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特別編(時系列順不同)
2.イフ黒川と樋脇が黒幕同士じゃ無ければ(パロ)※
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暮れ泥む頃、教室には誰もいなく、当直で黒板を消している黒川の手伝いをしていた樋脇が、「黒川くん、制服まで真っ白になってるよ」と微笑んだ。
「あー、まあ、良いだろ」
「そう? 意外と気にならないんだね」
「お前は気にすんのか」
「うーん、どうかなあ。よく、分からない」
黒板消しを置き、樋脇は教卓の黒板側にある引き出しから、当直日誌を取り出す。
「これもまだ書いてないの?」
「ああ」
「もー、駄目じゃない」
そう言って、ぺらりと頁を捲っていると、黒川が後ろから抱き締めてきて、樋脇はちらりと肩口から覗く黒川の頭を見やる。寝癖なのか珍しくも少し跳ねた髪を撫でつけてやれば、そのまま黒川の手が制服のズボンへと回り込み、きゅ、と下半身を抑えつけられる。
「く、黒川くん……」
頬に朱が集まる。
「良いだろ?」
柔らかく揉まれて腰が跳ねる。
「俺は……ここで、なんて」
樋脇は自分を偽るのを辞めた。ひとから嫌われるのを恐れる樋脇は、『僕』という一人称を使って、優しい態度を見せる。実際、そこまで優しい性格でもなく、はっきりと物を言うタイプだ。
「良いだろ?」
「駄目だろ。だって、一昨日自殺者が出てるし、先月は逮捕されたクラスメイトもいたでしょ」
「俺たちと関係があんのかよ」
「無いけど……でも、沢村さんは」
そう言って、目を伏せる。自殺した沢村は、樋脇の知り合いだった。思わず腹を押さえ、樋脇は俯く。
「俺はお前にそんな顔をさせる女が死んで、嬉しいけどな」
「なっ、黒川って、本当にそういうところが最低なんだっ」
黒川へと顔を向けると、そのままの勢いで口づけられる。
「んんっ!? ン、う~~~~ぁ、も、いいからっ」
慌てて身を捩り、胸板を片手で押しやると、黒川も本気ではないようで簡単に離れていった。
樋脇は呼吸を整えながら、日誌の頁を開いたまま、それを覗き込む形で両肘をついた。空白ばっかしで、これは骨の折れる作業だ。いっそのこと、記入するのは一行だけで良くないか? との念も擡げる。
「黒川って、俺しか興味ないの?」
「割と他はどうでも」
「そう……何で、俺なんか」
「昨日何度も言ってやったのに、まだ同じことを聞くのか?」
無防備にも黒川へと尻を向ける樋脇の学生服を、下着と共に少しだけ脱がし、白い双丘がちらりと覗く。
「――――ちょ、何を……っ、あ……っ!」
驚く間もなく、指を一本挿入される。
「やっぱまだ緩いな」
「そ、りゃ、昨日散々……っ。今日の授業きつかったんだからなっ。お前、終いには入れっぱなしで寝てやがって、う、うあっ」
くちくち、と軽く指を動かすだけで、樋脇は教卓にしがみついた。
「あ、あ……だめだって、ぁ」
「それでも二本は入んなそうだな」
「こんなところで御免だ……っ」
樋脇が睨みつけようと振り返る直前で、足音が聞こえてきた。この反響音は階段だろうか。
すると、がらりと教室の戸が開いて、女生徒が二人、入ってきた。
「あれ。あんたら、まだ居たの?」
樋脇は息を詰め、きゅ、と拳を握る。その姿を眺めながら、黒川は「ああ」と返す。
「そっか、黒川って当直だったもんね。明日はあんたじゃん」
「やだ~~」
「樋脇は、その手伝い?」
女生徒に問われ、
「う、うん。そ、うだよ」
