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6章
絶対に
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「俺は、今までシルヴィアに数え切れない程、
最低な言葉を浴びせ、
シルヴィアに対して最低な行いをした。
許して欲しいなんて、言える立場では無い。
ただ、心から謝りたい。
本当に、本当に申し訳なかった・・・。」
レイフォードはシルヴィアの手を自分の額に当て懺悔する。
「本当はもっと早く謝りたかった。
酷い事をした俺を、全く責める事もせず俺に笑いかけてくれる貴女に甘えていた。
もしかしたら、俺を許してくれているのか、なんて馬鹿な事を思ったりもしていた。
・・・・そんな事ある訳無いのに。」
自嘲気味に笑うレイフォード。
額に当てていたシルヴィアの手を自分の口元に寄せる。
「!!」
シルヴィアが少し体を震わせる。
「父上に聞かされた。
ビルフォード伯爵家の瞳の事を。
感情の揺れで色彩が変わる事。
俺はずっとシルヴィアの瞳は深い蒼だと思っていた。
俺と会う時はいつもそうだったから。
だが、」
シルヴィアの頬に手を添え、親指で目の下をなぞる。
シルヴィアの瞳が徐々に薄い赤色に変化していく。
「美しい紫の瞳。
蒼は悲しみ、怯え、そう言った負の感情を抱いた時だと。」
「あ・・・。」
思わずシルヴィアは自分の目に触れようと手を顔に近づけるが、
レイフォードがその手を掴む。
「本当に馬鹿だよ、俺は。
シルヴィアの瞳はこんなに如実に語っているのに。
傷付いてなんていない訳無いじゃないか。」
眉を寄せて、顔を歪ませる。
そんなレイフォード表情を見て、今度はシルヴィアがレイフォードの手をぎゅっと握る。
そして、優しく言い聞かせる様にレイフォードに語り掛ける。
「全く傷付いていないと言えば、嘘になってしまいますけれど、
それよりも、レイフォード様を失望させてしまったという、
自分の不甲斐なさを痛感した方が大きかったのです。
私がもっと気を付けていれば良かった事柄ですもの。
自分自身が許せませんでした。
レイフォード様を許さないなんて事は無いです。
だから、そんな顔をしないでください。」
穏やかに笑うシルヴィア。
驚愕の表情でシルヴィアを見つめるレイフォード。
「・・・どれだけ、人が良いんだ・・・。」
「え?」
「あれほどの事をされて、そんな事が言えるなんて。」
シルヴィアはうーんと頭を捻る。
「本当にそう思っていますので、私にはどう言えば良いか分かりませんが・・・。
兎に角、私は怒ってなどいませんよ?
寧ろ私が謝りたい位です。
いつもレイフォード様にご迷惑ばかりお掛けして申し訳ありませんでした。」
シルヴィアはぺこりと頭を下げる。
「シルヴィアの方こそ、謝る事なんか無い!
止めてくれ!」
レイフォードは慌てながらシルヴィアの謝罪を止める。
「ですが・・・。」
「本当に!シルヴィアは何も悪くない。」
念押しする様に強調する。
「本当に、怒っていらっしゃらないですか?」
シルヴィアがおずおずとレイフォードに尋ねる。
レイフォードはシルヴィアをしっかりと見据え頷く。
「ああ。本当に。」
「・・・良かった・・・。」
シルヴィアは緩々と眉尻を下げて、安心した表情を見せる。
シルヴィアの表情を見て安堵するレイフォード。
(これで、心置きなくシルヴィアに想いを告げる事が出来る。)
「これで、心置きなくこのお屋敷を出る事が出来ます。」
レイフォードの考えていた言葉と同じようで、
レイフォードが考えていた全く違う意味の言葉をシルヴィアが紡ぐ。
レイフォードは頭が真っ白になって、固まる。
「は・・・?」
(今、シルヴィアは何て言った?)
