Evergreen

和栗

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「りっくん」
真っ赤な顔の和多流くんに突然そう呼ばれて、びっくりして棒立ちになった。
「かんわいい」
くしゃくしゃと頭を撫でられる。呼ばれたことのない呼び方に、なぜか胸がそわそわした。
「たらいまぁ。早く会いたくて帰ってきたんだぁ」
って言ってるけど、夜中の2時ですよ。
インターホンを連打されてびっくりしましたよ。
今日はクマさん、犀川さんと飲み会を開いて夕方に出かけたらしい。お迎えはなかったので普通に家に帰りご飯を食べてのんびりしていた。
メッセージはこまめに届いたけどね。
でもてっきり酔い潰れて泊まって帰ってくるのかと思ってたから、まさかタクシーで帰ってくるなんて思わなかった。深夜料金だし、高くついただろうなぁ。
「お土産!」
「あ、うん、ありがと・・・」
なぜか白の靴下を渡された。新品。値札付き。コンビニで買ったらしい。
だいぶ酔っ払ってるなぁ。こんなに陽気に酔ってるの、初めて見たかも。
「りっくん、おかえりーは?ねぇ、ねぇ」
すごい力で引っ張られて、顔中にキスをされる。酒臭い!あと、なんだろう?揚げ物?おつまみ?あとタバコ?臭い!
「り、りっくんって??」
「えー?可愛くない?思いついちゃってね、呼びたくて」
「そうなの?あ、楽しかった?」
「うんー。りっくん自慢たくさんしてきた!白くてツヤツヤの肌・・・おれのものー!!」
「わぁ?!」
廊下に押し倒される。パジャマを捲っていきなりお腹に吸い付いてきた。
「うひゃ!?」
「んふふっ。ねー?ほら、目立つでしょー?」
「和多流くん、寝ようよ。遅い時間だよ」
「やだー。ねぇー、りっくん、甘やかしてぇー。早くー」
「わ、分かったから、着替えようよ」
なんとか抜け出して和多流くんを引っ張って、寝室へ連れ込む。脱がして、と甘えてくるので服を脱がせる。まぁ、満更でもないのだけど・・・。
体も赤くて熱っている。どれくらい飲んだの、と聞くとこれくらい、と親指と人差し指で大まかな量を教えてくれた。その隙間、5センチほど。絶対に嘘。
濡れたタオルをレンジで温めて体を拭いてあげると、こっちも!と子供みたいにニコニコしてチノパンを脱いだ。ボクサーパンツを脱ぎ捨ててベッドに腰掛ける。しょうがないな。
せっせと拭いていると、なぜか勃ち上がってきた。もー・・・!!
「和多流くんっ。寝なさい」
「やぁですー!しよ?ね?イチャイチャしよ??」
「しないよっ」
「ちんちん触ってくれたのに?」
「触ってない!拭いたの!拭けって言うから!!」
「歯磨きしたらいい?」
「よくない!」
「照れちゃってぇ。おれのデカチン好きなくせにー」
「好きじゃない!」
バカ!!
部屋着を投げてタオルを洗濯機に入れる。戻ると、裸のままだった。おれを見てヘラーっと笑う。
「和多流くん!」
「おれ、一番でかいんだよ」
「は?」
「さっき測ってみたんだけど、18.5センチ!ふふんっ」
18.5センチ・・・?
いつも使っている20センチ定規を想像する。え、嘘でしょ?
「・・・ナイフじゃん」
「犀川は17センチ、クマは17.7センチ。おれ、18.5センチ。涼くんが1番満足できてると思うよ」
「そんな話ししてきたの??」
「涼くんがエッチなことはおれが知ってればいいんです!ちなみに太さは4.5センチ!ふふっ」
「・・・こわい」
「え!?怖いの!?あんなにたくさんしたのに!?」
「具体的な数字を聞いたら怖いよ・・・」
「怖くないよー。たくさんほぐしてたくさん舐めてトロトロにするからね」
「しないしない!寝てよ!!」
「勃起おさまんないー。涼くんとしたくてたまんないー」
ガバッと抱きしめられて、押し倒される。腰の上に乗り上げ、両手を押さえられた。こうされたらもう抜け出せない。
て、いうか・・・!勃たせて測ったんだよね!?まさかおれの動画とか写真とか、見せてないよね!?あの2人の前で大っぴらに、広げてないよね!?
