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6章
異国の客人
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王城で一夜明け、サルデージャ国王が来訪するまで、
部屋で城のメイド達に、ドレスに着替えるのを手伝ってもらう。
「シルヴィア様のお肌、滑らかで綺麗ですね・・・。」
「本当。それに白く透き通って、それでいて張りがあって理想的なお肌です。」
シルヴィアの着替えの間、メイド達が口々にうっとりしながら呟く。
当のシルヴィアは真ん中で気恥ずかしい思いでそれを聞いていた。
「折角の美しい肌を見せないなんて勿体無いです・・・。」
メイド達が残念そうな顔をするシルヴィアのドレスは、Aラインのシンプルなデザイン落ち着いた桃色。
髪を横に流し、花のコサージュで纏める。
胸元、腕は薄いレース生地で覆う。
前の夜会でのドレスが、レイフォードにあまり良く思われていなかったのが気に掛かり、
少しでも良い印象を残して、お別れしたいと思った。
「今日は夜会の場では無いから、
遠方から来られるお客様に、不快に思われたらいけないわ。
だから、これでいいの。」
メイド達にそう笑顔で答える。
シルヴィアの笑顔で皆一様に見惚れる。
「レイフォード様はシルヴィア様の様な素晴らしい方が奥様で、世の男性はさぞ羨ましがるでしょうね。」
一人のメイドの言葉が、シルヴィアの胸を刺す。
(褒められたのだから、誇っていいのよ。
悲しむ事なんて無いのだから。)
痛む胸を抑え、部屋を出る。
少し歩くと、レイフォードが前から歩いてくる。
「一緒に行こう。」
レイフォードが手を差し伸べてくる。
わざわざ迎えに来てくれたレイフォードに胸の痛みが更に強くなる。
嬉しい。けれど苦しい。
顔には出さず、笑顔でレイフォードの手に自分の手を重ねる。
共に廊下を歩く。
「今日の・・・ドレス・・・だが、」
レイフォードの方へ顔を向ける。レイフォードは明後日の方向を見ていた。
心なしか耳がほんのり赤くなっている様に見えた。
「良く似合っている、な・・・。」
ぼぼぼっと顔に熱が集中する。
「ありがとうございます!!」
このドレスにして本当に良かった。
シルヴィアはホッとして、俯く。
「・・・私も旦那様の正装姿、とても凛々しくて、素敵だと思います。」
小さな声でシルヴィアは賛辞を述べる。
レイフォードはピタリと歩みを止める。
それに伴い、シルヴィアも立ち止まる。
沈黙。
「・・・・・・。」
何の反応も無く黙り込んだレイフォードを窺う様に横目で見る。
「!!」
レイフォードはシルヴィアをじっと見つめていた。
切なげな表情でシルヴィアを見ている。
(また、私間違えてしまったの?)
何故そのような表情なのか、シルヴィアは考えるが、最適な結論が出ない。
お互いを見つめたまま数分、レイフォードが緩々と口を開く。
「あ、その・・・シルヴィア。俺をな・・・。」
「シルヴィア、レイフォード。何してる。
もうサルディージャの王が到着する時間になる。
早く向かうぞ。」
何かを言いかける前に、ジュードが声を掛けてきた。
「・・・・・・。いや、何でもない。」
「でも。」
「ホスト側が遅れる事は失礼だろう?
大した事じゃないから、いいんだ。
さぁ、行こう。」
レイフォードはそう言って、話を終わらせた。
二人は謁見の間へ向かう。
「サルデージャ国、タレス王、並びにデューイ殿下がご到着されました。」
使者が伝令に来た。
(殿下も?国王様だけではなかったの?)
シルヴィアが首を傾げ、周りをを見るとサリュエル以外が全員、初めて聞いた風な様子で、
眉を顰めたり、首を傾げたりしている。
どうやら、突発的な出来事のようであった。
サリュエルだけは飄々としている。
「おい、お前知っていただろ。」
ジュードはサリュエルを睨む。
サリュエルは態とらしく大きい声で弁明する。
「まさか!知っているわけないじゃあないか!
僕だって今、初めて聞いたよ!」
「・・・・ふん。どうだかな。」
腕を組み、憮然とした様子で扉を見据えるジュード。
「万が一、か。」
ポツリと呟いた。
「遠路遥々ようこそ!