樋脇はにっこりと頷いた。その途中で指を動かされ、ぴくりと身体が震えるも、普段の笑顔を貼り付けて何でもない風を装う。
指を少し曲げ、揺らすようにして刺激してやれば、きゅうきゅうと締め付けてくるが、樋脇は涼し気な表情で「忘れ物?」と訊く。
「そう。この莫迦が明日の課題のプリントを忘れたとかさ。もう面倒なんだから」
「ひっどいよね~~でも、ここまでついてきてくれたから文句なんて言えないし~~」
「そ、そうなんだ」
余裕を剥ぎ取ろうと、指の動きを早め、かりかりと壁を刺激しては、根元まで沈めて抜き差す。両足を震わせて、樋脇が辛そうに腰をもぞもぞとさせる。
絶え間なく弄られ、樋脇は言葉すら跳ねそうになったが、女生徒二人は樋脇に引かれたのだと勘違いしてくれて、
「莫迦な話しちゃってごめんね~~」
と、手をひらひらと振った。
「そんなことないよ。仲が良くて、良いね」
「樋脇くんも黒川くんと仲良しじゃん~~」
「そう?」
「だって、黒川くんって誰とも仲良くしないし」
「そ。孤高の一匹狼ってカンジ~~」
「あ、それ分かるかも!」
樋脇も二人に賛同するので、思わず強めに壁を引っ掻いてしまった。
「――――」
息を呑み、声を必死に我慢する樋脇に、二人はきゃらきゃらと会話してて気づかない。
「く、ぅ……ろ、かわくん」
小さな声で黒川を呼びかけ、困ったような笑みで見上げる。
今度は黒川が息を呑む番だった。黒川にしか見せない樋脇も気が強くて好みだが、普段の柔らかくふんわりとした樋脇も可愛い。今すぐにでも襲いたい気持ちを抑え、指を抜き取って、軽く樋脇のズボンを直し、その手から日誌を奪い取った。
胸ポケットからボールペンを取り出し、一言。
『特に可否もなく普通の日』
それだけ大きく書いてから、「俺たち、帰るわ」と二人に告げ、黒川は樋脇の手を取った。
「え、ちょっと待って」
よたよたと引き摺られ、樋脇も教室から出て行く。
そんな二人の背を眺め、女生徒らは目をぱちくりとさせて、「黒川って謎だよな」「ひとり占めしたいんじゃない~~?」と呟き合った。
「あー、まあ、良いだろ」
「そう? 意外と気にならないんだね」
「お前は気にすんのか」
「うーん、どうかなあ。よく、分からない」
黒板消しを置き、樋脇は教卓の黒板側にある引き出しから、当直日誌を取り出す。
「これもまだ書いてないの?」
「ああ」
「もー、駄目じゃない」
そう言って、ぺらりと頁を捲っていると、黒川が後ろから抱き締めてきて、樋脇はちらりと肩口から覗く黒川の頭を見やる。寝癖なのか珍しくも少し跳ねた髪を撫でつけてやれば、そのまま黒川の手が制服のズボンへと回り込み、きゅ、と下半身を抑えつけられる。
「く、黒川くん……」
頬に朱が集まる。
「良いだろ?」
柔らかく揉まれて腰が跳ねる。
「俺は……ここで、なんて」
樋脇は自分を偽るのを辞めた。ひとから嫌われるのを恐れる樋脇は、『僕』という一人称を使って、優しい態度を見せる。実際、そこまで優しい性格でもなく、はっきりと物を言うタイプだ。
「良いだろ?」
「駄目だろ。だって、一昨日自殺者が出てるし、先月は逮捕されたクラスメイトもいたでしょ」
「俺たちと関係があんのかよ」
「無いけど……でも、沢村さんは」
そう言って、目を伏せる。自殺した沢村は、樋脇の知り合いだった。思わず腹を押さえ、樋脇は俯く。
「俺はお前にそんな顔をさせる女が死んで、嬉しいけどな」
「なっ、黒川って、本当にそういうところが最低なんだっ」
黒川へと顔を向けると、そのままの勢いで口づけられる。
「んんっ!? ン、う~~~~ぁ、も、いいからっ」
慌てて身を捩り、胸板を片手で押しやると、黒川も本気ではないようで簡単に離れていった。