「お、もいぃ・・・!」
「りっくん・・・大好きだよ。可愛いよ。大きな乳首、見せてごらん」
服を捲られて、しゃぶりつかれた。
「あっ!あ、あ、」
「困ったねぇ?すぐ感じちゃうね?イヤイヤしてたのにねぇ?」
「ん、う、う、だめ、」
「こうかなぁ?これの方がいいかなぁ?」
キューっと摘まれてコリコリと扱かれた。胸が持ち上がり、腰が反る。
「ひぁあ、あ、あぁっ、」
「おっぱい柔らかいね。ほら、乳首も伸びるよ。可愛い~・・・好き・・・」
「あんん~!もぉ、やめ、」
「やめていいのかなぁ?こんなに可愛いのに。ほら、コリコリ・・・」
「う、くぅっ!」
「おっぱい飲んじゃおっと」
カプ、と食いついてジュルッと吸う。舌先で突きながら押し潰したり、歯を立てたり、好き勝手にいじった。
大きな手で反対の胸を揉み、柔らかくしていく。も、これ、やだ・・・。
最近揺れるんだもん・・・。
膨らんできたのか単に柔らかくなっただけなのか・・・すごく恥ずかしい。
「もぉやめて・・・」
「だめー。ちゃんと甘やかして・・・」
「く、口でしてあげるから・・・」
「・・・いいの?してくれるの?じゃあこっち!」
ニコニコしながらベッドに腰掛け、おれを跪かされる。いつもより少し濃い匂いのペニスを口に入れようとしたら、ねじ込まれた。
「んぶっ!?」
「イラマがいい。口犯すの好き」
「お゛ぇっ、ぶ、んゔぇっ、」
く、苦しい!
頭を押さえつけられ、下から突き上げられ、逃げ場がない。
いきなりは、苦しい。ポロポロと涙が溢れてくる。
「ぶぇっ、お゛ぇえっ、げほ、ぉ、」
「あー、いいなぁ・・・もっと締められる?」
「んぼっ、ぶ、ゔぅっ!」
首を横に振る。髪を掴まれて口からペニスが離れて、上を向かされた。
立って、と言われたので立ち上がると、ズボンもパンツも下ろされて、いきなりお尻を叩かれた。
「ひっ!?」
「締めて?ね?」
「あ゛!あ゛ぁんっ!」
ギューっとペニスを握り込まれ、何度も叩かれる。
「わ、分かった!します、するからぁ、」
「ありがと。お座りして、口開けて」
涙を拭いて床に座り、呼吸を整えようと俯くとまた乱暴に髪を掴んで上を向かされた。そして鼻を摘まれた。
「ぷっ、は!あぁっ!」
ペニスがねじ込まれる。パッと手が離されて、頭を押さえつけて腰をすすめた。
「ぐ、ゔぅっ・・・!」
「すっげー・・・!締まる・・・喉の奥、出してもいいよね?」
「ん゛!ん゛ん゛ん゛!」
う、今日、すごく苦い気がする・・・!
苦しいし、息継ぎが、できない。
でも、和多流くん、すごく良さそう。
目が合うと、ぐっと歯を食いしばった。
「くっそエロいな・・・」
「お゛ぇ゛え゛っ!!」
ズルッと奥に入ってきて咽こむ。
ジタバタともがくと、手が離れた。
「え゛ほっ!げほっ!!ぶえ、!ゔぇ゛えんっ、」
「もーちょっと・・・」
「ぐ、ぐるじぃ、やだ、」
「口でするって言ったの誰?」
「ら、乱暴なの、やだ、やだ、優しいの、」
「後でね?ほら、口開ける」
「んぶっ!」
また鼻を摘まれる。息ができないから、口を開けるしかなくて。
「あ゛、お゛ぉっ、んお゛っ、」
「あー・・・いい・・・」
「ゔーーー!!」
激しくピストンされる。だめだ、もう、吐く!
