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51 社畜復活。

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 神殿長のスカーレットの体調管理により、体調、顔色、疲労の全てが完全回復した、訓練されたプロの社畜は、再び平民用の礼拝堂で働く許可を、神殿長から頂いた。

 断じて上司と、ちょっと気まずい空気に決して耐えられなくなったわけではないと社畜は自分自身に言い訳を繰り返す。

 平民用の礼拝堂は神殿の入り口近くにあって平民さんが気兼ねなく神殿に礼拝堂にやってこれるようにとの配慮らしい。

 久しぶりの自分の職場にやっと戻ってこれたと、胸が熱く、ぐっと胸に手をあて握りしめる。

 そして同僚の神官に挨拶を交わし、本日のお勤めが開始する。

 お貴族様用の神殿とは違い質素だが、それがいいとスカーレットは思っているし、それにセレブ相手より平民のご近所さん相手のほうが、社畜は素で居られるし、営業活動も久しぶりだったから楽しめたが……。

 毎日だと、営業時代を思い出して営業成績と上司の叱責と期待、様々なものが折り重なった逃げられぬ得たいの知れない重みを思い出して潰されそうになった。

 ……やっぱり営業は好きだけど向いてないなと、社畜は神官の皆と礼拝堂の窓を扉を開け放つ。

 やはり、労働というものは汗水垂らして肉体労働が自分には向いているなと、社畜は床をこれでもかと磨きあげた。


 最初は神殿にあまりいいイメージをもっていなくて逃げ出してやろうかなと、思ったこともあったがふたを開けてみれば、食事も美味しいし、個室もあるし、同僚の神官達は気安いし、最高の終の棲家だなと思っている。

 ここから、神殿から、出たいとも思わないし、終身雇用万歳だなって思っているし、なんかここ落ち着くんだよなーっと、誰も居なくなった礼拝堂の床に大の字でごろりと転がる。

 ……アシェルの、気持ちも嬉しいと言えば嬉しいけど、迷惑といえば迷惑だよなと……。

 私の現状を知っててその思わせ振りな態度をしてくるのは、ちょっと気にくわないし。

 それに胸が高鳴った自分にも少々簡単すぎない?と、思っていて。

 独身を、拗らせてしまった社畜はなかなかに難しい。

 社畜時代も結婚願望なんてなかったし、子どもはちょっと欲しいなっておもっていたけど……。

 神殿の孤児院の子ども達の相手で十分満足で。

 だから神殿から連れ出すとか、冤罪晴らすとか攻略対象者達に言われても全く心が動かなかった。

 わざわざそんな真相解明して貰わなくてもいいかなと、社畜は思っていた。

「はい、休憩おわりー!」

 どっこらしょと、十代が言うにはアレな言葉を吐き、スカーレットは再び社畜に戻る。

 お昼ごはん食べたら、孤児院にでも遊びにいくかと、多少は自重することも覚えたらしい社畜は再び立ち上がった。
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