91 / 99
91 宝の持ち腐れ
しおりを挟む謁見の間で運命の出会いをした。
公爵令嬢レオノーラと、侯爵令嬢フローレンス。
二人とも見目だけならば、とても可愛らしく男性の心を惹き付けてきっと離さないだろう。
……見目だけならば。
この二人内面はとてもよく似ており、大変に自己中心的で、大事にされて愛されて当たり前と本気で思っていて、とても自尊心が高く欲しいものは何がなんでも手に入れる。
手に入れる為ならば手段を選ばない。
そんな二人の違いといえば、欲しいモノの違いだろうか?
公爵令嬢レオノーラが今欲しいのは見目麗しい王子で、その愛が欲しいし、王妃の座も欲しい。
侯爵令嬢フローレンスはシスコン故に姉の関心が欲しい、できれば一緒に遊んで貰いたい。
きっとこれだけ目的が違えば仲違いなんて絶対にしないだろうが、公爵令嬢レオノーラが欲しい相手はフローレンスが愛して止まない姉の想い人で。
その事をまだフローレンスは知り得てはいないがそれはきっと時間の問題だろう。
フローレンスの人間観察力は異常だから。
そしてそれをきっと知り得てしまえば姉の為にフローレンスは公爵令嬢レオノーラを駆逐してしまうかもしれない。
だってそれはフローレンスだから。
国家転覆紛いの事までやってのけて、未だに何の罰も受けず好き勝手行動できるという優秀さだ。
そしてフローレンスは気づくスカーレットに対して不遜な目を向ける者を。
愛する姉にそんな視線を向ける者などフローレンスにとっては敵で。
そしてその敵の隣にいる見たこともない王子を、愛する姉スカーレットが少し辛そうに見つめた。
それをフローレンスは目撃し瞬時に理解する。
そしてこのヒロイン行動力が異常に早い。
瞬く間に今まで粉をかけてきた子息達にレオノーラの情報を聞き出して隣にいたアシェルについても、ついでとばかりに情報を収集する。
そして、アシェルとスカーレットの出会いを予想し今アシェルが何故そこにいるのかも、先程の二人の様子でなんとなく理解してしまう。
このヒロイン本当は優秀だった、そりゃそうだ、本来ならこの国の闇の部分とかも解明したりするのだから。
ただし、このヒロインにそれをやるつもりなど全くなくて宝の持ち腐れとはきっとこの事である。
そして、フローレンスは考える、これアシェルを奪ったら楽しそうだけど、今度それしたらお姉様口を聞いてくれなさそう……?
でも、お姉様に愛されてるなんて許せないし?
それに隣にいる女も私のお姉様にあんな下劣な視線を向けるなんて、絶対に許せない。
お姉様にかまってもらうには?
とりあえず! やれる事からしようかな!
と、結論付けてフローレンスは動きだす。
公爵令嬢を引きずり下ろす為に、手っ取り早く公爵家を潰そうと、今まで築き上げた交友関係を駆使し始めた。
応援ありがとうございます!
2
お気に入りに追加
4,172
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる