78 / 126
魔王の片鱗
しおりを挟む
屋敷に到着。
レガートさんが出迎える。
「お帰りなさいませ。お嬢様、とセイ様・・・・・こちらの女性は?」
セイ様と言う声が途轍もなく低い。
レガートさんはセイさんを目の敵にしている。
『お嬢様に纏わりつく害虫』
これがレガートさんのセイさんへの認識だ。
セイさんは、
「極力、あの人に近寄らない様にしておくよ。」
げんなりした顔で言っていた。
何されたんだろう。
後で締め上げよう。
そして銀華さんに対しても、警戒心剥き出しのレガートさんを私は、ドスの利いた声で言い放つ。
「私の客人に対して、随分な対応ですね。
貴方、それでも執事ですか?」
ハッとした顔で頭を下げるレガートさん。
「申し訳ございません。」
「私ではなくセイさんと銀華さんに謝ってくださいね。」
レガートさんは二人に向いて頭を下げる。
「・・・・申し訳・・・ございません。」
凄く不服な声で謝る。
それ、誠意籠ってないからね?
本当に、コイツは学習しないな。
「本当に、そう思っていないでしょう?
ちゃんと謝って下さい。」
淡々と告げる。
僅かに冷気を纏わせる。
「のう、」
私の横に居た銀華さんはセイさんに話しかける。
セイさんはギョッとして返事する。
「うえっ!?はいっ!?」
声裏返ってるよ。
威厳出しているのにちょっと笑わさないでくれるかね。
「ミリアムは他人にはこんな感じなのかの?」
「あ、ああ、ええと。
そんな事は、無いと思います・・・。
虫の居所が悪かったんじゃないですかね?」
おい!セイさん。
私を癇癪持ちみたいに言わんでくれい。
私は口を挟む。
「自分の大事な人が蔑ろにされてるんです。
怒りもしますよ。
誰彼構わず噛みついたりしません。
レガートさんは、セイさんと銀華さんに失礼な態度なんですから、怒るのは当然でしょう。」
セイさんは少し顔が赤くなる。
銀華さんはとても嬉しそうにニンマリと笑う。
「まぁ、確かにいきなり見ず知らずの人を連れて来たら警戒するのも分かりますけどね。
その点ではレガートさんはちゃんと仕事をしているのでしょう。
それでも私だって、有害な人か無害な人かの区別が出来ますし、変な人は連れて来ないですよ?」
私の言葉にレガートさんが涙ぐむ。
「お嬢様・・・!!」
「だから、これからはレガートさんは無闇に敵視しないで下さいね。」
私はレガートさんに優しく話す。
「は、はい!!!」
顔を赤くさせて元気良い返事をする。
「ほほほほ!!ミリアム!!お主、人心を掴む事に長けておるの!」
銀華さんは声を上げて笑う。
「いやいや、別に大した事言ってないですよ。人心てそんな王みたいな事・・・。」
「人の王も不可能な話ではあるまいて。
ミリアムはその素養はあると思うがの。」
何かエロい目をしているぞ、銀華さん。
そんな誘惑めいた口調で唆さないでくれ。
「ミリアムさんなら魔王でも十分イケると思うけどな。」
「まぁ、どちらかというと魔王の方が楽しそうですね。」
「ほ!人でありながら、魔王とな!
ほんに面白い女子よのう!」
銀華さんはお腹を抱えて笑う。
そんなに面白い事言ったかなぁ?
