フィリピン放浪記

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第2話 フィリピン最南端。過疎の港町スラム地区!ガキんちょ達との凄惨な戦いが始まる。(6)

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ジェネラルサントスの気候及び風土にノックアウトな当初の私。乾季の猛暑による汚臭腐臭及び蚊等の害虫襲撃で身体の至る所が膿んでしまうのです。(膿んでしまうのは私に限っての症状でした。勝手な憶測ですが異国の地で反応した私独自の体質だったのでしょう!?)つまりは・・・事あるごとに耐えられず寝込んでしまう私。ゲーセンモドキの商いを閉じてベッドの上で意識も朦朧。そしてガキんちょどもの多くは、相変わらず我が部屋の片隅で蹲(うずくま)っているという有様。恐らくは『タロ・・・お前が御陀仏する前に今一度オンゴイ(ドンキーコング)をプレイさせろ』な熱い想いだったに違いない。そんな折、解熱効果の高い?葉っぱを幾枚も私の額(ひたい)に貼り付ける薬物中毒のジョイの姉。私は朦朧(もうろう)とした意識の中、自身の姿を鏡で伺い吹き出してしまう事もシバシバ。
・・・何故なら其(そ)れは、まるで間抜けなインデイアン宛(さなが)らな、奇妙奇天烈な姿だったからでした。
         

ミンダナオ地方(フィリピン南部の島々)に限っての独特な処方だったのでしょか?定かでは有りません。
それは高熱を発症した折に額(ひたい)に貼り付ける葉っぱ。そこらじゅうに無限に自生する植物です。決して特別特殊な葉っぱでは有りません。
ところが・・・
不思議に効果絶大なのです。モノの1~2時間程度。徐々に高熱を発してた額(ひたい)が冷めていくのです。確かにジョイが経営する雑貨店にも解熱剤は有りました。しかし最後の最後まで、その解熱剤を処方する必要は有りませんでした。

そんな慌ただしさが過ぎていく日々の中、やがて私の体質もやんわり其(そ)の土地に馴染み始め、やおら寝込む事も無くなり掛けた頃・・・
然(さ)る少年が我がゲーセンモドキ部屋を訪れた。因(ちな)みに彼のネームを『ジャイアン』としましょう。何故に彼は『ジャイアン』なのか!?勿論(もちろん)シンプルに『ジャイアン』そのものだったからでした。傍若無人(ぼうじゃくぶじん)に『ジャイアン』の如く振る舞う少年。その挙動や出で立ちがスラムでは明らかに似つかわしくない。何故なら彼の父親が其(そ)のスラムの盟主だったからでした。

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私のゲーセンもどき部屋に訪れるガキんちょども。彼等みんなの出で立ちは例外無くボロボロのボロ雑巾。全身黒々く汚(けが)れた泥の塊でした。スラム周辺の通りは舗装された道などありません。剥(む)き出しの泥に塗(まみ)れた土塊(くれ)道を転がり這いずるガキんちょどもが、明け切れぬ早朝の薄い蒸気が漂う通りを掻き分けて、意気揚々と我がゲーセンもどき部屋を訪れるのです。

思い出されるジョイの言葉。それは私が此(こ)の地スラムで新参間も無い頃。ゲームを商う時期以前に私に訓戒した栃木訛りのあのお言葉。
『絶対に奴らを部屋に入れるなぁタロ!分がったかぁ!!!』

