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23 攻略対象者2は勘違いを…
しおりを挟む王宮が、あの奇行を繰り返す元王太子の婚約者について騒がしい。
自分達も何の疑問も持たずにあの女の貴族位の剥奪に賛成した癖に、いまさらフローレンスの侯爵令嬢としての正統性について議論を始めるのか…確かに血統的には、スカーレットが侯爵令嬢としての正統性は揺るがないだろうが。
だがもうスカーレットの貴族としての地位は完全に失われた。
一度女神シャダンの神殿に入信すればもう俗世に還俗は出来ない。
あそこは厳格だからな。
いまさらスカーレットを担いだ所でどうにも出来ないのに。
正直あの自惚れた気分の悪い女…スカーレットを見なくて済むのは有難いので私も剥奪に賛成したが。
それに王太子サミュエルの側近の一人、公爵子息でライリーの様子がおかしい。
なぜか気になって後を着けたら女神シャダンのあの女が追放された、その神殿に毎日のように足しげく通っていた。
ライリーの後を着けて、神殿の礼拝堂に入る。
…なぜ平民用の礼拝堂に?
貴族用はもっと奥だろうと、ライリーの後ろの席に座り様子を観察していたら……あの女がいた。
元侯爵令嬢で王太子の元婚約者そしてフローレンスの義理の姉。
スカーレットが下級神官の薄くぼろぼろの衣纏い年頃なのに肩のあたりで、あの長かった金髪をざっくりと切られた頭で……。
いくら神官といえど、あの年齢であの髪型はまるで……罪人じゃないかと
それになんだ、あれは
神官服を着ていてもわかってしまう痩せ細り、触れたら折れてしまいそうなあの身体は……?
手は赤くぼろぼろで……。
それに、ライリーが話しかけてスカーレットは、あまり感情が動かないのか、表情の乏しい顔で、愛想笑いを作っていた。
そして、ライリーからスカーレットが離れてこちらを見た。
一瞬驚いたような表情をしたが、また表情の乏しい顔つきに、戻りまた仕事に戻っていく。
仕事に戻ったスカーレットを観察すると意外に真面目に働いていた。
いや……これは真面目すぎるというか……。
それから、俺も神殿の彼女の居る礼拝堂に毎日通うようになった。
ライリーがなにか言いたげな顔で見てくるが無視を決め込む。
どうしてか…スカーレットが気になったから自分達が未来を潰した女のことが何故か気になって、気になって。
どんな風に仕事をしているのか気になってまだ日も明けぬうちから、冷たいシンとした冷気が漂う神殿にいってしまう。
静まりかえる神殿は荘厳だ。
月明かりが、礼拝堂を照らす。
何故か礼拝堂が気になり、彼女がいつも働いている礼拝堂に近づくと
扉が窓が開け放たれて、そこには一人礼拝堂を清めるスカーレットがいた。
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