目を閉じた時、喉の奥に叩きつけられた。
熱くていつもより苦い精液。
喉を通って流れていく。
「ぶあ!げぼ、げほっ!」
「涼くん・・・すげーいいよ・・・可愛かった・・・」
「ひ、ひ、あ゛、げほっ、げほ、」
「次お尻ね?」
「い゛やっ!!」
床に押し倒され、ローションを塗りたくり指が押し込まれた。
ぐちゃぐちゃにかき回される。和多流くんが入るようにするための、ただ滑りを良くするための動き。
「う、う、うぅっ、」
「あー、可愛い。挿れるね?」
「や、だぁ!はいらないよぉ!」
「ん?入るよ?トロトロになったもん」
「ローション垂らしただけでしょ!こんなの気持ちよくない!」
「んー・・・?良くないの?えー?じゃ挿れたら気持ちーよ。ね?」
ぐっと腰を固定されて、押し付けられた。
え、ちょ、ちょっと待って、待って!
「やだってば!!バカ!!」
したくなかったけど、つい手を振り上げる。和多流くんはおれの手をパシッと受け止めると、ニヤッと笑った。
「情熱的だね」
「ちが、あ゛・・・!?い゛、や゛ぁ・・・!!」
無理やり入ってくる。ギューっと手を掴んで必死に耐える。痛い、かも・・・!!力、抜けない、抜く暇がない。
「ひ、ひぃ、ひぃい・・・!」
声が出なくて、ボロボロと涙が溢れた。
その時ふっと和多流くんが離れて、真顔のまま正座をして、脱ぎ捨てたシャツで下半身を拭いてくれた。
「わ、和多流くん・・・?」
「・・・今のはよくなかった」
「あ、う、うんっ、あの、」
「ごめんなさい」
あ、少し、酔いが覚めてきたかな??
ほっと息をついて同じように正座をする。クリクリと頭を撫でると、寄りかかってきた。
「明日、しよ?ね?」
「・・・いいの?」
「うん。・・・大丈夫だからね。ね?」
「・・・焦っちゃった」
「え?」
「好きでいて欲しくて焦っちゃった」
「好きだよ」
「どこが?」
「え?」
「どこが好き?教えて?」
眠そうに瞬きする。
何か不安になるようなことでもあったのかな。
みんなで話をしていてどこが好きなんだろうって思ったのかな。
「んと、優しいところと、おおらかなところと、ちゃんとおれを叱ってくれるところも・・・あと、ん、と・・・恥ずかしいけど、」
「うん」
「・・・お、おれのこと、大事にしてくれて、たくさん伝えてくれるところが、一番好き・・・」
「・・・当たり前のことじゃん?」
「そう思ってくれるところも好き。当たり前じゃないもん。・・・あ、あとは、お、おれのこと、好きな、ところが、好き・・・」
多分、これが一番だ。
恥ずかしくて俯くと、ちゅ、ちゅ、と頬にキスをされた。唇を押し付けると、柔らかく微笑んでくれる。
「おれも大好きだよ」
「へへっ・・・。焦らないで、いいからね」
「うん。ふふふっ。ごめんねぇ・・・」
フラフラしてきたので慌ててベッドへ寝かせると、強く抱きしめられた。
「んー・・・りっくん。んふふっ」
「・・・わっくん」
「りょーくん。りーくん。ふふっ。可愛い。りっくん」
「だいぶ酔ってるね」
「んー・・・」
「・・・お味噌汁作っておかなきゃなぁ」
「えー?いいのぉ?じゃあ、じゃあ、・・・ぅん・・・全部、美味しいから、・・・ん・・・」
言いながら、寝息を立て始めた。
寝入ったのを確認して軽くシャワーを浴び、また隣に寝転ぶ。一瞬眉間に皺を寄せて、すぐににやーっと笑った。手を握ると握り返してくれる。さて、明日覚えてるのかな。
まぁ、どっちでもいいんだけど・・・。



************************



「ゔー・・・」
「・・・起きられなさそうだねぇ」
「あたま、いてぇ・・・!」
眠い目を擦って起き上がり、お味噌汁を作った。
着替えを済ませて寝室を覗いてみると、和多流くんは枕に抱きついて頭を押さえ、唸っていた。
二日酔いとかするんだなぁ。
「だいぶ飲んだ?」
「ゔー・・・久々で、つい、」
「どれくらい飲んだの?」
「えー・・・?うぅ、お財布・・・」
「ん?あぁ、はい」
コートを漁って財布を出すと、開けてくれと言うので開けてみた。万札が2枚とレシート。
「2万円入ってるよ」
「うっわ、・・・4万も使ってる・・・」
「はぁ!?4万!?」
「ゔぅー!響くぅ・・・」
「あ、ごめん・・・」
「んー・・・だめダァ。思い出せない・・・」
「タクシーで帰ってきてたけど」
「マジで・・・?涼くん、ごめん、水欲しい・・・」
