40 / 97
二度目のチャイム
水黄緑の君、再び
しおりを挟む
「ほたるちゃんの頼みじゃしょーがないなー」
狩衣の人が御簾に手をかざす。
(今、あたしのことほたるちゃんって……)
するするする、と御簾が下から上へと巻きあがっていき、おもむろに現れた人物を見た瞬間、ほたるは「ああ!!」と思い出した!
「水黄緑の君~!!」
碧ちゃんのワンピと同じ鮮やかな水黄緑色の狩衣。袖口と袴の上には、金の糸で刺繍された楕円形の模様が輝き、白いモフモフっとした巨大扇子を持っている。
左右で太さが異なる山吹色のカチューシャで前髪を全上げした、色白で黒目の大きな、甘い、甘い、とろけるようなハニー顔イケメン。
忘れもしない、いや、ついさっきまで、すっかり忘れていた、大学の校舎で見た白昼夢のイケメンだった。
「てゆーか、なんであたしの幻想がこんなところに」
「あっはっはー。水黄緑の君って僕のこと? いい名前だねー」
ん? この笑い方、すっごく聞き覚えがある。
「本当は御簾にずっと隠れてるつもりだったんだけどさー、ほたるちゃん見てたら、我慢できずに出てきちゃったよー」
「なんであたしの名前を」
知ってるんですか? と聞こうとしたら「なーんだ」と優太君がつまらなそうに両手を頭の後ろに組んだ。
「オレ、顔がオオゴマダラのオオゴマダラ人間が出てくるかと思ったのに」
「むむ。やっぱり人間の子どもってきらーい。てゆーかぁ、僕のほたるちゃんに馴れ馴れしいんだよねー、さっきからさー」
「僕のほたるちゃんってなんだよ。ダメほたる、この人と知り合いなわけ? 付き合ってるわけ?」
「と、とんでもない!! 知り合いっていうか、大学のホールでちょこっと見かけたような、見かけてないような」
「つまり、ほぼ他人じゃん」
「ちがーう! ああ~、もう。謎めいたイケメンで誘惑するつもりが台無しー」
頬を膨らました水黄緑の君が、真っ白い羽扇をぶわわんと振った。
ひゅるんと、竜巻が水黄緑の君を包み込んでいき……。
「ほんっと、人間の子供って生意気なんだからぁ」
風が止んで、現れたのは。
「あ、碧ちゃん?」
わけがわからずに、目をぱちくりさせる隣で、優太君が「やっぱりなー」と、したり顔でにやっと笑ったのだった。
狩衣の人が御簾に手をかざす。
(今、あたしのことほたるちゃんって……)
するするする、と御簾が下から上へと巻きあがっていき、おもむろに現れた人物を見た瞬間、ほたるは「ああ!!」と思い出した!
「水黄緑の君~!!」
碧ちゃんのワンピと同じ鮮やかな水黄緑色の狩衣。袖口と袴の上には、金の糸で刺繍された楕円形の模様が輝き、白いモフモフっとした巨大扇子を持っている。
左右で太さが異なる山吹色のカチューシャで前髪を全上げした、色白で黒目の大きな、甘い、甘い、とろけるようなハニー顔イケメン。
忘れもしない、いや、ついさっきまで、すっかり忘れていた、大学の校舎で見た白昼夢のイケメンだった。
「てゆーか、なんであたしの幻想がこんなところに」
「あっはっはー。水黄緑の君って僕のこと? いい名前だねー」
ん? この笑い方、すっごく聞き覚えがある。
「本当は御簾にずっと隠れてるつもりだったんだけどさー、ほたるちゃん見てたら、我慢できずに出てきちゃったよー」
「なんであたしの名前を」
知ってるんですか? と聞こうとしたら「なーんだ」と優太君がつまらなそうに両手を頭の後ろに組んだ。
「オレ、顔がオオゴマダラのオオゴマダラ人間が出てくるかと思ったのに」
「むむ。やっぱり人間の子どもってきらーい。てゆーかぁ、僕のほたるちゃんに馴れ馴れしいんだよねー、さっきからさー」
「僕のほたるちゃんってなんだよ。ダメほたる、この人と知り合いなわけ? 付き合ってるわけ?」
「と、とんでもない!! 知り合いっていうか、大学のホールでちょこっと見かけたような、見かけてないような」
「つまり、ほぼ他人じゃん」
「ちがーう! ああ~、もう。謎めいたイケメンで誘惑するつもりが台無しー」
頬を膨らました水黄緑の君が、真っ白い羽扇をぶわわんと振った。
ひゅるんと、竜巻が水黄緑の君を包み込んでいき……。
「ほんっと、人間の子供って生意気なんだからぁ」
風が止んで、現れたのは。
「あ、碧ちゃん?」
わけがわからずに、目をぱちくりさせる隣で、優太君が「やっぱりなー」と、したり顔でにやっと笑ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
美少女仮面とその愉快な仲間たち(一般作)
ヒロイン小説研究所
児童書・童話
未来からやってきた高校生の白鳥希望は、変身して美少女仮面エスポワールとなり、3人の子ども達と事件を解決していく。未来からきて現代感覚が分からない望みにいたずらっ子の3人組が絡んで、ややコミカルな一面をもった年齢指定のない作品です。
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
9日間
柏木みのり
児童書・童話
サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。
(also @ なろう)
たったひとつの願いごと
りおん雑貨店
絵本
銀河のはてで、世界を見守っている少年がおりました。
その少年が幸せにならないと、世界は冬のままでした。
少年たちのことが大好きないきものたちの、たったひとつの願いごと。
それは…
こわモテ男子と激あま婚!? 〜2人を繋ぐ1on1〜
おうぎまちこ(あきたこまち)
児童書・童話
お母さんを失くし、ひとりぼっちになってしまったワケアリ女子高生の百合(ゆり)。
とある事情で百合が一緒に住むことになったのは、学校で一番人気、百合の推しに似ているんだけど偉そうで怖いイケメン・瀬戸先輩だった。
最初は怖くて仕方がなかったけれど、「好きなものは好きでいて良い」って言って励ましてくれたり、困った時には優しいし、「俺から離れるなよ」って、いつも一緒にいてくれる先輩から段々目が離せなくなっていって……。
先輩、毎日バスケをするくせに「バスケが嫌い」だっていうのは、どうして――?
推しによく似た こわモテ不良イケメン御曹司×真面目なワケアリ貧乏女子高生との、大豪邸で繰り広げられる溺愛同居生活開幕!
※じれじれ?
※ヒーローは第2話から登場。
※5万字前後で完結予定。
※1日1話更新。
※noichigoさんに転載。
※ブザービートからはじまる恋
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる