思母曲

鶏林書笈

文字の大きさ
上 下
2 / 2

金正淑編

しおりを挟む
1917年、彼女は朝鮮・咸鏡南道会寧で生まれました。当時の多くの朝鮮の庶民同様、彼女の家も貧しく、生活のため満州に移住しました。
新天地に来て見たものの苦しい生活は変わりませんでした。こうした中、彼女が12歳の時、父親が亡くなりました。家計はますます困難になります。
その頃、満州には幾つかの抗日組織がありました。彼女は、その中の一つである社会主義系の少年先鋒隊に入りました。14歳の時のことでした。1年後には朝鮮共産主義青年同盟に加盟します。この頃、彼女は母親も亡くしましたので本格的に革命運動をしようと思ったのかも知れません。
三年後、彼女は遂に朝鮮革命軍に入隊し、金成柱将軍の直属部隊に配属されました。ここから彼女の運命が大きく動き始めます。
1941年彼女は金将軍と結婚しました。将軍の周囲には親しい女性戦士が大勢いましたがに正妻の座についたのは彼女でした。翌年、彼女は第一子を生みます。当時、彼女たちはソ連領に居たので、子供には正日という名の他にユーラというロシア名も付けました。続いてシューラという次男も得ましたが、この子は幼いうちに事故死してしまいます。
シューラ誕生の翌年すなわち1945年、朝鮮は日本の統治から解放され、満州やソ連その他国外にいた抗日戦士が続々と祖国に戻って来ました。彼女も金日成と名乗る夫とは別に1947年に帰国しましたが、間も無く世を去りました‥‥。

異母兄弟その他多くのライバルを押しのけて彼は父に次ぐナンバー2の地位を手に入れました。彼は、この国の実権を握れるようになったのです。彼はそれを利用して念願の一つを叶えました。
生母•金貞淑をこの国最高の女性に祭り上げたのです。射撃の上手い女性戦士に過ぎなかった彼女を抗日の女性英雄にし、名前も貞淑から正淑に変え、白頭山の女将軍、朝鮮の国母等、様々な称号も贈りました。
若くして世を去った一女性戦士は、金正日という息子のお陰で北朝鮮を代表する女性となり、銅像も立てられました。しかし、このことは、彼女にとって良いことなのでしょうか? 北朝鮮の体制が変わった時、彼女はどうなるのでしょうか? 既に冥界の住人になった彼女にとっては、もはや関係者無いことかもしれませんが。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

dragon49
2017.07.30 dragon49

朝鮮半島の風景や登場人物の会話文が有れば、もっと面白いです。

解除
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

離縁するので構いません

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:39,807pt お気に入り:470

田舎で師匠にボコされ続けた結果、気づいたら世界最強になっていました

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:617pt お気に入り:581

清朝の姫君:『川島芳子』は、ハッピーエンドです

歴史・時代 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:13

あなたならどう生きますか?両想いを確認した直後の「余命半年」宣告

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:994pt お気に入り:37

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。