魔王の息子が勇者パーティに入りました。

にゃしゃ

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3話 死

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――魔界転送地区

魔界に唯一ある転送地区、ゴブリンやらオークやらが何体かウロウロしている。
月のクレーターのように凹んでいる部分に魔王とその息子は降りていった。

「さぁ、ゴブリン。始まりの街、フレアに転送してくれ。」

父さんは部下には威圧的だ。そこが部下にもうけて信頼されているんだろうが。
(基本下級魔族は強いものに従いたいドM根性が据わってるやつばかりだからだ。)

しかし、気になる点がひとつ。
前まではオークが担当していたのに何故ゴブリンに変わっているのだろうか?
ゴブリンの方が賃金が安いからか。
はたまた、オークが何かやらかしたか。


え?賃金が発生するのかって?
そりゃあ魔界にだって街はあるからね。


ふとゴブリンに目をやる。
ゴブリンが機械を操作している。
「デキ……マシタ……テンソウ……イタシマ……ス」
あっ、こいつ喋れたんだ。なんていうどうでもいい小さな気付きをしながら光へ身体が呑み込まれていった……。


目を開ける……。

――寒っ!?

どうやら洞窟の中のようだ。
すぐ横に父さんがいる。
「ここが始まりの街フレアの近くの洞窟だ。」

「そうなのか。勇者達はどこ……?」

「調査部隊によるともうすぐで入ってくるらし――」

「お、ここがランクD級の財宝が眠るという洞窟だなぁ~??」

父さんの言葉を遮るように勇者達の声が洞窟内に響いてきた。

能天気なやつらだな。

「しっ!静かにしろ!そうやって油断してるやつが1番最初に死ぬんだ。」

――多分こいつが勇者か。黒髪に身丈ほどある剣を持っている。あんなの使えんのか??見た目はまさに勇者だが。

「そんなこと分かってらぁ!」

――口調は強気だが、見た目は……弱そうだ。金髪で、ツインテール。髪先はカールされている。
腰には……え?一般的な包丁のようなものをさしているようだが……まぁ包丁ではないだろう。

「そうですよ。君は弱いんだから。弱いなりに後ろに隠れてなさい。」

――短髪銀髪だ。杖を持っているという事は魔術師か?用心しておくに越したことはないだろう。
「はぁ~!?お前には言われたくねぇーわー!!」

「うっせぇぞ。お前ら。」

――恐ろしい口調だ。協調性あんのか??黒いローブを|纏(まと)っている。全体的に黒いな。フードを被ってるため顔は見えないが、魔族のような格好だ。カッコイイ。能力は謎……。きっとあのローブの下に沢山のナイフでも隠しているのだろう。

――そしてなんか楽しそうだな…勇者一行……。
父さんの顔を見上げると悪い顔をしてた……。

――ニタニタすな!!  
と言いたい。

「ちょっとあいつらを力試しする♪」

いつものように楽しそうな口調で言う。
父さんは指先を銃口を向けるかのように勇者達の一番後ろにいた黒ローブを指した。

「はいはい。また光の銃やんのね父さん。」

いつも一番弱いスキル【閃光】(光の玉を飛ばす)で新人の勇者一行を|弄(もてあそ)んでるのである。

「まずは、一発♪」

――シュンッ。と光が飛んでいく。
もう一度言うが、一番弱い光スキルだ。

しかも、俺達魔族は生まれた時から闇スキル、つまり『黒魔術師』に分類されている。故に、光スキルは特に弱くなる。

「あんな弱いスキル打っても痛くも痒くもないよ?位置バレするだけでめんどく……」

――バタッ
「おいっっ!!!ガル大丈夫か!?」

勇者のパーティーメンバーが慌てだした。黒ローブヤローがぶっ倒れたのだ。

――横から血の気が引く音が感じられるように、鼻から空気をゆっくり吸い込む音が聞こえた。

俺は父さんの方へ眉をひそめ首を傾けた。
「むむむむむむ、息子よよよよよよよよ。あ、あ、あれ……死んでるのか……?」

横ではガクブルの口調にガクブルの身体な父さんがいた。

――え?は!?父さん…??かっこわるっ!!  

こんなにガクブルな父さん見た時が無かった。いつもは偉大な風して内面こんなんだったのかと少し……いや、かなり失望した。
17年間生きてきて初めて父さんにもった感情だ。
一瞬で落胆しちゃう俺って冷酷?

「だ、大丈夫だよね……?だって、光属性スキル打っただけだもん…♪基礎中の基礎スキルだし、黒魔術師の俺らじゃ他種職と比べるとその力は5分の1だよ?ね…??ね??」

 失望中の俺の気持ちをよそに、父さんはベラベラ喋り続けている。
 こんなに動揺してる父さんを見ると何だか息子の俺でさえ情けなくなる。
せめてもの救いが、部下……ゴブリン達がいない事だ。
 ホント良かった……。うん。心底思う。

「う、うん……まぁ多分気絶し――」

「――し、死んでる…」
 俺の言葉を遮り金髪女が結果を出した。
メンバーを一人失い絶望の海にいるというような顔だ……。
これははったりでも何でも無さそうだ。

「死んでる……なんで……。」

 今にも泣き出しそうな金髪女の声を聞いた瞬間。

「よし、魔界へ帰るぞ。」

そう言った父さんの横顔からは威厳が消えているように思えた。
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