難攻不落の精強軍隊 〜異世界転移してスローライフかと思ったら、乱世が舞台だったので世界統一を目指します〜

尾関 天魁星

文字の大きさ
33 / 65
【第二章】蓮牙山同盟

【第三十二話】話の落ちどころ

しおりを挟む
 カシュカはしばらく喋らず、考え込んだ。


「カイト」


 不意に、カシュカが俺を呼んだ。


「連れてくるんだ」


 その言葉だけで、俺は何をすれば良いのか悟った。


「分かった」


 そう言い、俺はセトラ村まで駆け戻った。


◆◆◆◆◆


 カラバ村長の屋敷に、馬のまま入った。


 自警団の全員が、装備を整えて待機していた。


「カシュカが、ガンテスを連れて来るようにと」


 そう伝えると、拘束されたままのガンテスが馬小屋から引っ張り出され、馬に乗せられた。


「俺は、どうなるのだ」


「ゼフナクトという者が、あなたを連れ戻しに来ている」


「解放してもらえるのか?」


「それは分からない。ただ、無闇に殺す気はないだろう」


 そう言い、俺の他にも十騎の自警団員で村を出た。


 カシュカは蓮牙山の山賊たちを連れて村に向かっていたようで、すぐに合流した。


「ゼフナクト」


 ガンテスは、泣いていた。


「縄を解いてやれ」


 カシュカがそう言うので、俺はガンテスの後ろに周って縄を切った。


 頭領の二人は涙しながら抱き合うのだった。


「カイト、俺はまだ迷っている」


 カシュカが馬を寄せてきて言った。


「でも、ガンテスを解放した。考えが少しは変わったように、俺には見えるよ」


 カシュカの表情は、心なしか納得したように見えた。


「おい、カシュカと言ったか」


 再会を喜んでいたガンテスが、カシュカを見上げて言った。


「食糧の件は、無かったことにしてくれ。俺らは蓮牙山に戻り、何とかして王国軍の食糧庫でも襲おうと思う」


 腹を空かせた山賊に、それが出来るのか。


 下手をすれば、全滅する。


 高い正義感を持った彼らが、このまま消えていいのか。


 俺は、しばらく考えた。


 去ろうとした山賊たちを呼び止めたのは、カシュカだった。


「待て、食糧は分けてやる」


 頭領の二人が、驚いて振り向いた。


「実は、もしかしたらこうなるかも知れないと思って、村長に話は通してある。ただし、条件がある」


「その条件とは?」


「蓮牙山とセトラ村で、同盟を結びたいのだ」


 俺とカシュカ以外の全員が、声を上げた。


 俺も、彼らと協力関係を築けたらいいと思っていたのだ。


 蓮牙山の山賊達は、何度も王国軍と戦っているので戦闘経験がある。
 王国軍との戦いでは、きっと力になってくれるだろう。


「同盟か。俺たちは、具体的に何をすればいいのだ」


 ゼフナクトが言った。
 彼は身体を使うよりも、頭を使って戦をするのかもしれない。


「王国軍からセトラ村を守る為に、村の防備を設置してもらいたいのだ。蓮牙山を根城にしているのだから、その辺りの知識も持っているだろう」








 ゼフナクトは束の間考えた。


「分かった。その話、乗ろうじゃないか」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

最初から最強ぼっちの俺は英雄になります

総長ヒューガ
ファンタジー
いつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

処理中です...