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23 結婚式
しおりを挟む戴冠式にも使われる王家御用達の大聖堂に、パイプオルガンの音色が響き渡る。
大聖堂内全体の空気を震わせて響きわたる荘厳で華やかな音色が、厳かな雰囲気に彩りを加え。
式に列席する人々の胸を高鳴らせた。
……どうして私は。
こんなやんごとなき大聖堂で、屋敷が数件余裕で建てられそうなくらい絢爛豪華なウェディングドレスを着て立っているのでしょうか?
縫い付けられた宝石の重みでバージンロードを歩くのは、想像通りやっぱり大変でした。
それに式に沢山列席されているお貴族様達の、なんだかよくわからない視線が痛い。
まあだいたいは想像出来ますが。
ですがこれだけ多くの列席者、きっとあちらの結婚式は閑散としている事でしょう。
ふと隣に目を向ければ、アレクセイ様が私を見詰めとても穏やかに微笑まれていて。
「っ……アレクセイ様」
「ん?」
「いえ、なんでもないです……」
「そう?」
どうしてアレクセイ様は、そんなに優しく私に微笑みかけて来るのでしょうか?
そんな風にアレクセイ様に見詰められますと、なんだかむず痒くなって落ち着かなくなってしまいます。
そして私達は誓いの言葉を交わす。
「汝アレクセイ・バルテはこの女ブランシェ・エルマレを妻とし、良き時も悪き時も富める時も貧しき時も
病める時もそして健やかなる時も共に歩み他の者に依らず死が二人を分かつ時まで愛を誓い妻を愛し妻のみに寄り添うことを誓いますか?」
「誓います」
「汝ブランシェ・エルマレは、この男アレクセイ・バルテを夫とし、良き時も悪き時も富める時も貧しき時も病める時もそして健やかなる時も共に歩み他の者に依らず死が二人を分かつ時まで愛を誓い夫を愛し夫のみに寄り添うことを誓いますか?」
「……誓います」
夫婦としての愛は無理だと思いますが。
家族愛くらいならばきっと契約結婚でも、育むことが出来るでしょう。
だってこれからは同じお屋敷で住んで、今まで通り同じ職場で私達は働くのです。
ですからこの誓いは、嘘ではありません。
少し寂しい気持ちもやっぱりありますがこれはもう、仕方がないのです。
これは契約なのだから。
「では、誓いのキスを」
早速高難易度のイベント発生です。
とりあえずここは、キスするフリをすればまあ問題はないでしょう。
私のウェディングベールをフワリと持ち上げられましたアレクセイ様は、にっこりと微笑まれます。
なので私もにっこりと微笑み返し目を瞑ります、きっと上手い事やってくれることでしょう。
アレクセイはベールを上げたブランシェの腰に手をまわし引き寄せて、頬に手を添えて。
その整った顔をゆっくりと近付けて。
口付けを落とした。
それはキスするフリなどではなく。
ブランシェの柔らかな唇に、自身の唇を重ねあわせるという、本当のキスで。
柔らかいものが唇に触れた感覚に、パチリとブランシェは瞼を開く。
そこにはアレクセイの美しい顔、そしてブランシェの唇にまだ何か柔らかいものが触れていて。
「ではこれにてお二人の結婚が神に届けられました。これからは夫婦仲良く手に手を取り合って、なか睦まじく寄り添い感謝を忘れず実りある生活を送ることができますように」
そして司祭が誓いの言葉を締めくくった。
「アレクセイ様……?」
どうして、キス?
これはただの契約結婚でしょう?
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