歓迎するよ。タレス殿。」
サリュエルは柔和な笑みでタレスを迎える。タレスへ手を差し出す。
「此方の急な申し入れに関わらず、迅速な対応感謝する、サリュエル殿。」
タレスはサリュエルの手をしっかりと握り、握手を交わす。
褐色の肌。漆黒の髪。
武王と言われているだけに、ジュードよりも一回り大きいがっしりとした体躯のタレス。
立派な髭を蓄え、金色の瞳の眼光は鋭い。
「重ね重ね悪いが、我が息子デューイが突然付いてくると言うたものでな。」
「全然問題無いよ。ゆっくり滞在していってくれ。」
「悪いな。・・・・・後ろに居るのが例の?」
サリュエル越しに、見下ろす形でシルヴィアを捉えるタレス。
跪いたままのシルヴィアに声を掛ける。
「面を上げよ。」
「はい。」
シルヴィアは立ち上がり、タレスに微笑む。
「そなたがシルヴィアだな。」
シルヴィアはゆっくりとしたカーテシーで応える。
「その通りでございます。ジュード・フォン・ビルフォードが娘、シルヴィアと申します。
陛下に御目にかかれて、光栄でございます。」
タレスはシルヴィアの目の前まで歩み寄る。
「鬼神の娘と聞いて、どんな豪傑な娘かと想像しておったが、
まさかこんな触れたら折れそうな娘とは。
先の話、俄かに信じ難い。」
顎に手を当てシルヴィアを上から下まで見定める様に眺める。
鋭い眼付きのままのタレスに周囲に緊張が走る。
ジュードの周りの温度が一度上がった様に感じられた。
一触即発。
緊迫した空気の中。
「正真正銘鬼神の娘でございます。
これでもお父様と兄妹の中で一番似ていると言われているのですよ?」
その空気を散らす様に、にこりと微笑むシルヴィアにタレスはすう、と目を細める。
「分かった上での行いか、それとも只の愚鈍か。
幾分か肝が据わっておるのは認めよう。」
踵を返し、デューイの元へ戻る。
「暫く世話になる。デューイ、お前も黙っとらんで挨拶をせんか。」
デューイに促す。
デューイは目を爛々と輝かせている。
視線の先にはシルヴィアが居た。
するっと、サリュエルをすり抜け、シルヴィアの前で止まる。
そしておもむろにシルヴィアの髪を鷲掴む。
「きゃ!」
「なっ!」
レイフォードが止めに入ろうとするのを、ジュードが腕で制止する。
何故、とジュードを見る。
ジュードの瞳は燃える様に赤く、それだけでジュードの胸の内が理解出来た。
娘へのあの振る舞いに怒り以外の感情は無い。
だが、他国であっても王族。
歯向かう事は要らぬ諍いを生む。
ここでは耐えるしか選択肢は無かった。
レイフォードもその意図を察し歯噛みする。
デューイはシルヴィアの髪を繁々と眺める。
「お前の髪、珍しい毛色をしているな。
・・・・いいな、俺にくれ。」
「え?」
「デューイ!!」
タレスが一喝する。
デューイはシルヴィアの髪から手を離す。
「シルヴィア嬢、すまん。息子が無礼を働いた。
デューイ!お前も早く謝らんか!!」
デューイは首を傾げる。
「親父殿、何故下位の者に謝ればならないんだ?
俺達は王族だろ?俺の言う事なら、誰も逆らう事は出来ないと、皆言っている。」
タレスは額に手を当て嘆息する。
「いつも言っているが、その傲慢を直さねば誰も真にお前に従う者は居らん。
王の威光で従う者は、何れ手の平を返し、我らを脅かす。」
「そんな奴等、斬り捨てたらいいだろう?」
「お前は民を根絶やしにするつもりか!