「今、何て言った?」
シルヴィアは少し悲しげな笑顔で告げる。
「レイフォード様にご迷惑をお掛けしていた事が心残りだったのです。
ですが、それも今そうではない事が分かりました。
後は離縁してもらい、お屋敷から出るだけ。
既に準備は整えております。
本当に今まで、ありがとうございました。
私は「ちょ、ちょっと待て!!!」
最後まで言わせまいとレイフォードが遮る。
「え?」
「え?じゃない!!!」
目をぱちくりさせるシルヴィア。
レイフォードはシルヴィアの座っているソファの縁をダンッと両手で掴む。
レイフォードの両腕の間にはシルヴィアが収まっている。
左右を見て、今の自分の置かれている状況がレイフォードに囲い込まれていると理解する。
「え!レイフォード様!?」
シルヴィアの声も全く届いていない。
レイフォードの鬼気迫る様子に息を呑む。
「出て行く?離縁?一体何の話だ!」
「レ、レイフォード様にどなたか好きな方がいらっしゃるみたいでしたから、
私はお邪魔だと思って・・・。」
(好きな方って誰だよ!)
レイフォードは心の中で叫ぶ。
「・・・誰がそんな事を?」
声を抑えて出来る限り優しく話す。
シルヴィアの瞳が既に青く変化していたからだ。
「えっと、レイフォード様が以前、美しい女性が居たとお話になられて、それで、」
「俺が?いつ?」
じりじりと顔を近付けるレイフォードに、半ば混乱しながら、顔を仰け反らせるシルヴィア。
左右の逃げ道が無い今、後ろしか逃げ場が無いのだ。
「あ、あの夜会の、レイフォード様が、御母様のお話をなさった時、ですぅ・・・。」
息も絶え絶えに顔を真っ赤にさせながら、シルヴィアは必死に伝える。
押し黙るレイフォード。
記憶を辿る。
(母の話をした時?・・・・・!!ああああああああ!)
「きゃあ!レイフォード様!?」
シルヴィアの肩口にがくりと額を乗せて項垂れる。
「やはりあの時にちゃんと言えばよかった。」
シルヴィアには聞こえない程の囁き。
「あの、あのどうされたのですか!?レイフォード様?」
(確かに言った、言ったが・・・。
それはシルヴィアの事であって、他の女の事では無い。
くそっ!シルヴィアを引き留めてでも伝えていればこんなややこしい事には・・・。)
シルヴィアに凭れ掛かったまま動こうとしない。
「レイフォード様?レイフォード様!?」
シルヴィアは自分の肩に顔を埋めたままのレイフォードをどうする事も出来ず、
レイフォードの名前を呼ぶしかできない。
(ど、どうしたらいいの・・・。)
「・・・・・。」
未だ動かないレイフォード。
暫くの後、長い息を吐きレイフォードがポツリと呟く。
「シルヴィアの勘違いだからな。」
「え?」
「俺は離縁なんかしないからな。」
ゆっくり顔を上げたレイフォードがじっとシルヴィアを見つめる。
シルヴィアの頬に手を添える。
シルヴィアの鼓動が跳ね上がる。
「絶対にしないからな。」
徐々に顔を寄せるレイフォード。
「あ、あ、あ、あの。」
「絶対に!」
「わ、分かりました!分かりましたから!」
手でレイフォードを押し返そうとする。
だが、レイフォードはシルヴィアの腰に手を回し、
自分に引き寄せる。
「ひっ!」
シルヴィアが小さな悲鳴を上げる。
切なげに眉を寄せて辛そうに言葉を吐くレイフォード。
「俺に触れられるのが、そんなに嫌?」
「い、嫌じゃな・・・。」
「なら、逃げないでくれ。」
「レ・・・。」
シルヴィアが声を発しようとした矢先、
シルヴィアの口元を覆う手。
「そろそろ、お休みの時間ですよ。シルヴィア様。」
「ふぉひあ。」
ソニアが冷え切った眼でレイフォードを見下ろす。
「お、お前いつの間に・・・。」
レイフォードがばっとシルヴィアから身を離し、立ち上がる。
「シルヴィア様の悲鳴が聞こえましたもので、ご当主がご無体を働いているのでは無いかと思い、
失礼ながら先程中へ。」
「む、無体なんて俺は。」
「半ば無理矢理に見えましたが?」
シルヴィアの口元を覆ったまま、ソニアはレイフォードを睨みつける。
