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2話 最強スキルと余裕
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魔王……いや、父さんは『最高にクール』。
いつもそう思ってる。
それほど俺は父さんを尊敬しているのだ。
ただ最近心に芽生えてきた感情は、
――父さんがクールじゃなくて魔王ってのがクールなのかな?
「ふぅ……」
部屋の天井を見上げながら溜息を吐く。
窓の外を見てみると、鳥達……いや、鳥型の魔物が空を自由に飛んでいる。
「早く俺も魔王の座が欲しいなぁ。そしたら自由に勇者達とも遊べるのにぃー」
不幸かなぁ……魔王一族に生まれたら、魔王になるまでは人間とは戦えないのだ。
全くもって理解不能で妙な縛りである。
もしくは過保護なだけなのか……。
だが、こんな退屈な毎日を終えるチャンスが俺には来た。
2日前に魔界のしきたりについて教わったのだ。
――俺なら楽勝クリアだと思わざるおえないがな……フッ
口角を少し上げながら、上を見上げた。
もちろん、カッコつけて鼻で笑った訳では無い。
頂点に立つ一族の息子であるリアンにとっては、本当に鼻で笑ってしまうほど簡単な試験であったのだ。
しきたり――18歳になると、魔界の端ある一つの牢獄へ転送され、そこに住む魔物を全滅させると魔王になる資格を得られるというものだった。
そこに住む魔物は全て大罪を犯したものばかりだ。
詳しくは分からないが牢獄は無数にあるとされている。
大罪人を溜めていたらいつの間にかその地で繁殖していたらしく、牢獄もその分増えていったようだ。
「俺なら数分で牢獄1つ全滅させられる自信がある。いや、数十秒かも……?」
こんな簡単な試験を用意するなんてリアンには考えられなかった。
初期スキルは殆ど使い物にならないものが多く、【暗視】くらいしか覚えていないが、魔界最強スキルは全て習得済みだからだ。
だが、これはリアンだからこそ簡単であるのだ。
他の下級魔王からすれば、牢獄は一つ間違えば命を落としてしまう可能性もあり、一年掛けても全滅など到底不可能な地域だ。
リアンは不満を含む独り言をブツブツと呟いていた。
すると、突然ドアが開いた。
訪問者だ。
ノックもせず入ってくる者と言えば一人しかいない。
「リアンよ。」
――やっぱりな……!
魔王 ――父さんが少しにやけた顔で俺の部屋に入って来た。
ノックもせずにいつも入ってくるから心臓に悪い。別に何もしていないが。
「なに?」
「お前はあと一週間後に牢獄へ行く。その前に村下界にでも降りないか?勇者共の顔でも見て気合いを高めようではないか。」
自身に満ち溢れた声で高々と言い放つ言葉には何故か惹き付けられるものがあった。
――でも、村下界にはもう飽きた……!!
父さんには何十回も誘われてきた。いい事を言ってるようで本当は自分が行きたいだけなのだ。
でも流石にもう18歳になる……。
今日こそはガツンと言ってやろう……!!
少し息を吸い込んだ。
「父さん。いつもは言わないけど、俺、もう18歳になるし流石に飽きてきたよ。勇者や魔術師、普通の村人が平凡に住むだけの退屈な世界じゃん……。強さ的にマシな魔物もいるけど、遊ぶにしちゃあ弱すぎて話にならないよ。」
父さんは少し驚いたような様子だった。
「息子よ。怖いのか?怖がってはダメだ。勇者を前にして出向かない魔王がどこにいるのだ?」
ニコッと笑う顔は優しさに溢れ、魔王らしさを感じさせない微笑みをリアンに向けていた。
「お前ももうすぐ魔王になるだろ?」
――もう!! 屁理屈ばかり!!
それに乗っかかる俺も俺だが。
やっぱり言い逃げされるのは……俺のプライドが……ね??
「殺すの?」
――正直殺すなら行ってもいいんだよ。
「楽しみをわざわざ殺すわけないだろ~♪」
子供のようにワクワクとした口調で答える父親。
――くそっ!! 殺しはいつも通り無しと……。うきうきだ……。父さんは好きだけど、勇者|弄(いじり)りに付き合わされるのはもううんざりだ。殺すならまだしも……。まぁ言われっぱなしも嫌だから付き合ってやるけどよ……。
少し考えるふりをする。
すぐにYESと言う軽いヤツとは思われたくない。
「……いいよ。」
不服な表情で答えるが、父の顔は輝いていた。
「よし、決まりだな!今から行こうではないか。最強パーティーの勇者達が死んでからまた、新しく勇者が誕生したようでな。楽しみで仕方ない!!ハッハッハッ!!」
息子の表情はお構い無しと言うように高笑いをする魔王。
「ハハハ…...」
なんとなく合わせて俺も笑う。
これが父さんの悪い癖だ。最初だけ強さを見て後は野放し……。
早めに勇者達を殺しとけばここまでやってこないのに……。
ここまで来たって勇者ぐらい瞬殺出来るけど、入ってくるタイミングが分からない。見張りもつけないし寝込みをやられたら……って。
――ビビってるとかそんなんじゃないからな……!!!
