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【第一章】王都追放編
【第十二話】バーゲス監獄
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檻車での移動は、とても厳しいものだった。
食事は一日一回とされていたが、牢役人の気分次第で出されないことが度々あった。
出されても、パン一つであったり、護衛達の食べ残しなどである。
飢えは耐え難かったが、どうする事も出来なかった。
栄養状態が良くない事もあってか、拷問の時にできた傷はなかなか治らない。
壊死したり感染症に襲われなかったのが、奇跡なくらいだ。
監獄まであと数日という所で、五人目が死んだ。
あまりの過酷な環境に耐え切れず、気が狂った挙げ句に、バケツに溜めてある糞尿を食べだしたのだ。
そして彼は、安心した表情のまま動かなくなった。
死体は、通り掛かった林に捨てられた。
これまでの四人も、川に流したり、渓谷から落とすなどして処分している。
精神が狂いそうになるのを、必死に耐えた。
生き残っている他の囚人も、同じだろう。
ただザイフェルトだけは、出発の時から様子が変わっていない。
こんな環境に慣れているのか、それとも根本的に何かが狂っているのか。
僕にはいまいち分からなかった。
移送は街道を通っていたので、時々集落や街に立ち寄ることがあった。
もちろん僕たちは檻から出ることは出来ないので、中から様子を伺うことしか出来なかった。
率直に感じたのは、このテレスリアム王国には富と貧困の、両方が存在しているという事だった。
城壁に囲まれている都市には人や物が溢れているが、村や集落はかなり寂れている。
僕が日本しか知らないだけで、これがこの世界の当たり前なのだろうか。
やはり僕には、圧倒的に情報が不足している。
道中、何かを見掛けるたびにそう思った。
更に数日が経ち、王都を出発して二十九日を数えた今日、平地にある廃城のような建物が見えてきた。
「着いたぞ、あれが【バーゲス監獄】だ」
誰に向かって言ったのか、牢役人はそう呟いた。
脱走した囚人をすぐに見付けるためか、監獄の周りは平地で、木々が点在するだけだった。
護衛の騎馬が二騎だけ先行して駆け去っていき、しばらくして一騎だけが戻ってきた。
どうやら囚人の到着を連絡していたようである。
「ここは、王都からかなり離れてはいるが、比較的厳しくはない監獄だ。俺ら罪人にとっちゃ、不幸中の幸いだ」
ザイフェルトが、監獄に顔を向けながら言った。
「知ってるんですか?」
「まぁ、一応な」
含みのある言い方だったのが、僕は気になった。
だがしかし、深掘りする気にはなれなかった。
いくら厳しくない監獄だと言っても、監獄は監獄だ。
そこに居るのは罪を犯した囚人と、それらを監視して取り締まる兵なのだ。
気持ちが安らぐわけはなかった。
こうして、バーゲス監獄での囚人生活が始まろうとしていた。
食事は一日一回とされていたが、牢役人の気分次第で出されないことが度々あった。
出されても、パン一つであったり、護衛達の食べ残しなどである。
飢えは耐え難かったが、どうする事も出来なかった。
栄養状態が良くない事もあってか、拷問の時にできた傷はなかなか治らない。
壊死したり感染症に襲われなかったのが、奇跡なくらいだ。
監獄まであと数日という所で、五人目が死んだ。
あまりの過酷な環境に耐え切れず、気が狂った挙げ句に、バケツに溜めてある糞尿を食べだしたのだ。
そして彼は、安心した表情のまま動かなくなった。
死体は、通り掛かった林に捨てられた。
これまでの四人も、川に流したり、渓谷から落とすなどして処分している。
精神が狂いそうになるのを、必死に耐えた。
生き残っている他の囚人も、同じだろう。
ただザイフェルトだけは、出発の時から様子が変わっていない。
こんな環境に慣れているのか、それとも根本的に何かが狂っているのか。
僕にはいまいち分からなかった。
移送は街道を通っていたので、時々集落や街に立ち寄ることがあった。
もちろん僕たちは檻から出ることは出来ないので、中から様子を伺うことしか出来なかった。
率直に感じたのは、このテレスリアム王国には富と貧困の、両方が存在しているという事だった。
城壁に囲まれている都市には人や物が溢れているが、村や集落はかなり寂れている。
僕が日本しか知らないだけで、これがこの世界の当たり前なのだろうか。
やはり僕には、圧倒的に情報が不足している。
道中、何かを見掛けるたびにそう思った。
更に数日が経ち、王都を出発して二十九日を数えた今日、平地にある廃城のような建物が見えてきた。
「着いたぞ、あれが【バーゲス監獄】だ」
誰に向かって言ったのか、牢役人はそう呟いた。
脱走した囚人をすぐに見付けるためか、監獄の周りは平地で、木々が点在するだけだった。
護衛の騎馬が二騎だけ先行して駆け去っていき、しばらくして一騎だけが戻ってきた。
どうやら囚人の到着を連絡していたようである。
「ここは、王都からかなり離れてはいるが、比較的厳しくはない監獄だ。俺ら罪人にとっちゃ、不幸中の幸いだ」
ザイフェルトが、監獄に顔を向けながら言った。
「知ってるんですか?」
「まぁ、一応な」
含みのある言い方だったのが、僕は気になった。
だがしかし、深掘りする気にはなれなかった。
いくら厳しくない監獄だと言っても、監獄は監獄だ。
そこに居るのは罪を犯した囚人と、それらを監視して取り締まる兵なのだ。
気持ちが安らぐわけはなかった。
こうして、バーゲス監獄での囚人生活が始まろうとしていた。
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