りたいねぇ~。」
「違うからな!!お前が思っているのと、全然違うからな!!」
「はいはい。今日のノルマ倒しに行くよ~。」
「話聞いてないじゃないか!!おい!デイヴィッド!!」
(結愛、セイと上手くやってるかなぁ~。
結愛もセイも人見知りだから、喧嘩してそう。
結愛はどんな魔法使えるのかなぁ~。)
ある日の学園のお休みの朝。
「セイさん、セイさん。」
「何だよ、ミリアムさん。」
私は前を歩いていたセイさんを呼び止める。
セイさんは立ち止まり、振り返る。
「何か依頼来てません?」
「・・・・来てない。」
あ、目を逸らした。
セイさん、嘘下手だなぁ。
私はセイさんを無言で見つめ続ける。
じー。
「・・・・・・。」
じじー。
「・・・・・・。」
じじじー。
「・・・・・何だよ!」
じじじじー。
「何か言えよ!」
じじじじじー。
「分かったよ!来てるよ!来てる!
アンタも連れて行くから、無言の圧力を止めろ!!」
分かればいいのだよ。
あの一件以来、私は本格的に小金を稼いで生活費を貯めようと、セイさんを脅・・・、お話してセイさんの依頼についていく事を決めた。
この件に関してははアリスやシュタイナーは遠慮してもらった。
学園終わりや休みの日に、予定が合えぱ同行する。
ギルドの登録もロランバルトさんが手際よく処理してくれて、私は晴れてハンターだ!
「今日は護衛の依頼だよ。何処かの貴族のご令嬢が街へ出掛けたいと駄々をこねたから、
親がその護衛をギルドに頼んだんだよ。」
「ほ~。」
「しかも一人で出掛けたいから、護衛は要らないって言ってるそうだ。」
「ほう、という事は?」
私が言おうとする事に頷くセイさん。
「そうだ。今日はご令嬢にバレない様に護衛をする。」
「おお!隠密という訳ですね!!
いいですねぇ~。」
「言っておくけど、遊びじゃないからな。」
「分かってますよ。キリッ!!」
私は真剣な顔で背筋を伸ばす。
「・・・そうか。」
あれあれ!?
渾身のボケが通じなかったか!!
効果音を口で言ってどうするんだよ!!ってツッコミが欲しかった所だよ?
あ~やっぱりこちらの世界では通じないのか・・・。
アリスならツッコんでくれるのに・・・。
セイさんは普通に流し、踵を返して歩き出した。
「ふぅ。やれやれ、ちゃんと真面目に頑張りますか。」
肩を竦めてセイさんの後に続いた。
「あれが依頼を受けた護衛対象だ。」
「ほう。中々に目立ってますね。」
私とセイさんは建物の陰からターゲットを確認する。
貴族と丸分かりの着飾った女の子。
髪の毛は漫画でしか見た事が無い程の見事な金髪縦ロール。
これでもかと髪飾りに宝石を散りばめて、ドレスも見るからに高そうだ。
「あれ、襲ってくれって自分で言っている様な物ですね。」
「あ、ああ・・・。何考えてんだ、あの女。」
心底嫌そうな顔でご令嬢を睨みつけているセイさん。
「セイさん、ああいうタイプの女性は好みでは無いんですか?」
純粋な興味で聞いただけの私の質問に、セイさんはブーッと吹き出す。
「な、な何をいきなり言い出すんだよ、アンタは!!」
「え?いや、セイさんはどんな女性が好きなのかなと単に思っただけです。
深い意味は全くありません。」
「いや、俺は別に好きな女とか・・・・。」
言い淀むセイさんに私のセンサーが過敏に作動した。
「好きな男ですか!?まさか性的指向は男なんですか!?」
さっきよりも激しくブーッと吹く。
「バッカじゃねえの!?そんな訳あるかよ!!」
「怪しいなぁ?ムキになって怪しいなぁ?」
「俺は今は仕事に専念してるから、そういう事は考えてないだけだよ!
オラ!対象が動いた、もう行くぞ!」
誤魔化された。
まぁ、いい。後でじっくり話を聞かせて貰うとしよう。
私達はご令嬢の後に続いた。
1
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる