難攻不落の精強軍隊 〜異世界転移してスローライフかと思ったら、乱世が舞台だったので世界統一を目指します〜

尾関 天魁星

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【第一章】第一次セトラ村攻防戦

【第六話】避難準備

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 セトラ村の北には山林が広がっており、そこで村の大人達は狩りを行っている。


 時には獲物を追って何日も山にこもるため、山の各所には小屋や庵が点在していた。


 その一つ一つの場所を把握しているのは、セトラ村の村民だけである。


 ここ何日か、村人総出でその小屋や庵に物資の運搬を行っていた。


 食糧はもちろん、僅かだが貴重品もある。


 もし王国軍が攻めてきたら、村を放棄して山に身を隠すのだ。


 もうすぐ冬になるので、雪が降ってしまえば、たとえ王国軍でも雪山には入って来れないだろう。


 僕も村の一員として、テジムや他の村人たちと共に荷馬車を引いて山と村を往復していた。


「なぁテジム、山に隠れたとして、それからどうするんだ?」


「分からないさ。でも多分、冬が終わる頃にはこの村は無くなっているだろうな」


 他の村人の表情も暗い。


 これまで王国に吸収されていった村の人達も、同じような気持ちだったのだろうか。


 ある夜、小屋で眠っていると誰かが戸を叩いた。


「俺だ、カシュカだ」


「どうぞ」


 僕はかすかに寝惚けながら、灯りをつけた。


「こんな夜更けに、すまない」


「いいえ、どうしたのですか?」


「本当はもっと早くに言うべきだったのだが、避難の段取りで忙しくてな」


「はい」


 カシュカは、懐から小さな袋を取り出して床に置いた。


「これは?」


「銭だ。多くはないが、しばらくの旅では困らないくらいにはある」


 中には、確かに銭が入っていた。


「旅? どういうことですか?」


「カイトは、訳あってこの村に滞在しているだけで、ここの村人じゃないだろう? だから、王国軍に襲われる前にこの村を離れるんだ」


 それを聞いて、僕はすぐに袋を差し戻した。


「え?」


「僕は、旅に出るつもりはありません。確かに偶然ここで厄介になってるだけですが、僕はこの村が好きになったのです」


「だが、しかし」


「それに、旅に出ても行く宛てがありません。多分、すぐに野垂れ死んでしまうでしょう」


 僕は冗談ぽく笑いながら言った。


「ここに残っても死ぬかも知れないんだぞ?」


「そうならない為に、準備をしているのですよね」


「それもそうだが・・・」


 渋々だったが、カシュカは諦めたようで、袋を懐に戻した。


 でも、村に残ろうと決めている自分が、不思議ではあった。


 高校生をしていた時なら、迷わず逃げていただろう。


 この村に来て、僕は何かが変わっているのだ。


 その夜は、寝ずにカシュカと語り合った。


 カシュカはカラバ村長の息子であり、この村の自警団の団長もしている人物だ。


 この村のことは、村長に次いでよく知っている。




 なぜ村長が王国の支配下に入るのを拒否したのかなど、様々な事を話してくれたのだった。
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