87 / 111
第二章 わたし、めりーさん
爆発する不安
しおりを挟む
「いや、月島くんなら反撃できるのは分かってたつもりだけどさ。メリーさんを見つけることが出来なかったら、私たちはみんな死ぬのよね。でも月島くんだけ例外って、あり得る話なの?」
「月島の特性から鑑みるとな……お前、メリーからのメッセージは届いたのか?」
月島を一瞥すると、「いや。オレのところには一度も来てないな」と首を振った。
「え? でもあの時、月島くんが私にメールを見るように言ってきたじゃない」
「オレは千堂の携帯を見たんだ」
「千堂くんの……」
「お前にはメールが届いていないんだな?」
「ああ、そうさ。オレはお前たちのクラスメイトなのになあ。まさかの仲間外れって訳だな」
沢村が唇を尖らせ、「月島くんだけずるいわね」と呟く。
「もしお前まで標的だったら、メリーは大した悪食だと思った」
「それは確かに。狙ったら逆に捕食されそう」
「お前らはひでえなあ」
そうは言いつつも、月島は全く気にしていない。飄々とした、その態度が気に食わない。
「情報収集っつうのも、お前の目的は分かってるつもりだぜ」
話が進まないので、月島が己から切り込んできた。
「メリーはオレたちに役割を与えてる。そいつらを探して欲しいんだろ」
「ああ。俺や沢村のような日陰者には、クラスメイトから情報を引き出すことは難しいだろう」
沢村が少し納得いかなそうに俺たちの会話を見守る。情報収集に関して、沢村は全くの戦力外だ。女生徒との関わりが全くないに等しい。最近では他クラスとの接触が強制的に発生したようだが、目をつけられているようだしな。渡辺真緒、か。
「――勿論、普段と様子が違うやつも探せよ」
「了解~」
軽く返事をする月島。「なんか、まるで飼い主とペットね。ってことは、私はペットの餌?」と、横から沢村の独り言が聞こえてくる。
「占いが出来る奴だけは分かってるぜ。立川だ」
「立川? それは……僥倖と言うべきか」
昨日、樋脇から聞いた情報と合致する。これで確定と言う訳だな。
「他の奴らからは、午前中に聞き出せ」
「まっ、そんなうまくいくとは思わねえことだな。皆がみな、オレに何でも話す訳じゃねえ。どっちかと言えば、樋脇が話を聞きに行った方が、百パーうまくいくだろうよ」
「……それは頷ける話ではあるが」
「オレから頼んでおくか?」
「……好きにしろ」
判断は月島に任せておく。
「ともかく、まずは立川から話を聞かないと――」
「僕がどうかしたんですか?」
「うわあっ!?」
沢村が椅子から転げ落ちそうになったが、月島が脅威の力ぶりで、沢村の肩を掴んで支えた。こうして沢村は、女子への嫉妬を獲得していくのか。俺にも感じる矢印の方向。大変だなとしか零せない。
「そんなに驚いたんですか」
立川が訝しむ。沢村たちの驚いた意味が理解できないようだ。
「いやあ、えっと。ははは」
乾いた笑みを浮かべる沢村を気にも留めず、立川は教室を見渡した。
「どうやら皆さん、どんよりしてますね。昨日のことでも気にしてるんだか」
「どんより、で済んで良かったな」
俺の呟きは誰の耳にも通らなかった。
「そりゃどんよりもするって。まっじで怖かったんだからな」
立川の後ろから千堂も現れる。
「千堂が怖がりなのは、いつものことだろ」
立川が遠慮なく、ばっさりと切って捨てるように言った。
「うわ~~そういうこと言っちゃう!?」
「千堂のことは放っておくとして、そんで結局犠牲はあったのか? 毎日一人ずつ、とか言ってただろ」
月島が聞く。流石の月島でも分からなかったようだ。確かに空席はいくつかあるが、普段から遅刻癖のある者もいる。
だが、昨日の事態は不安を煽ったのか、普段より早くクラスメイト全員が集まった。
「誰も――」
「ほーら! 誰も死んでねえじゃん! まったく騙されたぜ。なーにがメリーさんを探せだよ! どこのどいつが仕組んだんだ!」
月島が口を開くよりも先に、廊下側に位置する男子生徒が叫んだ。不安でも爆発したのだろう。拳を握り、目も挙動不審だ。これが唯の悪戯だったら、どんなに良いことなのかも分かっていない。