樋脇は呼吸を整えながら、日誌の頁を開いたまま、それを覗き込む形で両肘をついた。空白ばっかしで、これは骨の折れる作業だ。いっそのこと、記入するのは一行だけで良くないか? との念も擡げる。
「黒川って、俺しか興味ないの?」
「割と他はどうでも」
「そう……何で、俺なんか」
「昨日何度も言ってやったのに、まだ同じことを聞くのか?」
無防備にも黒川へと尻を向ける樋脇の学生服を、下着と共に少しだけ脱がし、白い双丘がちらりと覗く。
「――――ちょ、何を……っ、あ……っ!」
驚く間もなく、指を一本挿入される。
「やっぱまだ緩いな」
「そ、りゃ、昨日散々……っ。今日の授業きつかったんだからなっ。お前、終いには入れっぱなしで寝てやがって、う、うあっ」
くちくち、と軽く指を動かすだけで、樋脇は教卓にしがみついた。
「あ、あ……だめだって、ぁ」
「それでも二本は入んなそうだな」
「こんなところで御免だ……っ」
樋脇が睨みつけようと振り返る直前で、足音が聞こえてきた。この反響音は階段だろうか。
すると、がらりと教室の戸が開いて、女生徒が二人、入ってきた。
「あれ。あんたら、まだ居たの?」
樋脇は息を詰め、きゅ、と拳を握る。その姿を眺めながら、黒川は「ああ」と返す。
「そっか、黒川って当直だったもんね。明日はあんたじゃん」
「やだ~~」
「樋脇は、その手伝い?」
女生徒に問われ、
「う、うん。そ、うだよ」
樋脇はにっこりと頷いた。その途中で指を動かされ、ぴくりと身体が震えるも、普段の笑顔を貼り付けて何でもない風を装う。
指を少し曲げ、揺らすようにして刺激してやれば、きゅうきゅうと締め付けてくるが、樋脇は涼し気な表情で「忘れ物?」と訊く。
「そう。この莫迦が明日の課題のプリントを忘れたとかさ。もう面倒なんだから」
「ひっどいよね~~でも、ここまでついてきてくれたから文句なんて言えないし~~」
「そ、そうなんだ」
余裕を剥ぎ取ろうと、指の動きを早め、かりかりと壁を刺激しては、根元まで沈めて抜き差す。両足を震わせて、樋脇が辛そうに腰をもぞもぞとさせる。
絶え間なく弄られ、樋脇は言葉すら跳ねそうになったが、女生徒二人は樋脇に引かれたのだと勘違いしてくれて、
「莫迦な話しちゃってごめんね~~」
と、手をひらひらと振った。
「そんなことないよ。仲が良くて、良いね」
「樋脇くんも黒川くんと仲良しじゃん~~」
「そう?」
「だって、黒川くんって誰とも仲良くしないし」
「そ。孤高の一匹狼ってカンジ~~」
「あ、それ分かるかも!」
樋脇も二人に賛同するので、思わず強めに壁を引っ掻いてしまった。
「――――」
息を呑み、声を必死に我慢する樋脇に、二人はきゃらきゃらと会話してて気づかない。
「く、ぅ……ろ、かわくん」
小さな声で黒川を呼びかけ、困ったような笑みで見上げる。
今度は黒川が息を呑む番だった。黒川にしか見せない樋脇も気が強くて好みだが、普段の柔らかくふんわりとした樋脇も可愛い。今すぐにでも襲いたい気持ちを抑え、指を抜き取って、軽く樋脇のズボンを直し、その手から日誌を奪い取った。
胸ポケットからボールペンを取り出し、一言。
『特に可否もなく普通の日』
それだけ大きく書いてから、「俺たち、帰るわ」と二人に告げ、黒川は樋脇の手を取った。
「え、ちょっと待って」
よたよたと引き摺られ、樋脇も教室から出て行く。
そんな二人の背を眺め、女生徒らは目をぱちくりとさせて、「黒川って謎だよな」「ひとり占めしたいんじゃない~~?」と呟き合った。
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