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50 悪役令嬢
しおりを挟む恋人同士だった。
もうすぐ皆に祝福されて結婚するはずだったのに。
侯爵夫人モニカは、侯爵であり当時は子爵家の三男でしかなかったジェームズと将来を約束しあった仲のいい恋人同士だった。
モニカは平民だったけど、ジェームズが子爵家の三男だからジェームズが平民になり結婚する約束をしていた。
そしてジェームズには商才があった、沢山の金を人を動かした。国から男爵位を賜るほどに。
それだけ稼げれば平民として下っても生活に困らない、安心して結婚できる。
そろそろ結婚式の日取りをと……二人は相談する。
なのにそんな二人にまるで青天の霹靂のような、悲劇が待っていた。
子爵家が飢饉に見舞われて財政難に陥った侯爵家の財政難を救うために資金援助をすることになったのだ。
その為に侯爵家が差し出せるのは侯爵家の爵位と血統のみ、そして子爵家に未婚の男子はジェームズしか残っていなかった。
だから子爵家としては良くできた金回りのいい三男をただの平民と結婚させるより、侯爵令嬢の婿としてジェームズを送り建国から存在する由緒正しい侯爵家と縁続きになることを、金の力で侯爵の爵位を買う事を望んだ。
最初はジェームズもその政略結婚に断固拒否の姿勢を示していたが、子爵には逆らえず、それに飢饉に苦しむ侯爵領を見てしまいこれは早急に資金援助が必要だと、このままにしていたら多くの命が失われるとして、政略結婚に同意してしまう。
それで、ジェームズとの結婚が流れてしまったモニカは、ジェームズを恨むのではなく、当時侯爵令嬢だったスカーレットの母に並々ならぬ恨みを怒りを募らせた。
そして、愛人でもいいからと、ジェームズにモニカは泣きついて関係が続いてしまい、フローレンスが産まれた。
そして、運命の悪戯なのか……モニカは見てしまう。
侯爵になったジェームズと、自分からジェームズを奪ったその女と赤子がそれは幸せそうに家族三人で笑いあっている姿を。
そこは、私の居場所になるはずだったのに。
自分は一人でジェームズの子を育てているのに、とても幸せそうなスカーレットの母が殺したいほどに憎くなった。
気づいた時には、スカーレットの母は床にひれ伏して、血まみれで死んでいた。
ジェームズはそれに一番に気づき…自分のせいでこうなったと、後悔しスカーレットの母の死を事故死に見せかけて隠匿してしまう。
平民が貴族を殺害などすれば処刑は免れない。
幼いフローレンスもモニカと一緒に連座させられてしまうと恐怖し必死になって隠した、それが間違いだとわかっていながら。
そしてその事を逆にジェームズの弱みとして握り、自分を侯爵夫人にするようにモニカはジェームズを脅す。
そしてモニカは侯爵夫人になったのだった。
そして
……悪役令嬢スカーレットの苦難が始まった。
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