「うん。りっくんって呼ばないんだね」
どの程度覚えているのか探ってみる。すると、和多流くんはゆっくりゆっくり起き上がり、ギロっと睨みつけた。
「なにそれ、誰が言ったの・・・」
「ん?」
「りっくんなんて、誰に呼ばれてんの・・・!絶対にだめだから・・・!!」
あ、もう結構最初から記憶はないのね。覚えてないんだ。よかったー。
覚えてたらきっと塞ぎ込んで、最悪逃亡するかもしれないもん。
頭を撫でて寝るように促すと、しっかりと手を握り込んで不機嫌なまま寝転んだ。
「和多流くんがふざけて呼んでたんだよ」
「本当に?」
「うん。りっくんって。あだ名つけてくれて嬉しかった」
「・・・りっくんがいい?」
「何でもいいよ。おれのこと、呼んでくれるなら」
「・・・涼くんだし。涼くん」
「はい」
「・・・おれ変なこと言ってた?」
「ううん」
「なんかした?」
「してないよ」
「ほんとに・・・??腰さすってたよ」
よく見てるなぁ。
確かに腰は少し痛いんだよね。床に押し倒されたから。
「和多流くんが飛びついてきてバランス崩したんだよ」
「ごめん・・・」
「全然。お水とお味噌汁持ってくるね」
「・・・今日どこか行っちゃう?」
「え?行かないよ」
「・・・頭痛いよ、」
「うん、飲み過ぎだね」
「気持ち悪い・・・」
「吐きたい時言ってね」
「・・・幻滅しない?」
「あははっ!なんで?しないよぉ。するわけないじゃん。和多流くんだって酔っ払ったおれ見て、幻滅なんかしなかったでしょ?」
「・・・うん・・・」
「可愛いね。不安にならなくていいのに。おにぎりも食べる?」
「・・・食べる」
「持ってくるね」
「ごめん、シャワー浴びたいかも・・・」
「うん。行こ?」
手を引いてお風呂場へ押し込む。洗って、と言うので頭と体を丁寧に洗う。
ほぅ、と気持ちよさそうにため息をついて、腰を撫でた。
「・・・りっくんがいい?」
「えー?もぉ、何でもいいよ?わっくんがいい?」
「やだ」
「じゃあ、涼でいいじゃん」
「・・・涼」
ピクッと肩が跳ねる。
よ、呼び捨ては、やっぱりドキドキする・・・。和多流くんの声って低めだから、すごくうっとりしちゃうんだよな・・・。
「・・・ゔ、」
「へ?」
「ごめ、ちょっと、」
和多流くんが口を押さえた。
慌ててお風呂場から飛び出す。
さすがに見られたくないよね・・・。
ゲホゲホと苦しそうな咳が聞こえて、しばらくしてからノロノロと出てきた。
「大丈夫?」
「ん゛・・・ほとんどなにも出なかった」
「そか。もう少し寝る?」
「お味噌汁飲みたい・・・」
「お麩のお味噌汁だよ」
「うわ・・・絶対食べたい・・・ありがとう・・・」
ずず、と音を立ててお味噌汁を飲む。うーん、弱ってるなぁ。
「お金大丈夫?落としてない?」
「・・・なんか、確か、じゃんけんで負けて・・・」
「あははっ。なるほど」
「それが1軒目・・・」
「何軒ハシゴしたの?」
「覚えてないんだよなぁ・・・。気づいたら帰ってきてた」
「18.5センチって言ってたよ」
「・・・ん!?何が?」
「ペニス?」
「・・・うわー、いつ測ったんだ?」
「クマさんと犀川さんのサイズも暴露してたよ」
「うっそぉ!バカじゃねぇの。ガキじゃあるまいし・・・」
「自慢してたよ」
「つーかあいつらの前でフル勃起させたのか、おれ。バカかよ」
「ところで」
「ん?」
「どうやって勃たせたの?」
「・・・ん゛っっ!?う、わ、・・・え、嘘、もしかしておれ、涼くんの写真、あいつらに見せ・・・!?」
「可能性があるね」
「・・・嘘だ・・・!うわ、わ、・・・ごめんなさい・・・!!」
「記憶がないんだもんね?」
「・・・・・・た、多分、大丈夫・・・だって、だって、ロックかけてるし、簡単に開けないようにしてるし、酔ってたし、」
「和多流くんがロックかけてるんだから開くのなんて簡単じゃん」
ガタンっと椅子をひっくり返して立ち上がり、寝室に飛び込んで携帯を引っ張り出したかと思ったら、電話をかけ始めた。
イライラしたように貧乏ゆすりをしてあ!と声をあげる。
「クマ!?おい、お前、昨日の記憶ある!?・・・あぁ!?知るかそんなもん!!いいから答え、・・・うん。うん。おれも記憶がねぇ・・・」
くるっとこちらを振り返る。そっとおれに近づくと、緩く背中を押されて部屋から出された。
パタン、と静かに扉が閉まる。ん??
