難攻不落の精強軍隊 〜異世界転移してスローライフかと思ったら、乱世が舞台だったので世界統一を目指します〜

尾関 天魁星

文字の大きさ
45 / 65
【第三章】蓮牙山攻防戦・第二次セトラ村攻防戦

【第四十四話】ジラサ視点

しおりを挟む
 敵の騎馬隊の百騎は、我が軍の手前でしばらく動き回り、こちらの騎馬隊が動き始めると、すぐに蓮牙山の方に引き返していった。


 敵が撒き散らした糞尿によって、辺りが悪臭に満ちていた。


 損害は無いものの、非常に深刻な状態である。


「ジラサ隊長、レバピド総指揮官がお呼びです」


 総指揮官の側近である。


 あまりに悪臭が耐え難いのか、口と鼻を布で覆っている。


 ジラサは部下に身体を洗って汚れた具足を交換する様に指示を出し、レバピドの所へ向かった。


 同じ歩兵部隊の隊長であるナルガスと、騎馬隊の隊長のメチルーバも合流する。


 ジラサもナルガスも汚れた服のままだったが、メチルーバは嫌な顔一つしなかった。


 この三人は、軍に入ったばかりからの戦友なのだ。


「臭いな、もっと離れんか」


 開口一番、レバピドはそう言った。


 腹は立ったが、顔には出さない。
 他の二人も同じだった。


「騎馬隊が現れた時はどうなるかと思ったが、とんだ醜態を晒してくれたな」


 レバピドは、敵に腹を立てているようだった。


「それに、騎馬隊は何をしていた。もっと早く動き出していれば、敵が近付くこともなかったろうに」


 三人とも、深く頭を下げた。


「まあいい、俺は怒ったぞ。下品な山猿共め、痛い目を見せてやるぞ」


「恐れながら、こちらから攻めることはギンデロン将軍からも禁じられております」


 ジラサがそう言うと、レバピドが舌打ちをする。


「蓮牙山が先に仕掛けたのだ。このままやられっぱなしでは、兵の士気に関わるのだぞ」


 そうは言うが、レバピドの感情がそうさせているのだろう。


 戦に個人的な感情は不要だが、それすらも心得ていないのが、この総指揮官なのだ。


「異論は認めぬ。直ちに支度し、前進せよ。騎馬隊の二百は、敵の騎馬を警戒せよ」


 それだけ言い、解散した。


 三人とも納得していないが、軍令は絶対だった。


 部隊に戻ると、すぐに前進した。


 蓮牙山の麓ギリギリまで近付き、一旦停止する。


 麓にある城門はすぐ目の前で、数十人の山賊の顔まで視認出来るくらいだ。


 騎馬隊は、出てこない。


 すぐに駆け付けられる距離に騎馬隊が待機しているので、そう簡単には出れないのだろう。


 レバピドが、攻撃の指示を出す。


 始めに攻撃するのは、ナルガスの歩兵部隊ということになっている。


 ナルガスの号令で、四百の歩兵が一斉に走り出す。


 城門の上から、矢が放たれる。


 城門の手前には馬止めの柵や濠(ほり)があって、多少足を止められてしまう。


 その間にも、弓や投石が歩兵を襲う。


 城門に取り付く時までに、数十人が犠牲になるだろう。








「たった千人で、攻め落とせるわけがないだろうに」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

最初から最強ぼっちの俺は英雄になります

総長ヒューガ
ファンタジー
いつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

処理中です...