【完結】契約結婚。醜いと婚約破棄された私と仕事中毒上司の幸せな結婚生活。

千紫万紅

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28 二人で迎える朝

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 ゆったりと優しく頭を撫でられたような気持ちの良い感覚に、目を開ければ。

 アレクセイ様の穏やかな笑顔が目の前にあった。

「……アレクセイ様」

「あ、すまないブランシェ。起こすつもりはなかったんだが、起こしてしまったようだ」

「いえ、大丈夫です。そろそろ起きる時間だと思いますので……」

「そうか? だが昨夜は君に少し無理をさせてしまったな……加減はしたつもりなんだが」

「っ……だ、大丈夫です! アレクセイ様にはとっても優しくして頂けましたので、はい」

 私は初めてで他に経験はありませんがわかります、アレクセイ様はとても優しくしてくれたと。

 最初は唇を重ね合わせるだけの、とても穏やかな優しい口付けから始まって。

 だんだんと水音を寝室に響かせるような激しいものに、口付けは変わっていき。

 肌に触れたアレクセイ様の手が熱く気持ち良くて、私はもう何も考えられなくなって。

 アレクセイ様に身体を全て委ね、泣き縋って。

 アレクセイ様に甘えて、甘やかされてしまっていたような記憶がありまして。

 昨夜の情景を思い出すとやっぱりちょっと恥ずかしく、顔に熱が集中したように熱くなります。

「ならいいが、もし身体が痛むなら今日はゆっくり寝ていなさい」

「あ、大丈夫です! どこも痛む所はありませんし、私は元気いっぱいですよ」

 初めてなので多少は痛みましたが、でも夢のように素敵な初夜で。

 それに結婚式も私が思い描いていた通りのものをして頂けまして、今は幸せすぎて怖いくらいなので大丈夫です。

 ただアレクセイ様とお顔を合わせるのは、ちょっと気恥ずかしいですがそのうち慣れるでしょう。

「そうか、なら朝食にしようか」

「はい、あと……おはようございます」

「ああ、おはようブランシェ」



 それから数日。

 私達の結婚をお祝いする夜会までの間は、特に何事もなく平和に過ぎて行きました。

 いつもと変わらない日常的。

 でも今までと少し違う。

 それは私が魔法使いとして独り立ちした事により、仕事の内容が変わったということ。

 今まではアレクセイ様が何が必要か判断して、私は指示されるがまま仕事を行っていましたが。

 今は自分で何をどうするのか判断して動くという、とても責任のある立場になりまして。

 仕事量は少ないはずなのに以前より大変で。

 せっかく独り立ちしたにもかかわらず、アレクセイ様のお世話になる日々を送っています。

「アレクセイ様……すいません。この書類なんですが、たぶん間違ってると思うのですが」

「ん、どの書類かな? 貸して見なさい」

「この地域なんですが、魔物の間引き要請が却下されてしまっています。ですが間引きが必要だと思いまして」

「……ああ、ここは必要ない」

 ブランシェに書類を手渡されたアレクセイは、サッと読んで『必要ない』と答えた。

 だってその地域は。

「え、でも……」

「ここは君を平民だと侮辱したオクレール伯爵の領地だよ、だから要請を受ける必要ない」

「でも……この領地の隣の領地からも間引きの要請がきておりまして、このまま魔物を放っておくと大変な事になってしまいます!」

 もしこのまま放っておけば、魔物の暴走が起きてこの領地は壊滅してしまう。

 そうすれば多くの死傷者が出て大変な事になる。

「私達魔塔の魔法使いは、ボランティアで魔物の間引きをしているんじゃない。全ては利害で動いている。その領地の伯爵は魔塔の魔法使いを平民だからというつまらない理由で軽んじたんだ。だからそれなりの制裁が必要だと魔塔は判断した」
 
「でも領民さん達が……」

「領民を守るのは私達魔塔の役目ではないよブランシェ? それは領主の仕事で君も貴族になったんだ、優しくしてもいい相手と、そうじゃない相手をその目で見極めなさい。じゃないと本当に大事なものが守れなくなるよ」

「大事なもの……?」

「君にはまだその判断は難しいだろうが、今から慣れておきなさいブランシェ」

「……はい、アレクセイ様」

 そして波乱の夜会が、開かれる。

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