【本編完結済】ヤリチンノンケをメス堕ちさせてみた

さかい 濱

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    九月に入り、大学生の長い夏休みもあと二週間ほどという頃、堀田から「毎日暑すぎ。飲みにいこーぜ」とメッセージが届いた。
    というか届いていた。僕はジムに来ていて、スマホを見るのが遅れた為、気付いた時にはもう二通ほどメッセージが追加されていた。
    春日部と堀田がビールジョッキを持ってヤンキーのような柄の悪い顔をしている写真と「遅く来てもワリカンだからな」というメッセージ。
    春日部と堀田は二人で飲み始めているらしい。まだ一通目のメッセージが来てから一時間しか経っておらず、時刻もまだ夕方の四時だというのに。

    さっとシャワーを浴びて、二人が待つ(多分待ってない)居酒屋へとタクシーで向かう。


    春日部と僕は、セックスまがいのことまでしてしまっているが、ちゃんと友人としての付き合いも出来ている。
    エロのスイッチさえ入らなければ僕も春日部も普通に会話できるし食事も出来る。僕の部屋で一緒にプロジェクターで映画を見ることだって出来る。……大概の場合。うん。映画の内容による。

    夜は毎日エロいことを存分にしているから、日中は長い賢者タイムみたいなものなのかもしれない。
    それと、別々に寝ているのも、切り替えに一役買っているのかもしれない。
    だから、こんな風に外で三人で飲む、ということになっても別に気まずくなったりはしない。



    いつものお手頃料金の居酒屋に着くと、二人は奥の座敷席に陣取っていた。
    店の客の入りは七割程度。平日のこの時間にしては混んでいる方だ。白いワイシャツ姿もちらほら見える。
    今日は猛暑日で、今もまだ外は30℃以上ありそうだ。みんながビールを求めてやってきているのだろう。

    遅れてごめんと言いながら、手前側に胡座をかいて座っていた堀田の隣に座り、おしぼりを持ってきてくれた店員に「なまちゅう」と告げる。

    ビールが届いたので、乾杯をする。疲れてなんていないのに、なんとなく「お疲れー」なんて言ってしまうのは何故なのか。

    二人はジョッキ三杯ほどを空けていたようで、テンションが高めだ。特に堀田はいつにも増して明るい。

    堀田は「生中なまちゅうって字面、何かエロくね?」と言って笑い「お前は中学生かよ」と春日部に呆れたように突っ込まれると「違いますぅ、なま学生ですー」と笑う。どこがどう面白いのか分からないが、堀田が笑うと釣られて笑ってしまう。

    いつも通り。
    下ネタに笑って、ダラダラと味の濃いつまみを食べて、喉を潤す。

    でも、いつも通りじゃないこともあった。
春日部がふとした瞬間に少しだけ浮かない顔をしているのだ。堀田は気付いてない。と言うか気付くはずがない。
    堀田は有頂天だったから。

    春日部の浮かない表情と堀田が有頂天なワケ。
    それが分かったのは、僕が二杯目の生ビールを飲み終わった後。
    堀田は店員に「生中3つ!」と頼んだ後、わざとらしく咳払いをして「町屋クン、ちょっと聞いてくれる?」とスマホ片手に距離を詰めてきた。
    内緒話をするように言われた言葉は「俺、彼女できたかも」。

    スマホの画面には二人で自撮りしたのであろう、写真。
    堀田より年上に見える女の人は、ふんわりとした雰囲気の可愛らしい人だ。
    二人の後ろには観覧車が写っているのでデートをした時のものなのだろう。

    堀田の『夢』は童貞と処女で付き合ってそのまま結婚すること。

    写真の彼女は、処女、なのだろうか。

    分からない。

    ゲイかノンケかの判別はなんとなく出来るが、処女か否かの判別は僕には出来ない。

    何にせよ、堀田はとても嬉しそうで、何枚も同じような写真を僕に見せながら、バイト先で出会ったことや、彼女の人となりなどを話していく。

「可愛いし、いい人そうだね。良かったね、堀田。」
「いやー、まだ、分かんないけど。かなりいい感じなんだよなァ。」

    デレデレと締まりない顔で笑う堀田は、早くも彼女に骨抜きにされているのだろう。

「次のデートとか約束した?」
「それがさー、まだ。どこがいいんだ?夏だしプールとか海か?こういうの春日部はさっぱりだろ?町屋クンだけが頼りなんだよ。」
「うーん。……水着になるのは女の子は勇気いるんじゃない?あまり暑くないところ、水族館とか、博物館とかは?」

    頼りとは言われても、チンポ脳の春日部ほどではないが、デートというものにはあまり縁がない。なので、無難すぎるほど無難な提案をした。

「お、いいな、水族館。俺魚好きだし。つか、なんて誘えばいい?あー、今メッセージ送っちまおうかな。うわぁー、緊張する。」
「いつにするの?」
「あ、シフト聞かないとだめだよな。確か来週あたり――」

「おっ、俺っ、焼きそば食いたい!!」

    突然の、春日部のカットイン。

「何だよ、春日部、勝手に頼めよ。こっちはお前の興味がない、恋のハナシってやつで盛り上がってンだよ。」
「お前らも、食うかと思って聞いてやったんだ。町屋、焼きそば好きだろ?何個頼む?ソース焼きそばと塩焼きそばどっちもあるぞ。両方二つずつ頼むか?」
「焼きそば四つも頼んでどーすんだよ。」
「お前には聞いてない。食うよな、町屋。あと、焼きそばと言えば、あんかけ焼きそばの麺はパリパリ派か?しっとり派か?俺はしっとり派だ。」
「はぁ?しっとり派なんているのかよ。パリパリ一択だろ?」
「僕もしっとり派かな。パリパリで口の中切ったことがあって。」
「お前ら軟弱者かよ!」


    強引すぎる話題転換。
    これは僕の為?
    惚気る堀田をこれ以上僕に見せないように、気を使ってくれたのだろうか。


    春日部の思いやりに心が温かくなった。
そのせいで飲み過ぎて、僕はいつになく酔っ払っていた。
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