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いやぁよね~。こんな幼気な美少女を捕まえてさ。
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「そこを何とか!!」
「嫌です!!」
「ミリアム様のお力が必要なのです!!」
「断る!!」
「お願いします!!」
「お願いされたくない!!」
かれこれ10分。
この押し問答。
見ず知らずの野郎共のパーティーにほいほい加わる程、私のコミュ障は軽症ではない。
「私は一応、学園の生徒ですので、ハンター業は本格的に始動していないんですよ。」
「で、では卒業してから、というのは・・・。」
私はセイさんの腕を掴む。
「申し訳ないです。卒業後はこの兄さんと組むつもりですので。」
「なぁっ!?」
セイさんは驚愕の声を上げる。
マルティナさんも目を真ん丸と開いて此方を見る。
そしてセイさんに喰ってかかかる。
「セイ!お前、いつの間に!?」
「し、知らねぇっ!!俺だって初耳だよ!ミリアムさん何言ってるんだよ!?」
セイさんは私に詰め寄る。
「いやだなぁ。デイヴィッドさんと結婚したら、必然的にそうなるじゃないですか~。」
「いや、でもアンタは貴族だし・・・。」
「そんなもん、どうとでもなりますよ。
勘当とかして貰いますよ。」
「軽いなっ!!」
「貴族でもハンターで生計を立ててる人、居るぞ?」
ナイスアシスト!マルティナさん。
「デイヴィッドさんが私の嫁になって、「嫁!?」デイヴィッドさんが依頼に行ってるのを、待っているのは嫌なんですよ。」
セイさんのツッコミは無視して、私はデイヴィッドさんと会ったらもう離れたくない。
傍に居たい。
「離れてる間にデイヴィッドさんの事を心配してる位なら、一緒に付いて行って依頼を早く終わらせたいんです。
私はそれなりに力も備わっているし、あ、何なら銀華さんもパーティーに誘いましょう。
もうこれで、生存確率がグンと上がりますよ。」
「エ、エンシャントドラゴン様を!?そ、そりゃあ、心強いが・・・。
あのお方が、そんな簡単に参加するのか?」
う~ん、どうだろうな。
私はサムズアップしながら、爽やかな顔を作ってみる。
「一緒に冒険しようぜっ!って言ったら、付いて来てくれそうな気がする。」
楽しいの好きそうだから。
それに銀華さんはきっと夫の事も気に入る筈なのだ。
勘だけど。
セイさん、何故そんな顔をする。
マルティナさんはこんなに私に見惚れていると言うのに。
「胡散臭いにも程がある。けど否定できないのが、腹立たしい。」
とても不本意ですと分かりやすい顔のセイさんに、こちらも腑に落ちない顔で返す。
胡散臭いだと?
こんなに清廉潔白な私を捕まえて。
「流石、ミリアムさん。エンシャント種を魅了した方だから、当然だな!」
マルティナさんは、凄く純粋な人だ。
おいさんは変な人に騙されないか心配だよ。
「マルティナさんはセイさんのパーティーに所属しているのですか?」
私の問いにピンと背筋を伸ばし、いや、私貴女の上官じゃないかよと言わんばかりにはきはきとした声で答える。
「いいえ!私は基本個で動いています。
セイ達とは、集団依頼でよく顔を合わせて、話す様になっただけです。」
固いなあ~。
「そうなんですか。」
そうしている内に何かしらの想いが生まれた訳ね。
によによしちゃうわ。
こう、男女がくっつくまでのモダモダは何歳になっても滾るよねぇ。
おっと、私とした事が。男女に限らずね。
そう言って沈黙した私を怪訝な目で見るセイさん。
また、何か変な事考えてるなって顔してる。その通りだけど。
これは要らぬお節介だろうから、妄想だけにしておこう。
私は思い出したかのように、後ろへ振り返る。
私を追って来た人を無視して話し込んでしまっていたな。
そして深々とお辞儀をする。
「ですので、貴方達のパーティーには入りませんので、今後一切こういった勧誘はなさらぬ様お願いしますね?」
顔を上げ、ニコリと笑う。
それでも納得しない感じの人達。
「し、しかし・・・・。気が変わる事も・・・。」
「無いですね。」
言い淀む人達を私は切り捨てる。
グッと言葉に詰まらせたが、尚も何かを言おうとする。
私は、少し声を落として静かに話す。
「私、同じ事を何回も言うの、とても疲れるんです。
面倒くさがりって言うんですかね?
途中で、何でこんなに理解してくれないのかなと悲しくなってしまうし。
凄く、腹立ちもするし。
今、ちょっと・・・・・色々あって苛ついてるんですよね~。」
頬に手を当て小首を傾げる。
私以外の人間が一気に顔を蒼褪めるのが分かった。
分かってくれたようだと、私は満足する。
ていうか、何でセイさんも?
「他の人達も、もしそう考えているのなら伝えておいてくれますか?」
言葉もなく、何回も頷く男達。
良かった、良かった。
私はセイさんへ向き直る。
「じゃあ、家に帰りますか。」
「・・・は、はい。」
口元が引き攣ったセイさん。
「マルティナさんはどうされます?」
マルティナさんは大きく肩を震わせる。
「わ、私は!デ、デイ、デイヴィッドを待つので、此処で!!」
あ、そうか。
マルティナさんの怪我の為に薬草取りに行ってたんだっけな。
「じゃあ、デイヴィッドさんに『お前、怪我人ほったらかして何処ほっつき歩いてんだ。』って怒ってたと伝えておいて下さい。」
微笑を浮かべると、更に硬直したマルティナさんがコクコクと頷く。
・・・・何故だ。
伝えたし、もう用事は済んだ。
夫とはもう少ししたら、会えるだろし。
今日はまぁまぁ疲れたので早く家に帰りたい。
別れの挨拶をマルティナさんと交わして帰路に着く。
途中、
「なぁ、アンタ、デイヴィッドに会ったら・・・・。
デイヴィッドに危害を加えたりしないよな?」
不安気にセイさんが私に聞いてきた。
「何で、最愛の夫にそんな事するんですか。」
「いや、だって・・・・・。」
そう言ってセイさんは黙り込んでしまった。
全く、私を何だと思ってるんだ。
こんなに優しい私を捕まえてねぇ?
え?
え?
「嫌です!!」
「ミリアム様のお力が必要なのです!!」
「断る!!」
「お願いします!!」
「お願いされたくない!!」
かれこれ10分。
この押し問答。
見ず知らずの野郎共のパーティーにほいほい加わる程、私のコミュ障は軽症ではない。
「私は一応、学園の生徒ですので、ハンター業は本格的に始動していないんですよ。」
「で、では卒業してから、というのは・・・。」
私はセイさんの腕を掴む。
「申し訳ないです。卒業後はこの兄さんと組むつもりですので。」
「なぁっ!?」
セイさんは驚愕の声を上げる。
マルティナさんも目を真ん丸と開いて此方を見る。
そしてセイさんに喰ってかかかる。
「セイ!お前、いつの間に!?」
「し、知らねぇっ!!俺だって初耳だよ!ミリアムさん何言ってるんだよ!?」
セイさんは私に詰め寄る。
「いやだなぁ。デイヴィッドさんと結婚したら、必然的にそうなるじゃないですか~。」
「いや、でもアンタは貴族だし・・・。」
「そんなもん、どうとでもなりますよ。
勘当とかして貰いますよ。」
「軽いなっ!!」
「貴族でもハンターで生計を立ててる人、居るぞ?」
ナイスアシスト!マルティナさん。
「デイヴィッドさんが私の嫁になって、「嫁!?」デイヴィッドさんが依頼に行ってるのを、待っているのは嫌なんですよ。」
セイさんのツッコミは無視して、私はデイヴィッドさんと会ったらもう離れたくない。
傍に居たい。
「離れてる間にデイヴィッドさんの事を心配してる位なら、一緒に付いて行って依頼を早く終わらせたいんです。
私はそれなりに力も備わっているし、あ、何なら銀華さんもパーティーに誘いましょう。
もうこれで、生存確率がグンと上がりますよ。」
「エ、エンシャントドラゴン様を!?そ、そりゃあ、心強いが・・・。
あのお方が、そんな簡単に参加するのか?」
う~ん、どうだろうな。
私はサムズアップしながら、爽やかな顔を作ってみる。
「一緒に冒険しようぜっ!って言ったら、付いて来てくれそうな気がする。」
楽しいの好きそうだから。
それに銀華さんはきっと夫の事も気に入る筈なのだ。
勘だけど。
セイさん、何故そんな顔をする。
マルティナさんはこんなに私に見惚れていると言うのに。
「胡散臭いにも程がある。けど否定できないのが、腹立たしい。」
とても不本意ですと分かりやすい顔のセイさんに、こちらも腑に落ちない顔で返す。
胡散臭いだと?
