審判を覆し怪異を絶つ

ゆめめの枕

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第二章 わたし、めりーさん

爆発する不安

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「いや、月島くんなら反撃できるのは分かってたつもりだけどさ。メリーさんを見つけることが出来なかったら、私たちはみんな死ぬのよね。でも月島くんだけ例外って、あり得る話なの?」
「月島の特性から鑑みるとな……お前、メリーからのメッセージは届いたのか?」

 月島を一瞥すると、「いや。オレのところには一度も来てないな」と首を振った。

「え? でもあの時、月島くんが私にメールを見るように言ってきたじゃない」
「オレは千堂の携帯を見たんだ」
「千堂くんの……」
「お前にはメールが届いていないんだな?」
「ああ、そうさ。オレはお前たちのクラスメイトなのになあ。まさかの仲間外れって訳だな」

 沢村が唇を尖らせ、「月島くんだけずるいわね」と呟く。

「もしお前まで標的だったら、メリーは大した悪食だと思った」
「それは確かに。狙ったら逆に捕食されそう」
「お前らはひでえなあ」

 そうは言いつつも、月島は全く気にしていない。飄々とした、その態度が気に食わない。

「情報収集っつうのも、お前の目的は分かってるつもりだぜ」

 話が進まないので、月島が己から切り込んできた。

「メリーはオレたちに役割を与えてる。そいつらを探して欲しいんだろ」
「ああ。俺や沢村のような日陰者には、クラスメイトから情報を引き出すことは難しいだろう」

 沢村が少し納得いかなそうに俺たちの会話を見守る。情報収集に関して、沢村は全くの戦力外だ。女生徒との関わりが全くないに等しい。最近では他クラスとの接触が強制的に発生したようだが、目をつけられているようだしな。渡辺真緒、か。

「――勿論、普段と様子が違うやつも探せよ」
「了解~」

 軽く返事をする月島。「なんか、まるで飼い主とペットね。ってことは、私はペットの餌?」と、横から沢村の独り言が聞こえてくる。

「占いが出来る奴だけは分かってるぜ。立川だ」
「立川? それは……僥倖と言うべきか」

 昨日、樋脇から聞いた情報と合致する。これで確定と言う訳だな。

「他の奴らからは、午前中に聞き出せ」
「まっ、そんなうまくいくとは思わねえことだな。皆がみな、オレに何でも話す訳じゃねえ。どっちかと言えば、樋脇が話を聞きに行った方が、百パーうまくいくだろうよ」
「……それは頷ける話ではあるが」
「オレから頼んでおくか?」
「……好きにしろ」

 判断は月島に任せておく。

「ともかく、まずは立川から話を聞かないと――」
「僕がどうかしたんですか?」
「うわあっ!?」

 沢村が椅子から転げ落ちそうになったが、月島が脅威の力ぶりで、沢村の肩を掴んで支えた。こうして沢村は、女子への嫉妬を獲得していくのか。俺にも感じる矢印の方向。大変だなとしか零せない。

「そんなに驚いたんですか」

 立川が訝しむ。沢村たちの驚いた意味が理解できないようだ。

「いやあ、えっと。ははは」

 乾いた笑みを浮かべる沢村を気にも留めず、立川は教室を見渡した。

「どうやら皆さん、どんよりしてますね。昨日のことでも気にしてるんだか」
「どんより、で済んで良かったな」

 俺の呟きは誰の耳にも通らなかった。

「そりゃどんよりもするって。まっじで怖かったんだからな」

 立川の後ろから千堂も現れる。

「千堂が怖がりなのは、いつものことだろ」

 立川が遠慮なく、ばっさりと切って捨てるように言った。

「うわ~~そういうこと言っちゃう!?」
「千堂のことは放っておくとして、そんで結局犠牲はあったのか? 毎日一人ずつ、とか言ってただろ」

 月島が聞く。流石の月島でも分からなかったようだ。確かに空席はいくつかあるが、普段から遅刻癖のある者もいる。
 だが、昨日の事態は不安を煽ったのか、普段より早くクラスメイト全員が集まった。

「誰も――」
「ほーら! 誰も死んでねえじゃん! まったく騙されたぜ。なーにがメリーさんを探せだよ! どこのどいつが仕組んだんだ!」

 月島が口を開くよりも先に、廊下側に位置する男子生徒が叫んだ。不安でも爆発したのだろう。拳を握り、目も挙動不審だ。これが唯の悪戯だったら、どんなに良いことなのかも分かっていない。
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