転生?乙女ゲーム?悪役令嬢?そんなの知るか!私は前世の夫を探しに行く。

コロンパン

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華麗に参上!

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ターゲットのご令嬢は周りの物珍しさにキョロキョロと辺りを見回す。

そうだよな、箱入り娘ならば街になんて繰り出さないだろう。
今まで自分の見た事のない物で溢れている筈だ。

私としては街の方が見慣れているから、珍しいとか何も思わなかったけど。
真のお嬢様はああいう反応なのだろうな。

私は一人で納得して彼女を見守る。

すると数人のガラの悪そうな男が近づく。
何だか不穏な雰囲気だ。

案の定、彼女の腕を掴み、自分に引き寄せようとする。
彼女は嫌がり、必死に抵抗する。

周りは関わりたくないのか、見て見ぬふりをしている。

「セイさん、あれは助けるべき事案ですよね?」

「そうだな。」

「じゃあ。行ってきます。」

「え、おい!俺が行く!」

私はスッと彼女の元へ歩き出す。
セイさんは慌てて私の後を追う。




「なぁ、ちょっと遊ぶだけじゃねえか。
俺達と仲良くしようぜぇ~?なぁ?」

「だから、お断りしますと何度も言っているでしょう!!
離しなさい!!」

「つれない事言うなよ~。
気の強いお嬢さんは嫌いじゃないぜぇ?」

「いやっ!止めなさい!!誰か!」

「へへへへ。俺達はこの辺では名の知れたタッセル一家だぜ?
俺達に盾突く奴なんて居ねえよ。」

わぁ~、もう漫画で見る様なゴロツキの台詞ありがとうございました。
いかんいかん、思わず吹き出しそうになったわ。

「ほら、いつまでも来ない助けを求めてないで、イイ事しようぜえ?」

「いやああああ!!」





「嫌がっている女性に乱暴するなんて感心しませんね。」

そして、助けに入る私もお決まりの台詞を言ってみた。

「誰だ!?」

「名乗る程の者では御座いませんよ。」

わー!一回言ってみたかったんだ!!
ニヤついてしまうのを抑える。

「何だ。女か。」

「こっちの嬢ちゃんもすげえ別嬪じゃねえか。
俺達とイイ事したくて声掛けて来たのかよ?」

私の肩に手を置くゴロツキ。

「汚い手で触らないでくれますか?」

1回目。
更にグイと私の肩を引き、自分の元へ引き寄せようとするゴロツキを軽く躱す。

「ああ?お高く止まってんじゃねえぞ!小娘!!」

「お高く止まっていないないですよ、本当に汚いと思ったから言ってるんです。
そんな汚らしい恰好で、汚い手で触らないで欲しいと言っただけですよ。
事実です。事実。」

2回目。
また私の腕を引っ張り、拳を振り上げてくる。

「こ、こんの!!このアマ!!言わせておけば、いい気になりやがって!!
痛い目見ないと分からないようだな!!」

「・・・触んなって言ってんだろうが、この糞野郎が!!」

3回目。
私はゴロツキの腕を引っ張り返し、バランスの崩したゴロツキの腹に渾身の右ストレートをお見舞いする。

私には自分ルールがある。
それは、3回同じ事を言わせたら問答無用で武力に訴える、だ。

何回も同じ事を説明するのが本当に嫌いで、夫がよくふざけて私に何回も同じ事を言わせようとした時に、
いい加減にしろ、と思わず肩パンをしてしまった。
思いの外、良いパンチが入ったのでそれ以降、夫は2回で止めるようになった。

現在もこのルールは適用されていて、このゴロツキに対して実力行使をした訳だが。
今回も手加減が上手くいかなかったみたいで、ゴロツキは声を発する事も出来ずに地に伏した。

(やべぇ。これ絶対内臓持って逝ってしまったな。)

後頭部をポリポリ掻く。

「ミリアムさん・・・・。これはやり過ぎだろ。」

後ろから、セイさんが気まずそうに呟く。

「申し訳ない。つい、イラっときて手が勝手に・・・。」

空笑いをして誤魔化そうとする。
が、そうもいくまい。
呆然としていた仲間のゴロツキが我に返り、私に食って掛かる。

「て、てめぇ!!やりやがったな!!
俺等、タッセル一家に喧嘩売りやがって!!」

「生きて帰れると思うなよ!?」

「わあ。雑魚のテンプレの台詞を次から次へと。
そう言う人達が逆にやられるフラグを建てて頂いてありがとうございます。」

私はゴロツキ、タッセル一家の人達の脅しをにこやかに受け止める。

「て、てんぷれ?ふらぐ?
意味の分からねぇ事ほざいてんじゃねえぞ、コラァ!!!」

「女だからと言って手加減しねぇからな!!」

私はもう我慢できずに吹き出す。

「ぶふっ。そちらこそ、泣いて謝っても絶対に許しませんからね?」

ゴロツキ達は刃物を取り出す。

「お、おい!ミリアムさん!!」

セイさんが止めに入るが、私はニコリと微笑み、大丈夫だと目で語る。
何故かセイさんが引きつった顔をしたには納得がいかないが、敢えて追究しないでおこう。

「さて、さて。
悪者退治といきますか。」

身体の強化魔法をかける。

「かかれっ!!!」

ゴロツキ達が一斉に私に襲い掛かる。

「きゃああああああ!!」

悲鳴を上げるのは護衛対象のご令嬢。
私はと言うと、

「ぐあっ!!」

「ぐはっ!!」

「うげっ!!」

この汚い悲鳴は私ではなく、

「く、糞!何なんだこの女!?」

「つ、強すぎる・・・。」

ゴロツキの悲鳴だ。
地面に転がったゴロツキ達を見下ろす。
さて、どうしてくれようか。

ふとゴロツキの手から離れた刃物が目についた。
刃物を持ち上げ眺める。

「貴方達ナントカ一家でしたっけ?
悪い事沢山している集団ですよね?
なら、千々に切り刻んでも誰も文句は言わない・・・ですよねぇ?」

きっと口に出すのも憚られる事をしている筈だ。
だって凄くこの人達から凄く臭い匂いがする。

それは単にこの人達が汚れている訳では無く、拭っても取れない悪い匂いがする。

罪に問われる事無くのうのうと生きているのが許せない。
別に私は正義の使者を気取るつもりもないが、今ここで痛い目を見せる事が出来る状況。

か弱い女性を怖がらせる輩は断じて許す事は出来ない。

その殺意にも似た感情を感じ取ったのか、ゴロツキ達はガクガク震えながら、私に命乞いをする。

「す、すいませんでしたぁああ!!!」

「い、命だけは!!」

「もうしませんから!!」

悪党のもうしません程、信用出来ないものはない。

「いや、私泣いて謝っても絶対に許さないって言いましたよね?
それを承知で貴方達は向かってきたんです。
潔く散りなさいよ。」

私は剣を振り下ろす。













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