その悪役令嬢の中身は社畜です。聖女と崇められておりますがその中身は社畜です。大事なことなので二度言いました。

千紫万紅

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2 菓子折り持って謝りにいってもいいですか?

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 自分が断罪されている最中に、目の前で婚約者と義妹がイチャイチャを始めた。
 不憫な姉こと、悪役令嬢スカーレットです。
 
 いや、別にいいんですけどね? 
 本当に。

 ロミオとジュリエット気取りで?
 悲劇の恋人に見せかけて?
 実際はただの痴話喧嘩してるだけでも――ぜんっぜん、私は気にしていません。
 
 年齢=恋人いない歴な私ですから。
 多少免疫はあります。
 ええ、ありますとも。
 
 ただですね、ここ……場所が問題なんですよ。
 王立学園の貴族子女が集まる、一生に一度の晴れ舞台。
 よりにもよって、ここはその卒業式の夜会会場なんですよ。

 しかもそのど真ん中という素晴らしい好立地。

 加えてパーティー開始の音楽が美しく流れ終わった直後に断罪劇が始まるという、類まれなる演出力。

 この演出を考えた監督は誰なんでしょうね? 
 ぜひ一度お会いしてお話がしたい。
 そして一発殴らせろ。

 しかも、相手は王太子殿下!
 とっても注目されちゃう存在!

 そして私はその婚約者で侯爵令嬢。
 ちなみに断罪している義妹も、一応侯爵家の令嬢ですのよ。
 凄いでしょう?
 
 つまりそんなそうそうたる面子で。
 堂々と痴話喧嘩(別名:断罪劇)を始めたんですね。

 しかも攻略対象と呼ばれている殿方たちまで、元気よく参戦されまして。
 いや、皆さんそんな大きな声量で糾弾しなくてもいいじゃないですか!?

 やめてください、ご近所迷惑です。

 というかそんな大声張り上げなくても、聞こえてますって。

 うわ、絶対鼓膜敗れる。

 ほんと、一般人枠の私には居たたまれない光景でして。
 もういっそのこと、周りの方々に「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」と今すぐ菓子折りでも持って謝って回りたい気分です。

 そして私の罪状はやってもいない妹の殺人未遂。
 嫉妬に狂った醜い姉が、可愛い妹を逆恨みして殺そうとした。
 ……だそうです。

 馬鹿な姉の嫉妬。
 可愛らしい妹へ逆恨みは、妹を殺害する計画にまで発展したと。

 ……違う。全然違うのに。
 そう叫んでも誰も聞いてくれないし、届かない。

 始まったら最後。
 逃げ場など用意はされておらず。

 あまりにも悪質とされ、私は貴族としての位を奪われ、神殿送りになりました。

 長い金の縦ロールは「贅沢だ」と切り落とされ。
 宝石のついた煌びやかなドレスは、質素なワンピースへ。
 
 持ちだせた荷物はカバンひとつだけ。
 もう俗世には戻れない。
 還俗は禁じられている。

 そして送られた神殿は別に地方にあるわけではなく、王都の一等地にある。
 孤児院や治療院も併設されていて数多くの神官達が俗世を離れ、神に祈りを捧げながら暮らす静かな場所だった。

 私は、最下層の神官見習いとしてそこに送られた。
 貴族でなくなった私は、一番下からやり直すしかない。

 貴族位をもっていればそこそこいい生活ができるし、出家という一生還俗できない入り方はしなくて済んだのだけど。
 攻略対象者達がどうしても私から貴族の位を奪いたいと騒ぎ立てて、こうなった。

 どうしてこんなにも皆に憎まれていたのか。
 私はただ、それが知りたかった。
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