朝の5時にスタートの私の商い部屋は勿論(もちろん)瞬(またた)く間に泥だらけです。私が特に頭を抱えた事象。
それは、
私とジョイが就寝に使用の手作りのスポンジベッド。彼等ガキんちょどもはそのベッドを、まるでトランポリンの如く使用しやがるのです。
度事(たびごと)に幾度も叱(しか)り忠告するにも関わらず、彼等は大騒ぎでジャンプを繰り返す。
私は一日中狂わんばかりに叫びます。
「おめ~ら!いい加減にしろー!ぶっ殺すぞ!!!」と日本語で・・・
そんな中、
どさくさに紛れた年長の悪童ケンジー(薬物中毒のジョイの姉の息子)。彼は、決まって床にバラ撒かれたお金(トランポリンの結果。ガキんちょどものジャンプの際にポケットから溢(あふ)れ出て床に散乱するお金)を盗むのです。それはゲーム代金の足しにする為の悪行です。追々、当然お金を失ったガキんちょどもは大声号泣で喚(わめ)き散らします。私は当初、穏やかに事を処理しようと努めました。
しかし何事にも限界が・・・
私は悪行を遂行の後のケンジーの腕を鷲(わし)つかみし、盗んだ金を奪い取り、部屋入り口まで無理やりに引きずり出します。
「お前はゲームは二度とプレイ出来無い。出ていけ!!!」
日本語丸出しでケンジーの目を睨(にら)みながら叫びます。ケンジーは私の意図を飲み込むと、真っ赤に上気した泣き顔で野外の何処ぞに駆け出して行くのです。勿論盗まれた金は適当にガキんちょどもに分配です。涙の線がクッキリ浮かんだ鼻水垂れ流し面(ずら)のガキんちょどもから、各々(おのおの)確か2ペソ(日本円で4~5円)を受け取ってジャスト1時間のゲームを提供。
しかし数時間が過ぎてケンジーは舞い戻って来ます。拳の中に更に増えた幾ばくかの金を握りしめて・・・
またぞろ何処(どこ)かで盗んで来たに違いない。勿論(もちろん)定かではありません。それは私の思い込みだったのかも知れません。しかし私の彼への憤怒(ふんど)は止まらない。そんなケンジーが私に懇願です。『俺は金を払える。だから当たり前にプレイさせろ』と・・・
そんな時でもケンジーの母親(ジョイの薬物中毒の姉)は、まったく感知しない様子。ゲームの『上海』に日がな一日熱中です。兎に角私はその折一切ケンジーを受け入れませんでした。完全なる無視を決め込むのです。ケンジーは諦めません。いつまでも我がゲーセンモドキ部屋の隅に踏ん反り返って屈(かが)み込み、ボンヤリ顔で居座り続けました。
      

悪童ケンジー再びです。今だ記憶に残るガキんちょ。盗み・喚き・叫び・欺(あざむ)きの問題児。薬物中毒の母から完全無視を決め込まれ・・・あげくに父の存在は不明。2~3日姿を眩(くら)ます事もシバシバ。誰一人として気にしない。ほったらかしの姿は、まるで野良犬並みの生きざまでした。

あれから数十年が過ぎた現在2020年。去年19年に唐突に此(こ)の悪童ケンジーからFBOOKの友達申請が届きました。驚いた事に・・・FBOOKの写真で垣間見た青年に成長したケンジーは、とても好青年に見えました。彼女らしい可愛らしい娘など横に添えて・・・それはあの頃の荒れ捲(まく)ってた同一の彼とは思えない程。私は彼が悪童の頃、散々追い廻し引きずり回し号泣させた事が多々ありました。それ故、彼は私を兎にも角にも嫌っているに違いない。そう長い事想っていたが為に友達申請には大いに驚かされた。
私はFBOOKで早速メールを送信。
「久しぶりだな我が息子。友達申請心から感謝」
そんなような冗談めかした内容です。
ケンジーからタガログ語で長文の返信。まったく理解できません。GOOGLE翻訳でもマトモな解読は無理な様子。同様に理解できません。
ただ彼の長文の最後の行だけは幾分理解できました『ありがとう俺のオヤジ』といった感じの流れ。定かではありません。

私がケンジーを気に掛け追いかけ引きずり回した理由はとてもシンプルです。自身が孤独である事すら気付かない程の侘(わび)しい心持ち。大人に対する常に怯えた暗い眼(まなこ)。お零(こぼ)れを求めて流離(さすら)う日々。
それは彼があまりに・・・私のガキんちょの頃に似ていたからでした。


そんなケンジーにゲーム禁止令を発布したあの日。ゲーセンもどき部屋での昼日中の出来事です。此(こ)のスラム地区には到底似つかわしくない、ひとりの少年『ジャイアン』が登場しました。
      
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