何だろ??
不審に思っているとおれの携帯が震えたので確認する。犬飼さんだった。
「もしもし」
『あぁ、春日部さん?今、もしかして藤堂さんが電話されてます?』
「はい、クマさんと」
『どうやら口裏を合わせているみたいですよ』
「え?」
『相当酔ってたみたいですし・・・余計なことを言って楽しんでた可能性がありますよ』
「あー・・・」
クマさんも何かやらかしたのかな・・・。犬飼さん、怒ると怖そうだなぁ。
あからさまな口裏合わせに少し笑ってしまう。
「うーん、何を話したんですかね」
『もし分かったら連絡をください』
「へ?」
『調子に乗りすぎです。ペラペラ余計なことを喋った挙句に散財して』
「こちらもだいぶ散財したみたいで・・・」
『5軒ハシゴしたようです』
「5軒!?」
『まったく・・・しばらく飲み会を控えさせたいんですけど、いいですか?』
「もちろん。5軒は想像してなかった・・・。どれだけ飲んだんですかね」
『普段強い3人がベロベロになるくらいだから相当でしょう。ついでに犀川さんもうちにいます』
「えー!?大丈夫ですか!?」
『後で説教です』
わ、怖そう・・・!!
通話を切ると、和多流くんがドアの隙間からこちらを見ていた。手招きすると肩を落として近づいてくる。
「5軒ハシゴだって」
「・・・はい、」
「何軒奢ったの?」
黙って指を2本立てる。ついため息をついてしまった。
「レシートある?」
「・・・これ」
「・・・結構あるね?」
「・・・」
「あと、コンビニでお酒も買ってるね。どこで飲んだのかな」
「・・・いや、それが、」
「で、どこまで話したの??」
「・・・それは本当に、覚えてません」
「ふぅん」
「・・・いや本当に、覚えてなくって!!ごめんなさい!」
「ごめんなさい??」
「いや、ほら、あの、」
「まぁいいや。覚えてないんだもんね?仕方ないよ。酔ってるし。今後、おれもきっと同じようなことするだろうし」
「・・・うぅうぅう・・・!本当にごめんなさい!もう飲みに行きません!」
「怒ってないよ?」
「・・・怒ってるよね?」
「散財には怒ってる」
トータルで大体4万強ね・・・。で、クマさんも散財してたということは・・・もしかしたら5軒じゃ済まないかもなぁ。
「しばらくは宅飲みだね。どうしてもクマさん達と飲むなら、クマさんのお店に行くかうちに呼ぶかだよ」
「・・・ごめんなさい」
「酔いは覚めたかな」
「覚めました・・・」
「今月、おれにお土産買ってくるのは禁止です」
「・・・ゔぞっ!?それは、それだけは、!!」
「いくら使ったと思ってるの?買ってきても絶対に受け取らないし、しばらく口、利かないからね」
「うぁああぁ・・・!!やだ、やだーー!!約束するから!口きかないのはやだ!」
「うん。約束ね。ほら、頭痛いでしょ。寝なよ」
「一緒に・・・!離れないで、」
「うん」
「写真とか、動画は、見せてないから・・・絶対に見せてないから・・・!」
「うん、分かったよ」
どうせ見せられた方も覚えちゃいないだろうし。
くしゃくしゃと頭を撫でながら落ち着かせる。
夕方頃にようやく起き上がった和多流くんは、しばらくお酒はやめます、と宣言した。
まぁ好きにさせておこう。どうせすぐ気が緩んでまた飲み始めるんだし。
はいはいと嗜めるように返事をすると、落ち込んだ。
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