凄く真面目に返しただけなのに。
「まぁ、取り敢えず此処で立ち話もなんですから、父に会って銀華さんの事を話さないと。」
私達は父の書斎室へ向かう。
父の部屋へ入ると、案の定。
「お帰り!!ミリアム!!」
両腕を広げて父が立っていた。
この人、めげないよな。
私がミリアムになってからは、一度もハグしてないのに。
「ただいまです。お父様。」
私は距離を置いて挨拶をする。
父は宙ぶらりんの手を気まずそうに下ろす。
そして私の横に居る銀華さんに視線を送る。
「ミリアム、その女性は?」
漸く本題だ。
私は今までの経緯を話す。
父は少しだけ目を大きく見開くが、取り乱した様子もなくニコリと笑う。
「いやぁ~。ミリアムは凄いなぁ。
まさか古龍様に気に入られるなんて!」
「それで此処に暫く住んでもらっても問題無いですか?」
「全然構わないよ!!寧ろ光栄だよ!」
あっけなく了承を得る事が出来た。
この父の器の広さ・・・、もしかしたら只のお人好しなのかもしれないが、尊敬するな。
「古龍様の部屋を用意しますので、暫く待っていただけますか?」
父が銀華さんに恭しく話す。
「あい、分かった。其方も妾の事を銀華と呼ぶがよい。」
「畏まりました、銀華様。
ミリアム、銀華様に屋敷を案内してくれるかな?」
「分かりました。お兄様にも紹介しないといけませんね。」
「ああ、そうだね!お願いするよ!」
部屋を出る。
「何か、拍子抜けしたな。もっと大事になると思ったんだが。」
部屋を出て直ぐ、セイさんがこう漏らした。
「同感です。こんなに直ぐ了承されるとは思ってませんでした。
了承させるために色々考えてたのに、無駄になりましたよ。」
セイさんの口元が引きつる。
「な、何考えてたんだよ・・・。いや!言うな!!聞きたくない!!
聞いたら絶対後悔する!!」
私が口を開こうとする前に、セイさんが拒否した。
そんな外道な事は考えてなかったのに、あくまで平和的交渉の案なのにな。
「まぁ、銀華さんが此処に住む事が出来るのでいいじゃないですか。
それでは屋敷を案内するので、銀華さん付いて来てください。
セイさんは?」
「俺は疲れたから部屋で休む。」
傍から見てもげっそりとしている。
道中がそんなに疲れたのか、戦闘とかしてないのにね。
セイさんは私達に背を向けて自分の部屋へ戻って行った。
「じゃあ、行きましょうか。」
「うむ。」
銀華さんは頷いて、私の横へ。
取り敢えずトイレだな。
レガートさんが出迎える。
「お帰りなさいませ。お嬢様、とセイ様・・・・・こちらの女性は?」
セイ様と言う声が途轍もなく低い。
レガートさんはセイさんを目の敵にしている。
『お嬢様に纏わりつく害虫』
これがレガートさんのセイさんへの認識だ。
セイさんは、
「極力、あの人に近寄らない様にしておくよ。」
げんなりした顔で言っていた。
何されたんだろう。
後で締め上げよう。
そして銀華さんに対しても、警戒心剥き出しのレガートさんを私は、ドスの利いた声で言い放つ。
「私の客人に対して、随分な対応ですね。
貴方、それでも執事ですか?」
ハッとした顔で頭を下げるレガートさん。
「申し訳ございません。」
「私ではなくセイさんと銀華さんに謝ってくださいね。」
レガートさんは二人に向いて頭を下げる。
「・・・・申し訳・・・ございません。」
凄く不服な声で謝る。
それ、誠意籠ってないからね?
本当に、コイツは学習しないな。
「本当に、そう思っていないでしょう?
