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66 ヒロインは
しおりを挟むこの乙女ゲームのヒロインである、悪役令嬢スカーレットの、腹違いの妹である侯爵令嬢フローレンスは、やりきってやったぜ! と、喜びに満たされていた。
フローレンスは姉にかまって欲しくて、幼き頃よりスカーレットにちょっかいをかけ続けてきたが、どんなに頑張ってもスカーレットには関心を示しては貰えずに、ひねくれた。
そしてとうとう姉の婚約者を誘惑し、姉の婚約者である王太子サミュエルはフローレンスの甘い言葉に魔性のような対人スキルによって簡単に落ちた。
フローレンスは、姉に怒って欲しくて姉の婚約者を誘惑したが、王太子サミュエルなんて何とも思っていなかった。
ここまですれば、さすがの姉でも怒って自分に関心を示してくれるだろうと思っていたのに……なしのつぶて。
そしてあろうことか、フローレンス自身に嫌がらせ等を姉が行っていたという全く信じることができない濡れ衣で姉が王太子サミュエル達に断罪され、姉は神殿に送られた。
それに姉に関心をもって欲しくて、かまって欲しかっただけのフローレンスは、王太子達に激怒した。
私からお姉様を奪うなんて許せない、だからお前達の大事にしているものを奪ってやる。
そうして、フローレンスは悪意を持って王太子サミュエルと婚約し、めちゃくちゃにした。
王妃教育を嫌がりそれをサミュエルが庇うように仕向け、一目もはばからずイチャイチャと愛を囁き、社交活動もせず、一日中サミュエルと遊ぶ日々。
そして、それに側近達は嫌気がさした所で、追い討ちをかけるように、サミュエル以外の高位貴族の年頃の男性を誘惑しまくって、評判を落としてやった。
フローレンス自身の評判も落ちるが、貴族としての意識が低く、最悪平民になって働けばいいか、と自爆覚悟で、好き勝手やった結果。
王太子サミュエルからも、苦言を言われた為にそろそろか、と……別れを切り出すし、それに対してサミュエルは別れたくないとフローレンスにすがりつく。
その流れもフローレンスの思惑通りで。
議会からも婚約破棄させると採択され、その事で国王陛下からサミュエルにフローレンスと別れなければ廃嫡すると脅されるサミュエルは。
「ならば私を廃嫡すればいいでしょう、私の代わりがいるならば。もうこんな国の王太子などやっていられるか。」
と、王太子サミュエルは傷心し王太子を辞めたいと言い出し始めた。
それに対してフローレンスは、やっとここまで来た、と喜びに満たされていたが……。
なにかおかしいと気づく、お姉様の聖女説……?
それに最近、ライリーとアダムの様子がおかしい。
これは、少し調べてみる必要がありそうね? と、フローレンスは神殿に向かった。
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