「ふ、夫婦だから、これぐらい良いじゃないか!」
開き直るレイフォード。
「言うことも言えないで、何が夫婦ですか。
肝心な事を言ってからにしてください。」
「ぐ・・・・。」
言葉に詰まり、下を向くレイフォード。
「んんん?んん?」
ソニアに口を塞がれているシルヴィアはもごもごとソニアに訴えている。
ソニアは手を離し、シルヴィアを立たせて手を引く。
「さあ、シルヴィア様、部屋に戻りますよ。」
「ソニア?さっきの話、どういう・・・。」
「部屋に戻ってからお話しますよ。さあ。」
逆らえないと判断し、シルヴィアはレイフォードに挨拶をする。
「あの・・・レイフォード様・・・。お先に失礼します。」
「ああ・・・・。」
下を向いたまま答えるレイフォード。
シルヴィアとソニアが談話室から出る。
バタンと扉が閉まる音と共に、レイフォードがソファへ仰向けに倒れ込む。
「最悪だ。」
(シルヴィアが出て行くなんて言うから、頭に血が上ってしまった。
出て行く位なら、もういっその事と・・・。)
「最低だな・・・。変わってないじゃないか。」
(好きだと伝える事がこんなに難しいなんて思ってもみなかった。
たった一言、それだけなのに。)
出て行こうとするシルヴィア。
それをどうにかして引き留めようと強硬手段に出た自分に後悔する。
「本当に、好きな女の前では上手く出来ないのだな。」
額に手を当て、目を閉じる。
取り敢えず、出て行くのは阻止できた。
出来たはず・・・。
もう、なりふり構わず告げようか。
出て行かないように、周りから囲い込もうか。
鎖・・・・。
物騒な考えが過ぎり、レイフォードはそれを振り払うかのように首を横に振った。
最低な言葉を浴びせ、
シルヴィアに対して最低な行いをした。
許して欲しいなんて、言える立場では無い。
ただ、心から謝りたい。
本当に、本当に申し訳なかった・・・。」
レイフォードはシルヴィアの手を自分の額に当て懺悔する。
「本当はもっと早く謝りたかった。
酷い事をした俺を、全く責める事もせず俺に笑いかけてくれる貴女に甘えていた。
もしかしたら、俺を許してくれているのか、なんて馬鹿な事を思ったりもしていた。
・・・・そんな事ある訳無いのに。」
自嘲気味に笑うレイフォード。
額に当てていたシルヴィアの手を自分の口元に寄せる。
「!!」
シルヴィアが少し体を震わせる。
「父上に聞かされた。
ビルフォード伯爵家の瞳の事を。
感情の揺れで色彩が変わる事。
俺はずっとシルヴィアの瞳は深い蒼だと思っていた。
俺と会う時はいつもそうだったから。
だが、」
シルヴィアの頬に手を添え、親指で目の下をなぞる。
シルヴィアの瞳が徐々に薄い赤色に変化していく。
「美しい紫の瞳。
蒼は悲しみ、怯え、そう言った負の感情を抱いた時だと。」
「あ・・・。」
思わずシルヴィアは自分の目に触れようと手を顔に近づけるが、
レイフォードがその手を掴む。
「本当に馬鹿だよ、俺は。
シルヴィアの瞳はこんなに如実に語っているのに。
傷付いてなんていない訳無いじゃないか。」
眉を寄せて、顔を歪ませる。
そんなレイフォード表情を見て、今度はシルヴィアがレイフォードの手をぎゅっと握る。
そして、優しく言い聞かせる様にレイフォードに語り掛ける。
「全く傷付いていないと言えば、嘘になってしまいますけれど、
それよりも、レイフォード様を失望させてしまったという、
自分の不甲斐なさを痛感した方が大きかったのです。
私がもっと気を付けていれば良かった事柄ですもの。
自分自身が許せませんでした。
レイフォード様を許さないなんて事は無いです。
だから、そんな顔をしないでください。」
穏やかに笑うシルヴィア。
驚愕の表情でシルヴィアを見つめるレイフォード。
「・・・どれだけ、人が良いんだ・・・。」
「え?」
「あれほどの事をされて、そんな事が言えるなんて。」
シルヴィアはうーんと頭を捻る。
「本当にそう思っていますので、私にはどう言えば良いか分かりませんが・・・。
兎に角、私は怒ってなどいませんよ?