「月島の特性から鑑みるとな……お前、メリーからのメッセージは届いたのか?」
月島を一瞥すると、「いや。オレのところには一度も来てないな」と首を振った。
「え? でもあの時、月島くんが私にメールを見るように言ってきたじゃない」
「オレは千堂の携帯を見たんだ」
「千堂くんの……」
「お前にはメールが届いていないんだな?」
「ああ、そうさ。オレはお前たちのクラスメイトなのになあ。まさかの仲間外れって訳だな」
沢村が唇を尖らせ、「月島くんだけずるいわね」と呟く。
「もしお前まで標的だったら、メリーは大した悪食だと思った」
「それは確かに。狙ったら逆に捕食されそう」
「お前らはひでえなあ」
そうは言いつつも、月島は全く気にしていない。飄々とした、その態度が気に食わない。
「情報収集っつうのも、お前の目的は分かってるつもりだぜ」
話が進まないので、月島が己から切り込んできた。
「メリーはオレたちに役割を与えてる。そいつらを探して欲しいんだろ」
「ああ。俺や沢村のような日陰者には、クラスメイトから情報を引き出すことは難しいだろう」
沢村が少し納得いかなそうに俺たちの会話を見守る。情報収集に関して、沢村は全くの戦力外だ。女生徒との関わりが全くないに等しい。最近では他クラスとの接触が強制的に発生したようだが、目をつけられているようだしな。渡辺真緒、か。
「――勿論、普段と様子が違うやつも探せよ」
「了解~」
軽く返事をする月島。「なんか、まるで飼い主とペットね。ってことは、私はペットの餌?」と、横から沢村の独り言が聞こえてくる。
「占いが出来る奴だけは分かってるぜ。立川だ」
「立川? それは……僥倖と言うべきか」
昨日、樋脇から聞いた情報と合致する。これで確定と言う訳だな。
「他の奴らからは、午前中に聞き出せ」
「まっ、そんなうまくいくとは思わねえことだな。皆がみな、オレに何でも話す訳じゃねえ。どっちかと言えば、樋脇が話を聞きに行った方が、百パーうまくいくだろうよ」
「……それは頷ける話ではあるが」
「オレから頼んでおくか?」
「……好きにしろ」
判断は月島に任せておく。
「ともかく、まずは立川から話を聞かないと――」
「僕がどうかしたんですか?」
「うわあっ!?」
沢村が椅子から転げ落ちそうになったが、月島が脅威の力ぶりで、沢村の肩を掴んで支えた。こうして沢村は、女子への嫉妬を獲得していくのか。俺にも感じる矢印の方向。大変だなとしか零せない。
「そんなに驚いたんですか」
立川が訝しむ。沢村たちの驚いた意味が理解できないようだ。
「いやあ、えっと。ははは」
乾いた笑みを浮かべる沢村を気にも留めず、立川は教室を見渡した。
「どうやら皆さん、どんよりしてますね。昨日のことでも気にしてるんだか」
「どんより、で済んで良かったな」
俺の呟きは誰の耳にも通らなかった。
「そりゃどんよりもするって。まっじで怖かったんだからな」
立川の後ろから千堂も現れる。
「千堂が怖がりなのは、いつものことだろ」
立川が遠慮なく、ばっさりと切って捨てるように言った。
「うわ~~そういうこと言っちゃう!?」
「千堂のことは放っておくとして、そんで結局犠牲はあったのか? 毎日一人ずつ、とか言ってただろ」
月島が聞く。流石の月島でも分からなかったようだ。確かに空席はいくつかあるが、普段から遅刻癖のある者もいる。
だが、昨日の事態は不安を煽ったのか、普段より早くクラスメイト全員が集まった。
「誰も――」
「ほーら! 誰も死んでねえじゃん! まったく騙されたぜ。なーにがメリーさんを探せだよ! どこのどいつが仕組んだんだ!」
月島が口を開くよりも先に、廊下側に位置する男子生徒が叫んだ。不安でも爆発したのだろう。拳を握り、目も挙動不審だ。これが唯の悪戯だったら、どんなに良いことなのかも分かっていない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる