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森の魔女が生きた理由(日常編)
第2話 花と墓地
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魔女は森の中に小さな家を持っていた。
クリロの住んでいた小屋よりは立派だが、古い石造りのそれは、一人で近寄る者はいないだろうと言える外観をしている。
家の裏手には墓地があった。
おそらく魔女が作ったのだろう、墓標に見立てられた岩と、盛り上がった土だけの簡素なものだ。
家に入る前に、魔女は引き摺って来た兵士を埋めると言う。
クリロは驚いたが、理由は聞かずに手伝うことにした。
埋めた後に祈りこそしなかったが、魔女の埋葬は予想外に丁寧なものだった。
兵士を憎んでいたクリロには、とても不思議な事だった。
その兵士は、森に植えた『赤石草』を採りに来たらしい。
『赤石草』は、育てば宝石のように硬く美しくなる珍しい草だ。
周りの土から貪欲に栄養を吸い上げ成長するが、その硬度と美しさの対価として、栄養を吸われた後の土は灰になってしまう。
価値がつくまで成長させる頃には、一帯を他の草木が生えない、文字通り石と、灰のみの世界へと変えてしまうのだ。
このことから『赤石草』は個人での栽培が禁止されているが、裏のルートでは未だに高い値段で取引されることをクリロも知っていた。
どうやら兵士は、人が近寄らない森の一角で赤石草の密栽培をしていたようだ。
「こいつは、取り返しのつかない事をしたんだ」
魔女はそう言うと、墓標の前に『赤石草』を置いた。
「あの世までは持って行けないのに……でも、この世には残る。荒れた土地も、この哀しい花も……」
おそらくこれは、クリロに向けて言った言葉ではなかったのだろう。
クリロは偶然その呟きに気付いたが、何も言わなかった。
魔女は誰に聞かせるでもなく、自分自身に語りかけるように小さく呟いた。
そして小さく溜め息をついてから、スコップを降り下ろし『赤石草』を砕いた。
クリロは、不思議と勿体無いとは思わなかった。
ただ、魔女が街の人間とは違うと改めて感じていた。
魔女はクリロに道具を片付けさせると、暖かい家に招き入れた。
クリロの住んでいた小屋よりは立派だが、古い石造りのそれは、一人で近寄る者はいないだろうと言える外観をしている。
家の裏手には墓地があった。
おそらく魔女が作ったのだろう、墓標に見立てられた岩と、盛り上がった土だけの簡素なものだ。
家に入る前に、魔女は引き摺って来た兵士を埋めると言う。
クリロは驚いたが、理由は聞かずに手伝うことにした。
埋めた後に祈りこそしなかったが、魔女の埋葬は予想外に丁寧なものだった。
兵士を憎んでいたクリロには、とても不思議な事だった。
その兵士は、森に植えた『赤石草』を採りに来たらしい。
『赤石草』は、育てば宝石のように硬く美しくなる珍しい草だ。
周りの土から貪欲に栄養を吸い上げ成長するが、その硬度と美しさの対価として、栄養を吸われた後の土は灰になってしまう。
価値がつくまで成長させる頃には、一帯を他の草木が生えない、文字通り石と、灰のみの世界へと変えてしまうのだ。
このことから『赤石草』は個人での栽培が禁止されているが、裏のルートでは未だに高い値段で取引されることをクリロも知っていた。
どうやら兵士は、人が近寄らない森の一角で赤石草の密栽培をしていたようだ。
「こいつは、取り返しのつかない事をしたんだ」
魔女はそう言うと、墓標の前に『赤石草』を置いた。
「あの世までは持って行けないのに……でも、この世には残る。荒れた土地も、この哀しい花も……」
おそらくこれは、クリロに向けて言った言葉ではなかったのだろう。
クリロは偶然その呟きに気付いたが、何も言わなかった。
魔女は誰に聞かせるでもなく、自分自身に語りかけるように小さく呟いた。
そして小さく溜め息をついてから、スコップを降り下ろし『赤石草』を砕いた。
クリロは、不思議と勿体無いとは思わなかった。
ただ、魔女が街の人間とは違うと改めて感じていた。
魔女はクリロに道具を片付けさせると、暖かい家に招き入れた。
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