ようこそ、むし屋へ2 ~麗しの碧ちゃん&むしコンシェルジュの卵編~

箕面四季

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二度目のチャイム

御簾の奥の高貴な人

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「どうする?」と、優太君が緊張気味に、ほたるを見た。

「どうしようもなにも、行くしかなくない?」
「……だよな」

 言いながらも、二人とも動けずにいると
「む~、じれったい」

 御簾の奥の高貴な人が、着物の内側から閉じた扇子のようなものを取りだして、くいくいと二度振った。

「うわっ」
「きゃっ」

 磁石の引力に引っ張られるように、ほたるたちの足が勝手に拝殿の方へ進んでいく。
「なにこれ!」

 驚いている間に、金ぴかのお賽銭箱が迫る。
 ぶつかったら絶対痛いやつ。
 てゆーか、痛いじゃすまされないやつ。

 でも、意思とは関係なく足は勝手に進み続けて……。

(ぶつかる!)
 思わずほたるが目を閉じた時、両足がびたん、と、止まった。

「わわわわわ」
 いきなり足が止まって、身体がつんのめる。

「ほたる!」
 その腕を、咄嗟に優太君が掴んで引っ張った。

「た、助かったぁ~! 優太君ありがとう」
「ダメほたる、運動音痴かよ」
「えへへ、面目ない」

 うほん、と、御簾の奥から大きな咳払いがした。
 ハッと、ほたるたちは黙り込む。

 もし神様なら、粗相のないようにしないとバチが当たるかも。

「ねえ、優太君。あの人、神様だと思う?」
 ほたるは気づかれないように、顎でちょっと御簾の先を指し示し、優太君に囁いた。

「うーん……あの服、よく見えないけどたぶん狩衣(かりぎぬ)だな。狩衣は神職の常装として使われてるから、普通に考えたら神主さん的な人だけど……でも、平安時代は貴族の普段着で、安倍晴明みたいな陰陽師も着てたんだよな。あんなことができるってことは、陰陽師かも」

「陰陽師……神様じゃなくて?」

「貴族よりも位の高い天皇は、狩衣を着なかったんだ。黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)っていう、赤みがかかった黄色に染められた布地の着物を着てたんだけど、あの御簾の隙間から見えてる着物の色は、水色か黄緑色だろ? てことは、黄櫨染御袍じゃない。日本の神様って天皇と等しいか、それ以上の地位のはずだから、神様ではないんじゃないかな」
「さすが優太君、相変わらず博識」

「オレ、ダメほたると違って賢いから」
「ダメほたると違って、が、余計よ」

 ひそひそ言葉を交わしながら、ほたるは御簾の奥の人をチラ見した。
 確かに、御簾の隙間から見える狩衣の色は、碧ちゃんのワンピースに似た水黄緑色で、赤みがかかった黄色ではない。

(てゆーか、あの狩衣、なんか見覚えがあるような)

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