ちゃんと謝って下さい。」
淡々と告げる。
僅かに冷気を纏わせる。
「のう、」
私の横に居た銀華さんはセイさんに話しかける。
セイさんはギョッとして返事する。
「うえっ!?はいっ!?」
声裏返ってるよ。
威厳出しているのにちょっと笑わさないでくれるかね。
「ミリアムは他人にはこんな感じなのかの?」
「あ、ああ、ええと。
そんな事は、無いと思います・・・。
虫の居所が悪かったんじゃないですかね?」
おい!セイさん。
私を癇癪持ちみたいに言わんでくれい。
私は口を挟む。
「自分の大事な人が蔑ろにされてるんです。
怒りもしますよ。
誰彼構わず噛みついたりしません。
レガートさんは、セイさんと銀華さんに失礼な態度なんですから、怒るのは当然でしょう。」
セイさんは少し顔が赤くなる。
銀華さんはとても嬉しそうにニンマリと笑う。
「まぁ、確かにいきなり見ず知らずの人を連れて来たら警戒するのも分かりますけどね。
その点ではレガートさんはちゃんと仕事をしているのでしょう。
それでも私だって、有害な人か無害な人かの区別が出来ますし、変な人は連れて来ないですよ?」
私の言葉にレガートさんが涙ぐむ。
「お嬢様・・・!!」
「だから、これからはレガートさんは無闇に敵視しないで下さいね。」
私はレガートさんに優しく話す。
「は、はい!!!」
顔を赤くさせて元気良い返事をする。
「ほほほほ!!ミリアム!!お主、人心を掴む事に長けておるの!」
銀華さんは声を上げて笑う。
「いやいや、別に大した事言ってないですよ。人心てそんな王みたいな事・・・。」
「人の王も不可能な話ではあるまいて。
ミリアムはその素養はあると思うがの。」
何かエロい目をしているぞ、銀華さん。
そんな誘惑めいた口調で唆さないでくれ。
「ミリアムさんなら魔王でも十分イケると思うけどな。」
「まぁ、どちらかというと魔王の方が楽しそうですね。」
「ほ!人でありながら、魔王とな!
ほんに面白い女子よのう!」
銀華さんはお腹を抱えて笑う。
そんなに面白い事言ったかなぁ?
凄く真面目に返しただけなのに。
「まぁ、取り敢えず此処で立ち話もなんですから、父に会って銀華さんの事を話さないと。」
私達は父の書斎室へ向かう。
父の部屋へ入ると、案の定。
「お帰り!!ミリアム!!」
両腕を広げて父が立っていた。
この人、めげないよな。
私がミリアムになってからは、一度もハグしてないのに。
「ただいまです。お父様。」
私は距離を置いて挨拶をする。
父は宙ぶらりんの手を気まずそうに下ろす。
そして私の横に居る銀華さんに視線を送る。
「ミリアム、その女性は?」
漸く本題だ。
私は今までの経緯を話す。
父は少しだけ目を大きく見開くが、取り乱した様子もなくニコリと笑う。
「いやぁ~。ミリアムは凄いなぁ。
まさか古龍様に気に入られるなんて!」
「それで此処に暫く住んでもらっても問題無いですか?」
「全然構わないよ!!寧ろ光栄だよ!」
あっけなく了承を得る事が出来た。
この父の器の広さ・・・、もしかしたら只のお人好しなのかもしれないが、尊敬するな。
「古龍様の部屋を用意しますので、暫く待っていただけますか?」
父が銀華さんに恭しく話す。
「あい、分かった。其方も妾の事を銀華と呼ぶがよい。」
「畏まりました、銀華様。
ミリアム、銀華様に屋敷を案内してくれるかな?」
「分かりました。お兄様にも紹介しないといけませんね。」
「ああ、そうだね!お願いするよ!」
部屋を出る。
「何か、拍子抜けしたな。もっと大事になると思ったんだが。」
部屋を出て直ぐ、セイさんがこう漏らした。
「同感です。こんなに直ぐ了承されるとは思ってませんでした。
了承させるために色々考えてたのに、無駄になりましたよ。」
セイさんの口元が引きつる。
「な、何考えてたんだよ・・・。いや!言うな!!聞きたくない!!
聞いたら絶対後悔する!!」
私が口を開こうとする前に、セイさんが拒否した。
そんな外道な事は考えてなかったのに、あくまで平和的交渉の案なのにな。
「まぁ、銀華さんが此処に住む事が出来るのでいいじゃないですか。
それでは屋敷を案内するので、銀華さん付いて来てください。
セイさんは?」
「俺は疲れたから部屋で休む。」
傍から見てもげっそりとしている。
道中がそんなに疲れたのか、戦闘とかしてないのにね。
セイさんは私達に背を向けて自分の部屋へ戻って行った。
「じゃあ、行きましょうか。」
「うむ。」
銀華さんは頷いて、私の横へ。
取り敢えずトイレだな。
1
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる