ようこそ、むし屋へ2 ~麗しの碧ちゃん&むしコンシェルジュの卵編~

箕面四季

文字の大きさ
15 / 97
神明山の遊歩道

キャラ変!?

しおりを挟む
「くっはー。疲れたぁ。肩凝ったー」

 首をグルグル回しながら「つか、ザマス、ザマスって、昭和アニメの金持ちかよ。おまけに偏見まみれの学力至上主義だしさー。どういう人生送るとあんな風になるのか謎だぜ」と優太君が吐き捨てた。

(大家さんがいなくなったと思ったら、今度は優太君が変!)

「あのー、優太君。さっきとキャラが」
「ま、この家に来ると神明三家の貰いもんのお菓子が食べられるし? うちのマンションの周りより自然が多くて散策楽しいから遊びに来てっけどさー。ザマスさま、マジうぜぇ」
「ザマスさま……」

「話くどいんだよなー。クソつまんねー神明三家の悪口と身内自慢しかしねーし。ま、勉強するって言ってりゃ機嫌いいから扱いやすいんだけどさ。あ、ちなみに塾で散歩するっつー話、嘘だから」

「……いろいろついていけてないんだけど、そうなの?」
「うちの進学塾、5階建てビルの3階の1室にあるんだぜ。他は別のテナントが入ってるのに、生徒がゾロゾロ廊下とか階段歩き回ってたら苦情来るわ」
「確かに」

「塾の方針でーとか言っときゃ、ザマスさま『あら、そうザマスの』って簡単に信じるからな。にっこり笑って、オレのフィールドワークを送り出してくれるって寸法」

「……さすが弁護士の息子。弁が立つというか、ずる賢いというか……。てゆーか、優太君。さっきとキャラが全然違うけど……大丈夫なんだよね?」

(心の病気的なやつとか)

「ああこれ、世の中を上手く渡るコツだぜ。なんだかんだ言ってオレはまだ小学生で、ザマスさまはオレの祖母だろ? 祖母と孫の関係じゃ、実質、ザマスさまの方が決定権があるわけよ。そんでもって、どんなに嫌いでウマが合わなくても、子どもの間は頼らなきゃなんないことも多い。どうせ一緒にいなきゃなんないなら、反発して締め付けが厳しくなってしたいことができなくなるより、表面的にザマスさまの望む賢ーい孫を演じつつ、自分の欲望を通す方がお得っしょ」

「な、なるほど」
 にやり、と、つり目を細めて笑う優太君は、悪ガキだ。顔が悪ガキになっている。
 普通より頭がいい分、悪ガキ度高めかも。
 
 とりあえず、こっちの二重人格は故意だとわかって、ちょっと安心。
 だけど、大家さんのアレは……

「ねえ、優太君。大家さん、ちょっと変じゃない? 時々、ザマスが取れて、人が変わったみたいに優しくなるよね」
 透明な細い糸みたいなことは、とりあえず黙っておく。
「ああ」と、優太君は興味なさげに頷いた。

「最近、たまに、ああなるんだよな。ボケてきたのかねぇ」
「それ、ヤバいんじゃない? 病院で診てもらったほうがいいんじゃ」

「大丈夫っしょ。あの人、動悸がする気がするザマスとか、ちょっと風邪っぽい気がするザマスとか言って、毎日のように花岡医院に通ってるんだぜ。勤務医目当てにさ。毎日が健康診断なわけ」
「なら、大丈夫か……」