歯向かう者全てを処すなぞ、愚王のする事だ!」
ふん、と鼻を鳴らすデューイ。
不穏な空気が流れる。
「お父様。」
口を開いたのはシルヴィアだった。
一斉にシルヴィアを見る。
シルヴィアはジュードの方へ歩みを進める。
「此方を貸してくださる?」
ジュードの刀剣を鞘から抜く。
ジュードは目を見開く。
「シルヴィア、何を。」
全員がシルヴィアの行動に注視する中、
シルヴィアは自分の髪、一房を手に取り、
ザッ。
勢い良く刀剣で切る。
部屋で城のメイド達に、ドレスに着替えるのを手伝ってもらう。
「シルヴィア様のお肌、滑らかで綺麗ですね・・・。」
「本当。それに白く透き通って、それでいて張りがあって理想的なお肌です。」
シルヴィアの着替えの間、メイド達が口々にうっとりしながら呟く。
当のシルヴィアは真ん中で気恥ずかしい思いでそれを聞いていた。
「折角の美しい肌を見せないなんて勿体無いです・・・。」
メイド達が残念そうな顔をするシルヴィアのドレスは、Aラインのシンプルなデザイン落ち着いた桃色。
髪を横に流し、花のコサージュで纏める。
胸元、腕は薄いレース生地で覆う。
前の夜会でのドレスが、レイフォードにあまり良く思われていなかったのが気に掛かり、
少しでも良い印象を残して、お別れしたいと思った。
「今日は夜会の場では無いから、
遠方から来られるお客様に、不快に思われたらいけないわ。
だから、これでいいの。」
メイド達にそう笑顔で答える。
シルヴィアの笑顔で皆一様に見惚れる。
「レイフォード様はシルヴィア様の様な素晴らしい方が奥様で、世の男性はさぞ羨ましがるでしょうね。」
一人のメイドの言葉が、シルヴィアの胸を刺す。
(褒められたのだから、誇っていいのよ。
悲しむ事なんて無いのだから。)
痛む胸を抑え、部屋を出る。
少し歩くと、レイフォードが前から歩いてくる。
「一緒に行こう。」
レイフォードが手を差し伸べてくる。
わざわざ迎えに来てくれたレイフォードに胸の痛みが更に強くなる。
嬉しい。けれど苦しい。
顔には出さず、笑顔でレイフォードの手に自分の手を重ねる。
共に廊下を歩く。
「今日の・・・ドレス・・・だが、」
レイフォードの方へ顔を向ける。レイフォードは明後日の方向を見ていた。
心なしか耳がほんのり赤くなっている様に見えた。
「良く似合っている、な・・・。」
ぼぼぼっと顔に熱が集中する。
「ありがとうございます!!」
このドレスにして本当に良かった。
シルヴィアはホッとして、俯く。
「・・・私も旦那様の正装姿、とても凛々しくて、素敵だと思います。」
小さな声でシルヴィアは賛辞を述べる。
レイフォードはピタリと歩みを止める。
それに伴い、シルヴィアも立ち止まる。
沈黙。
「・・・・・・。」
何の反応も無く黙り込んだレイフォードを窺う様に横目で見る。
「!!」
レイフォードはシルヴィアをじっと見つめていた。
切なげな表情でシルヴィアを見ている。
(また、私間違えてしまったの?)
何故そのような表情なのか、シルヴィアは考えるが、最適な結論が出ない。
お互いを見つめたまま数分、レイフォードが緩々と口を開く。
「あ、その・・・シルヴィア。俺をな・・・。」
「シルヴィア、レイフォード。何してる。
もうサルディージャの王が到着する時間になる。
早く向かうぞ。」
何かを言いかける前に、ジュードが声を掛けてきた。
「・・・・・・。いや、何でもない。」
「でも。」
「ホスト側が遅れる事は失礼だろう?
大した事じゃないから、いいんだ。
さぁ、行こう。」
レイフォードはそう言って、話を終わらせた。
二人は謁見の間へ向かう。
「サルデージャ国、タレス王、並びにデューイ殿下がご到着されました。」
使者が伝令に来た。
(殿下も?国王様だけではなかったの?)
シルヴィアが首を傾げ、周りをを見るとサリュエル以外が全員、初めて聞いた風な様子で、
眉を顰めたり、首を傾げたりしている。
どうやら、突発的な出来事のようであった。
サリュエルだけは飄々としている。
「おい、お前知っていただろ。」
ジュードはサリュエルを睨む。
サリュエルは態とらしく大きい声で弁明する。
「まさか!知っているわけないじゃあないか!
僕だって今、初めて聞いたよ!」
「・・・・ふん。どうだかな。」
腕を組み、憮然とした様子で扉を見据えるジュード。
「万が一、か。」
ポツリと呟いた。
「遠路遥々ようこそ!
