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14 攻略対象者1
しおりを挟む訓練された社畜は神殿でそこそこ充実した忙しい日々を過ごしていた。
社畜が神殿に送られてからまだ一週間だが、勝手に始めた残業もなかなかに様になってきて社畜の元令嬢スカーレットの仕事振りは神官や、礼拝にくる信者にもとても評判が良く転生前ほどでは全然ないがある程度は本人も満たされて、周りも喜びなかなか良い関係を築きあげ始めていた。
「スカーレットちゃん! ちょっと休んでいいんだよー?」
「はい、ここのお掃除が終わりましたら少し休憩させて頂きます、お気遣いありがとうございます。」
「スカーレットちゃんは真面目だよね? 本当に元侯爵令嬢なの?!」
「はい、一応、貴族の位を剥奪される前は……侯爵令嬢と呼ばれておりました。ですが私はもう皆さんと同じ女神シャダンに仕えるただの神官でごさいます、特別扱いは不要でございますよ!」
「こんなイイコの貴族の位剥奪して、こんな若い可愛い子を出家させて神殿に入れるなんてひでぇ奴らだよな、貴族ってさ。俺らは好きで神官なったけどよぉ。」
と、貴族の好感度がこの神殿ではスカーレットを追放したことにより底辺にまで下がっていた。
国教の神官達に嫌われる貴族……。
そんな所にノコノコとやってきてしまった貴族がいた。
そう、攻略対象者の一人だ。
礼拝堂で毎日行われる礼拝の時間。
そこに平民に混じって……混じりきれてないお貴族様がいました。
そう!攻略対象者様でございます。
さすが攻略対象者と言えるほどの容姿端麗、その方は確か宰相様の、公爵様の息子さん。
名前は忘れましたがなかなかに優秀とお聞きした事があるような!
ですが、私はもうただの出家した神官です。
お貴族様に関わる事などないよねー!
仕事が忙しいぜ……!
という、気分でその方の前をささっと通りすぎようとしましたら…
「スカーレット」
と、私の名前を呼ばれました。
「……はい?」
とりあえずお返事しますが……。
……じぃっと見られてます。
頭のてっぺんからつま先まで、じっくり。
これはセクハラというやつでは? と思いましたがブカブカの神官服では身体のラインすらわからないはずなので観察されてるなぁー。
自分達が貴族の位剥奪して神殿送りにした元令嬢観察して楽しいのかー? と、普通に疑問で私も逆に頭のてっぺんからつま先までじっくりと観察させて頂きましたが…
美男子ですね? くらいの感想しか出ませんでした。
「ここでの生活はどうだ?」
と、唐突に、ご質問されましたが。
これって、貴族の位剥奪して神殿送りにしてやったが、ねぇねぇいまどんな気持ち?
的な……やつでしょうか?
それとも単純に気になった?
どちらですかね?
応援ありがとうございます!
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