「それより心配なのは」
 優太君が難しそうな顔になる。

「?」
「なんでもねー。なあ、ほたるってさー、漢字どう書くの?」
「ひらがなだけど」

「なーんだ、虫の蛍じゃないんだ。じゃあ、苗字の、みやまは?」
「なーんだって、失礼な。深山は、深い山って書いて深山だよ」

「おっ、そっちはミヤマクワガタとかミヤマカラスアゲハの深山じゃん! いい苗字だな」
「まあねー。よくわかんないけど」

 激変した優太君は、よく喋る。
 おしゃべりなところは遺伝?
 椅子からぴょんっと飛び降りた優太君が、リビングの周りをウロウロし始めた。

「なんかねーかなぁ。そうだ! ほたるって将棋か、囲碁か、オセロできる? この家、それくらいしか遊ぶもんないんだよ」
「オセロならできるよ」
「よっしゃ。やろうぜ」
 優太君がテレビ台の引き出しから、年季の入ったオセロをずりずり引っ張り出してきた。

「いいけど、あたし強いよー」
 ふふん。と、ほたるは鼻を鳴らす。

 実はオセロは、ほたるが唯一得意なゲームだ。
 何を隠そう、あの賢い篤にだって勝ったことがある。
 小学校低学年の時に。

「ふうん。じゃあお手並み拝見といきますか」
 上から目線の優太君。
 まあ、小学生だし、広い心で肩を貸してやろう。

「負けて泣いても知らないぞー」
 ほたるは食べ終わったお皿をキッチンに片付け、テーブルにスペースを作った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「いっすん坊」てなんなんだ

こいちろう
児童書・童話
 ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。  自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・           

美少女仮面とその愉快な仲間たち(一般作)

ヒロイン小説研究所
児童書・童話
未来からやってきた高校生の白鳥希望は、変身して美少女仮面エスポワールとなり、3人の子ども達と事件を解決していく。未来からきて現代感覚が分からない望みにいたずらっ子の3人組が絡んで、ややコミカルな一面をもった年齢指定のない作品です。

神ちゃま

吉高雅己
絵本
☆神ちゃま☆は どんな願いも 叶えることができる 神の力を失っていた

四尾がつむぐえにし、そこかしこ

月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。 憧れのキラキラ王子さまが転校する。 女子たちの嘆きはひとしお。 彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。 だからとてどうこうする勇気もない。 うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。 家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。 まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。 ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、 三つのお仕事を手伝うことになったユイ。 達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。 もしかしたら、もしかしちゃうかも? そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。 結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。 いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、 はたしてユイは何を求め願うのか。 少女のちょっと不思議な冒険譚。 ここに開幕。

9日間

柏木みのり
児童書・童話
 サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。   (also @ なろう)

エリちゃんの翼

恋下うらら
児童書・童話
高校生女子、杉田エリ。周りの女子はたくさん背中に翼がはえた人がいるのに!! なぜ?私だけ翼がない❢ どうして…❢

たったひとつの願いごと

りおん雑貨店
絵本
銀河のはてで、世界を見守っている少年がおりました。 その少年が幸せにならないと、世界は冬のままでした。 少年たちのことが大好きないきものたちの、たったひとつの願いごと。 それは…

こわモテ男子と激あま婚!? 〜2人を繋ぐ1on1〜

おうぎまちこ(あきたこまち)
児童書・童話
 お母さんを失くし、ひとりぼっちになってしまったワケアリ女子高生の百合(ゆり)。  とある事情で百合が一緒に住むことになったのは、学校で一番人気、百合の推しに似ているんだけど偉そうで怖いイケメン・瀬戸先輩だった。  最初は怖くて仕方がなかったけれど、「好きなものは好きでいて良い」って言って励ましてくれたり、困った時には優しいし、「俺から離れるなよ」って、いつも一緒にいてくれる先輩から段々目が離せなくなっていって……。    先輩、毎日バスケをするくせに「バスケが嫌い」だっていうのは、どうして――?    推しによく似た こわモテ不良イケメン御曹司×真面目なワケアリ貧乏女子高生との、大豪邸で繰り広げられる溺愛同居生活開幕! ※じれじれ? ※ヒーローは第2話から登場。 ※5万字前後で完結予定。 ※1日1話更新。 ※noichigoさんに転載。 ※ブザービートからはじまる恋

処理中です...