寧ろ私が謝りたい位です。
いつもレイフォード様にご迷惑ばかりお掛けして申し訳ありませんでした。」
シルヴィアはぺこりと頭を下げる。
「シルヴィアの方こそ、謝る事なんか無い!
止めてくれ!」
レイフォードは慌てながらシルヴィアの謝罪を止める。
「ですが・・・。」
「本当に!シルヴィアは何も悪くない。」
念押しする様に強調する。
「本当に、怒っていらっしゃらないですか?」
シルヴィアがおずおずとレイフォードに尋ねる。
レイフォードはシルヴィアをしっかりと見据え頷く。
「ああ。本当に。」
「・・・良かった・・・。」
シルヴィアは緩々と眉尻を下げて、安心した表情を見せる。
シルヴィアの表情を見て安堵するレイフォード。
(これで、心置きなくシルヴィアに想いを告げる事が出来る。)
「これで、心置きなくこのお屋敷を出る事が出来ます。」
レイフォードの考えていた言葉と同じようで、
レイフォードが考えていた全く違う意味の言葉をシルヴィアが紡ぐ。
レイフォードは頭が真っ白になって、固まる。
「は・・・?」
(今、シルヴィアは何て言った?)
「今、何て言った?」
シルヴィアは少し悲しげな笑顔で告げる。
「レイフォード様にご迷惑をお掛けしていた事が心残りだったのです。
ですが、それも今そうではない事が分かりました。
後は離縁してもらい、お屋敷から出るだけ。
既に準備は整えております。
本当に今まで、ありがとうございました。
私は「ちょ、ちょっと待て!!!」
最後まで言わせまいとレイフォードが遮る。
「え?」
「え?じゃない!!!」
目をぱちくりさせるシルヴィア。
レイフォードはシルヴィアの座っているソファの縁をダンッと両手で掴む。
レイフォードの両腕の間にはシルヴィアが収まっている。
左右を見て、今の自分の置かれている状況がレイフォードに囲い込まれていると理解する。
「え!レイフォード様!?」
シルヴィアの声も全く届いていない。
レイフォードの鬼気迫る様子に息を呑む。
「出て行く?離縁?一体何の話だ!」
「レ、レイフォード様にどなたか好きな方がいらっしゃるみたいでしたから、
私はお邪魔だと思って・・・。」
(好きな方って誰だよ!)
レイフォードは心の中で叫ぶ。
「・・・誰がそんな事を?」
声を抑えて出来る限り優しく話す。
シルヴィアの瞳が既に青く変化していたからだ。
「えっと、レイフォード様が以前、美しい女性が居たとお話になられて、それで、」
「俺が?いつ?」
じりじりと顔を近付けるレイフォードに、半ば混乱しながら、顔を仰け反らせるシルヴィア。
左右の逃げ道が無い今、後ろしか逃げ場が無いのだ。
「あ、あの夜会の、レイフォード様が、御母様のお話をなさった時、ですぅ・・・。」
息も絶え絶えに顔を真っ赤にさせながら、シルヴィアは必死に伝える。
押し黙るレイフォード。
記憶を辿る。
(母の話をした時?・・・・・!!ああああああああ!)
