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夜のむし屋
かりんとうの正体
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「うっめー! これ、やめらんねーし、止まんねー」
いつの間にか、年輪テーブルにちゃっかり座って、優太君がポリポリかりんとうをつまんでいた。
「おや、少年。イケる口だねぇ」
「あ、佐世保優太って言います。ほんと、これ、めちゃくちゃうまいです!」
「佐世保……ああ、神明山の。嬉しいねぇ。どんどんお食べ」
「ありがとうございます!」
手づかみで、口いっぱいに極細かりんとうを頬張り、幸せそうな顔の優太君。
しゅ、しゅ、しゅ、しゅ。
「ん?」
変な音と一緒に、白磁のお皿が点滅しているように見える。
なんだろうと思ったら、ひまわり色のダサ虫Tシャツを着た向尸井さんが、超高速で黙々とかりんとうを口に入れていた。
韓国料理のお店で出てくるお箸に似た金属ピンセットで、極細かりんとうを一本摘まみ、口に入れたと思ったら、もう、次の極細かりんとうをつまんでいる。
目にもとまらぬ速さ。
しゅ、しゅ、しゅという音は、向尸井さんが音速で腕を伸縮させている音だった。
そうして、白磁の上のかりんとうの山がみるみるしぼんでいく。
(ぼうっとしてたら、なくなっちゃう!)
せめて数本、やっぱり口いっぱいに食べたい!
「あたしも!」
負けていられないと、ほたるは白磁のお皿に手を伸ばし、手のひらで掴めるだけかりんとうを掴む。
「げぇ~、ほたるちゃん、本当に食べるつもり~?」
「碧ちゃんも食べてみなよ。絶対美味しいやつだよ」
「僕は、むり~」
離れた場所で、碧ちゃんが思いっきり顔をしかめている。
もしかしたら、碧ちゃんは、かりんとうがどうこうじゃなくて、アキアカネさんの手料理が気に入らないのかも。
でも、食べ物に罪はない!
「そんなこと言わずに、一本だけ。ほら、すっごく美味しそ……」
碧ちゃんにあげるため、極細かりんとうを一本つまみあげたほたるは「ん?」と、それを自分の目の前に掲げた。
細いかりんとうには、節のような模様が均等に刻まれている。左端は三角に尖り、右端はずんぐり丸くて……下の方には、なんだか……脚、のようなものがびっしり生えている、気がする。
ま、まさかこれって。
「アキアカネさん。なんか、このかりんとう、普通のかりんとうと違って、独特の模様があるというか……虫の足、みたいなものが生えているように見えるんですけど」
アキアカネさんがにっこり笑った。
「それはそうさ。イモムシかりんとうだからね。正確にはミールワームっていうゴミムシダマシ科の甲虫の幼虫のかりんとうさ。サックサクの食感に、蜻蛉も病みつきだったんだ」
いつの間にか、年輪テーブルにちゃっかり座って、優太君がポリポリかりんとうをつまんでいた。
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「佐世保……ああ、神明山の。嬉しいねぇ。どんどんお食べ」
「ありがとうございます!」
手づかみで、口いっぱいに極細かりんとうを頬張り、幸せそうな顔の優太君。
しゅ、しゅ、しゅ、しゅ。
「ん?」
変な音と一緒に、白磁のお皿が点滅しているように見える。
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韓国料理のお店で出てくるお箸に似た金属ピンセットで、極細かりんとうを一本摘まみ、口に入れたと思ったら、もう、次の極細かりんとうをつまんでいる。
目にもとまらぬ速さ。
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そうして、白磁の上のかりんとうの山がみるみるしぼんでいく。
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せめて数本、やっぱり口いっぱいに食べたい!
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負けていられないと、ほたるは白磁のお皿に手を伸ばし、手のひらで掴めるだけかりんとうを掴む。
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