歓迎するよ。タレス殿。」
サリュエルは柔和な笑みでタレスを迎える。タレスへ手を差し出す。
「此方の急な申し入れに関わらず、迅速な対応感謝する、サリュエル殿。」
タレスはサリュエルの手をしっかりと握り、握手を交わす。
褐色の肌。漆黒の髪。
武王と言われているだけに、ジュードよりも一回り大きいがっしりとした体躯のタレス。
立派な髭を蓄え、金色の瞳の眼光は鋭い。
「重ね重ね悪いが、我が息子デューイが突然付いてくると言うたものでな。」
「全然問題無いよ。ゆっくり滞在していってくれ。」
「悪いな。・・・・・後ろに居るのが例の?」
サリュエル越しに、見下ろす形でシルヴィアを捉えるタレス。
跪いたままのシルヴィアに声を掛ける。
「面を上げよ。」
「はい。」
シルヴィアは立ち上がり、タレスに微笑む。
「そなたがシルヴィアだな。」
シルヴィアはゆっくりとしたカーテシーで応える。
「その通りでございます。ジュード・フォン・ビルフォードが娘、シルヴィアと申します。
陛下に御目にかかれて、光栄でございます。」
タレスはシルヴィアの目の前まで歩み寄る。
「鬼神の娘と聞いて、どんな豪傑な娘かと想像しておったが、
まさかこんな触れたら折れそうな娘とは。
先の話、俄かに信じ難い。」
顎に手を当てシルヴィアを上から下まで見定める様に眺める。
鋭い眼付きのままのタレスに周囲に緊張が走る。
ジュードの周りの温度が一度上がった様に感じられた。
一触即発。
緊迫した空気の中。
「正真正銘鬼神の娘でございます。
これでもお父様と兄妹の中で一番似ていると言われているのですよ?」
その空気を散らす様に、にこりと微笑むシルヴィアにタレスはすう、と目を細める。
「分かった上での行いか、それとも只の愚鈍か。
幾分か肝が据わっておるのは認めよう。」
踵を返し、デューイの元へ戻る。
「暫く世話になる。デューイ、お前も黙っとらんで挨拶をせんか。」
デューイに促す。
デューイは目を爛々と輝かせている。
視線の先にはシルヴィアが居た。
するっと、サリュエルをすり抜け、シルヴィアの前で止まる。
そしておもむろにシルヴィアの髪を鷲掴む。
「きゃ!」
「なっ!」
レイフォードが止めに入ろうとするのを、ジュードが腕で制止する。
何故、とジュードを見る。
ジュードの瞳は燃える様に赤く、それだけでジュードの胸の内が理解出来た。
娘へのあの振る舞いに怒り以外の感情は無い。
だが、他国であっても王族。
歯向かう事は要らぬ諍いを生む。
ここでは耐えるしか選択肢は無かった。
レイフォードもその意図を察し歯噛みする。
デューイはシルヴィアの髪を繁々と眺める。
「お前の髪、珍しい毛色をしているな。
・・・・いいな、俺にくれ。」
「え?」
「デューイ!!」
タレスが一喝する。
デューイはシルヴィアの髪から手を離す。
「シルヴィア嬢、すまん。息子が無礼を働いた。
デューイ!お前も早く謝らんか!!」
デューイは首を傾げる。
「親父殿、何故下位の者に謝ればならないんだ?
俺達は王族だろ?俺の言う事なら、誰も逆らう事は出来ないと、皆言っている。」
タレスは額に手を当て嘆息する。
「いつも言っているが、その傲慢を直さねば誰も真にお前に従う者は居らん。
王の威光で従う者は、何れ手の平を返し、我らを脅かす。」
「そんな奴等、斬り捨てたらいいだろう?」
「お前は民を根絶やしにするつもりか!
歯向かう者全てを処すなぞ、愚王のする事だ!」
ふん、と鼻を鳴らすデューイ。
不穏な空気が流れる。
「お父様。」
口を開いたのはシルヴィアだった。
一斉にシルヴィアを見る。
シルヴィアはジュードの方へ歩みを進める。
「此方を貸してくださる?」
ジュードの刀剣を鞘から抜く。
ジュードは目を見開く。
「シルヴィア、何を。」
全員がシルヴィアの行動に注視する中、
シルヴィアは自分の髪、一房を手に取り、
ザッ。
勢い良く刀剣で切る。
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