「きゃあ!レイフォード様!?」
シルヴィアの肩口にがくりと額を乗せて項垂れる。
「やはりあの時にちゃんと言えばよかった。」
シルヴィアには聞こえない程の囁き。
「あの、あのどうされたのですか!?レイフォード様?」
(確かに言った、言ったが・・・。
それはシルヴィアの事であって、他の女の事では無い。
くそっ!シルヴィアを引き留めてでも伝えていればこんなややこしい事には・・・。)
シルヴィアに凭れ掛かったまま動こうとしない。
「レイフォード様?レイフォード様!?」
シルヴィアは自分の肩に顔を埋めたままのレイフォードをどうする事も出来ず、
レイフォードの名前を呼ぶしかできない。
(ど、どうしたらいいの・・・。)
「・・・・・。」
未だ動かないレイフォード。
暫くの後、長い息を吐きレイフォードがポツリと呟く。
「シルヴィアの勘違いだからな。」
「え?」
「俺は離縁なんかしないからな。」
ゆっくり顔を上げたレイフォードがじっとシルヴィアを見つめる。
シルヴィアの頬に手を添える。
シルヴィアの鼓動が跳ね上がる。
「絶対にしないからな。」
徐々に顔を寄せるレイフォード。
「あ、あ、あ、あの。」
「絶対に!」
「わ、分かりました!分かりましたから!」
手でレイフォードを押し返そうとする。
だが、レイフォードはシルヴィアの腰に手を回し、
自分に引き寄せる。
「ひっ!」
シルヴィアが小さな悲鳴を上げる。
切なげに眉を寄せて辛そうに言葉を吐くレイフォード。
「俺に触れられるのが、そんなに嫌?」
「い、嫌じゃな・・・。」
「なら、逃げないでくれ。」
「レ・・・。」
シルヴィアが声を発しようとした矢先、
シルヴィアの口元を覆う手。
「そろそろ、お休みの時間ですよ。シルヴィア様。」
「ふぉひあ。」
ソニアが冷え切った眼でレイフォードを見下ろす。
「お、お前いつの間に・・・。」
レイフォードがばっとシルヴィアから身を離し、立ち上がる。
「シルヴィア様の悲鳴が聞こえましたもので、ご当主がご無体を働いているのでは無いかと思い、
失礼ながら先程中へ。」
「む、無体なんて俺は。」
「半ば無理矢理に見えましたが?」
シルヴィアの口元を覆ったまま、ソニアはレイフォードを睨みつける。
「ふ、夫婦だから、これぐらい良いじゃないか!」
開き直るレイフォード。
「言うことも言えないで、何が夫婦ですか。
肝心な事を言ってからにしてください。」
「ぐ・・・・。」
言葉に詰まり、下を向くレイフォード。
「んんん?んん?」
ソニアに口を塞がれているシルヴィアはもごもごとソニアに訴えている。
ソニアは手を離し、シルヴィアを立たせて手を引く。
「さあ、シルヴィア様、部屋に戻りますよ。」
「ソニア?さっきの話、どういう・・・。」
「部屋に戻ってからお話しますよ。さあ。」
逆らえないと判断し、シルヴィアはレイフォードに挨拶をする。
「あの・・・レイフォード様・・・。お先に失礼します。」
「ああ・・・・。」
下を向いたまま答えるレイフォード。
シルヴィアとソニアが談話室から出る。
バタンと扉が閉まる音と共に、レイフォードがソファへ仰向けに倒れ込む。
「最悪だ。」
(シルヴィアが出て行くなんて言うから、頭に血が上ってしまった。
出て行く位なら、もういっその事と・・・。)
「最低だな・・・。変わってないじゃないか。」
(好きだと伝える事がこんなに難しいなんて思ってもみなかった。
たった一言、それだけなのに。)
出て行こうとするシルヴィア。
それをどうにかして引き留めようと強硬手段に出た自分に後悔する。
「本当に、好きな女の前では上手く出来ないのだな。」
額に手を当て、目を閉じる。
取り敢えず、出て行くのは阻止できた。
出来たはず・・・。
もう、なりふり構わず告げようか。
出て行かないように、周りから囲い込もうか。
鎖・・・・。
物騒な考えが過ぎり、レイフォードはそれを振り払うかのように首を横に振った。
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