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15 残された手掛かり カシウス視点
しおりを挟む「はあぁっ……」
皇太子カシウスは深い溜め息を吐いて、黄金に輝く自身の髪をガシガシと掻いた。
直ぐに見つけられる。
そうカシウスは思っていた。
だが捜し始めてからもう1ヶ月が経とうとしているのに、捜索は難航していた。
公務の合間を縫って夜会に来なかった令嬢達に会いに行く日々に、カシウスは疲れきっていた。
精神的に。
令嬢の住む屋敷を訪問する度に令嬢の両親には熱烈歓迎をされて、令嬢本人には避けられて泣かれる。
そしてほとんど全ての令嬢に言われた。
『私には愛する婚約者がいるのでお許しください』
飢えた獣のような令嬢達にすり寄られるのも困ったものだが、怯え泣かれ懇願されるのも精神的に参る。
「もう諦めたどうだ、カシウス?」
「ライアス……」
「お前に気があるならきっと向こうから来ているはずだ、なのに彼女が逃げたってことは……」
「……それでも私にはあの子が必要なんだ」
そんな事は最初から、彼女が私の腕の中からいなくなった時からわかっている。
だけど彼女以外が自分の妃になるなんて、もう考えることが出来ない。
「そのご令嬢に婚約者とかがいてさ、もしその相手と好きあっていたらお前はどうするつもりなんだ? 無理矢理にでも引き裂くつもりか?」
「いや、その点については大丈夫だと思う。あの夜彼女は婚約者にさっき婚約破棄されたって言っていたし、大嫌いだと言っていたから……」
「おい、カシウス!? お前それ手掛かり……!」
「え? あ……」
カシウスはすっかり忘れてしまっていた。
あの夜、交わした会話の中に消えてしまった彼女に繋がる手掛かりが沢山あったはずなのに。
でもそれで確実に絞り込める、婚約の破棄など早々起こらないから。
だけど、そう簡単に事は進まない。
「ここ最近婚約破棄した令嬢がいない?」
「ああ、調べてみたが国に婚約破棄の申請はここ最近来ていなかった……一番新しいもので二年前、その令嬢は既に他の男と結婚しているな」
「そっか……」
「ま……まあ、ほら! 本人達は婚約破棄したいのに家の事情で今は婚約破棄を止められてる可能性も無きにしもあらずだし! カシウス元気だせよ! な!?」
明らかに落ち込んでしまった皇太子カシウスの背中をライアスは押して馬車に乗せ、今日会いに行く予定の令嬢の所に向かう。
「今日は……レニエ伯爵家か……」
「レニエ伯爵家って言うと、あのイレーヌ嬢の家か。へぇ……? 妹がいたのか」
「……とても気が進まないね?」
「まぁ……イレーヌ嬢の妹じゃ可能性はかなり低いしな? お前の予想じゃ下位貴族の令嬢だろ? 止めとく?」
「うん、ドレスがとても質素なものでサイズが合っていなかったし、宝飾品もネックレスくらいしか付けていなかったから。でも一応行くよ、先触れをもう伯爵家に出しているしね……?」
イレーヌ・レニエ。
見目は確かに美しいし優秀な令嬢だが、性格がキツく皇太子妃候補者と言われる令嬢達の中でもよく揉め事を起こしカシウスを疲れさせている。
そして実家の伯爵家は事業に成功し、余りある資産を有していると言われている。
イレーヌはいつも高級品だと一目みてわかるオーダーメイドのドレスや宝飾品を、身に付けていた。
そんなイレーヌの妹があんなサイズの合わないドレスや、小さな飾り石しか付いていない宝飾品を身に付けるわけがない。
もし彼女がイレーヌの妹だったとしたら、伯爵家で虐げられている事になってしまうから。
カシウスはなんの期待もせずに伯爵家に向かった。
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