こんなに清廉潔白な私を捕まえて。
「流石、ミリアムさん。エンシャント種を魅了した方だから、当然だな!」
マルティナさんは、凄く純粋な人だ。
おいさんは変な人に騙されないか心配だよ。
「マルティナさんはセイさんのパーティーに所属しているのですか?」
私の問いにピンと背筋を伸ばし、いや、私貴女の上官じゃないかよと言わんばかりにはきはきとした声で答える。
「いいえ!私は基本個で動いています。
セイ達とは、集団依頼でよく顔を合わせて、話す様になっただけです。」
固いなあ~。
「そうなんですか。」
そうしている内に何かしらの想いが生まれた訳ね。
によによしちゃうわ。
こう、男女がくっつくまでのモダモダは何歳になっても滾るよねぇ。
おっと、私とした事が。男女に限らずね。
そう言って沈黙した私を怪訝な目で見るセイさん。
また、何か変な事考えてるなって顔してる。その通りだけど。
これは要らぬお節介だろうから、妄想だけにしておこう。
私は思い出したかのように、後ろへ振り返る。
私を追って来た人を無視して話し込んでしまっていたな。
そして深々とお辞儀をする。
「ですので、貴方達のパーティーには入りませんので、今後一切こういった勧誘はなさらぬ様お願いしますね?」
顔を上げ、ニコリと笑う。
それでも納得しない感じの人達。
「し、しかし・・・・。気が変わる事も・・・。」
「無いですね。」
言い淀む人達を私は切り捨てる。
グッと言葉に詰まらせたが、尚も何かを言おうとする。
私は、少し声を落として静かに話す。
「私、同じ事を何回も言うの、とても疲れるんです。
面倒くさがりって言うんですかね?
途中で、何でこんなに理解してくれないのかなと悲しくなってしまうし。
凄く、腹立ちもするし。
今、ちょっと・・・・・色々あって苛ついてるんですよね~。」
頬に手を当て小首を傾げる。
私以外の人間が一気に顔を蒼褪めるのが分かった。
分かってくれたようだと、私は満足する。
ていうか、何でセイさんも?
「他の人達も、もしそう考えているのなら伝えておいてくれますか?」
言葉もなく、何回も頷く男達。
良かった、良かった。
私はセイさんへ向き直る。
「じゃあ、家に帰りますか。」
「・・・は、はい。」
口元が引き攣ったセイさん。
「マルティナさんはどうされます?」
マルティナさんは大きく肩を震わせる。
「わ、私は!デ、デイ、デイヴィッドを待つので、此処で!!」
あ、そうか。
マルティナさんの怪我の為に薬草取りに行ってたんだっけな。
「じゃあ、デイヴィッドさんに『お前、怪我人ほったらかして何処ほっつき歩いてんだ。』って怒ってたと伝えておいて下さい。」
微笑を浮かべると、更に硬直したマルティナさんがコクコクと頷く。
・・・・何故だ。
伝えたし、もう用事は済んだ。
夫とはもう少ししたら、会えるだろし。
今日はまぁまぁ疲れたので早く家に帰りたい。
別れの挨拶をマルティナさんと交わして帰路に着く。
途中、
「なぁ、アンタ、デイヴィッドに会ったら・・・・。
デイヴィッドに危害を加えたりしないよな?」
不安気にセイさんが私に聞いてきた。
「何で、最愛の夫にそんな事するんですか。」
「いや、だって・・・・・。」
そう言ってセイさんは黙り込んでしまった。
全く、私を何だと思ってるんだ。
こんなに優しい私を捕まえてねぇ?
え?
え?
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