心の中で一人で喋って一人で反撃している自分。
自分で言うのもなんだが、寂しいやつ……。
だが、こんな風に考えられるのは平和だったと言う事実を後に知る事となる。
なぜなら、今日が俺と父さんの悪夢の始まりだったからだ……。
いつもそう思ってる。
それほど俺は父さんを尊敬しているのだ。
ただ最近心に芽生えてきた感情は、
――父さんがクールじゃなくて魔王ってのがクールなのかな?
「ふぅ……」
部屋の天井を見上げながら溜息を吐く。
窓の外を見てみると、鳥達……いや、鳥型の魔物が空を自由に飛んでいる。
「早く俺も魔王の座が欲しいなぁ。そしたら自由に勇者達とも遊べるのにぃー」
不幸かなぁ……魔王一族に生まれたら、魔王になるまでは人間とは戦えないのだ。
全くもって理解不能で妙な縛りである。
もしくは過保護なだけなのか……。
だが、こんな退屈な毎日を終えるチャンスが俺には来た。
2日前に魔界のしきたりについて教わったのだ。
――俺なら楽勝クリアだと思わざるおえないがな……フッ
口角を少し上げながら、上を見上げた。
もちろん、カッコつけて鼻で笑った訳では無い。
頂点に立つ一族の息子であるリアンにとっては、本当に鼻で笑ってしまうほど簡単な試験であったのだ。
しきたり――18歳になると、魔界の端ある一つの牢獄へ転送され、そこに住む魔物を全滅させると魔王になる資格を得られるというものだった。
そこに住む魔物は全て大罪を犯したものばかりだ。
詳しくは分からないが牢獄は無数にあるとされている。
大罪人を溜めていたらいつの間にかその地で繁殖していたらしく、牢獄もその分増えていったようだ。
「俺なら数分で牢獄1つ全滅させられる自信がある。いや、数十秒かも……?」
こんな簡単な試験を用意するなんてリアンには考えられなかった。
初期スキルは殆ど使い物にならないものが多く、【暗視】くらいしか覚えていないが、魔界最強スキルは全て習得済みだからだ。
だが、これはリアンだからこそ簡単であるのだ。
他の下級魔王からすれば、牢獄は一つ間違えば命を落としてしまう可能性もあり、一年掛けても全滅など到底不可能な地域だ。
リアンは不満を含む独り言をブツブツと呟いていた。
すると、突然ドアが開いた。
訪問者だ。
ノックもせず入ってくる者と言えば一人しかいない。
「リアンよ。」
――やっぱりな……!
魔王 ――父さんが少しにやけた顔で俺の部屋に入って来た。
ノックもせずにいつも入ってくるから心臓に悪い。別に何もしていないが。
「なに?」
「お前はあと一週間後に牢獄へ行く。その前に村下界にでも降りないか?勇者共の顔でも見て気合いを高めようではないか。」
自身に満ち溢れた声で高々と言い放つ言葉には何故か惹き付けられるものがあった。
――でも、村下界にはもう飽きた……!!
父さんには何十回も誘われてきた。いい事を言ってるようで本当は自分が行きたいだけなのだ。
でも流石にもう18歳になる……。
今日こそはガツンと言ってやろう……!!
少し息を吸い込んだ。
「父さん。いつもは言わないけど、俺、もう18歳になるし流石に飽きてきたよ。勇者や魔術師、普通の村人が平凡に住むだけの退屈な世界じゃん……。強さ的にマシな魔物もいるけど、遊ぶにしちゃあ弱すぎて話にならないよ。」
父さんは少し驚いたような様子だった。
「息子よ。怖いのか?怖がってはダメだ。勇者を前にして出向かない魔王がどこにいるのだ?」
ニコッと笑う顔は優しさに溢れ、魔王らしさを感じさせない微笑みをリアンに向けていた。
「お前ももうすぐ魔王になるだろ?」
――もう!! 屁理屈ばかり!!
それに乗っかかる俺も俺だが。
やっぱり言い逃げされるのは……俺のプライドが……ね??
「殺すの?」
――正直殺すなら行ってもいいんだよ。
「楽しみをわざわざ殺すわけないだろ~♪」
子供のようにワクワクとした口調で答える父親。
――くそっ!! 殺しはいつも通り無しと……。うきうきだ……。父さんは好きだけど、勇者|弄(いじり)りに付き合わされるのはもううんざりだ。殺すならまだしも……。まぁ言われっぱなしも嫌だから付き合ってやるけどよ……。
少し考えるふりをする。
すぐにYESと言う軽いヤツとは思われたくない。
「……いいよ。」
不服な表情で答えるが、父の顔は輝いていた。
「よし、決まりだな!今から行こうではないか。最強パーティーの勇者達が死んでからまた、新しく勇者が誕生したようでな。楽しみで仕方ない!!ハッハッハッ!!」
息子の表情はお構い無しと言うように高笑いをする魔王。
「ハハハ…...」
なんとなく合わせて俺も笑う。
これが父さんの悪い癖だ。最初だけ強さを見て後は野放し……。
早めに勇者達を殺しとけばここまでやってこないのに……。
ここまで来たって勇者ぐらい瞬殺出来るけど、入ってくるタイミングが分からない。見張りもつけないし寝込みをやられたら……って。
――ビビってるとかそんなんじゃないからな……!!!
心の中で一人で喋って一人で反撃している自分。
自分で言うのもなんだが、寂しいやつ……。
だが、こんな風に考えられるのは平和だったと言う事実を後に知る事となる。
なぜなら、今日が俺と父さんの悪夢の始まりだったからだ……。
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