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【第二章】バーゲス監獄編
【第十六話】新たな囚人
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ザイフェルトの過去を知った日の夜、僕は眠れなかった。
身体は労働で疲れ切っていて、いつもなら横になったらすぐに眠ってしまう。
しかし眠れなくなるほど、考えることが大き過ぎた。
ザイフェルトのように、身分制度の被害者がこの国には大勢居るのだろう。
本来なら英雄として迎えられるはずだった僕をも、裁判もなく一方的に罪人にするくらいなのだ。
国王、引いてはこの国そのものが、民を苦しめている。
ここの牢役人のヤン・ネーテンのように、その身分や職権を乱用する腐敗した役人も問題である。
上が腐るから、下も腐る。
ならば民たちを救うには、上を倒すしかないのではないのか。
頭の中でそんな考えをしていた時、ふと思い出した。
「【レジスタンス】、か・・・」
僕のジョブである。
厳しい生活が続いて忘れかけていた。
ジョブに沿った行動をとった時、ジョブの能力が発揮される。
国王は、そんなような事を言っていた。
ならば僕が反乱軍を組織しようと動いた時、何か特殊な能力などが使えたりするのだろうか。
待て待てと、自分に言い聞かせた。
自分から何かを変えようと動くような性格ではなかったはずだ。
クラスでも孤独だった僕だけど、友達を作ろうと動くことすらしなかった。
そうだったはずなのに、気付いたら民を救うために王政府を打倒するかどうかと考えている。
身の程をわきまえないのも、甚だしい。
下手に目立つようなことをして、処刑されたら元も子もないのだ。
僕は僕らしく、大人しく生きていこうと思った。
◇◇◇◇◇
その翌日のことだった。
通路を挟んだ向かい側の牢に、新しい囚人が入った。
「とんだ大男だな・・・」
「看守たちの噂じゃあ、近くの街で大暴れしたんだとさ」
「それでアイツを取り押さえるのに、衛兵が数十人も出動したって話だぞ」
コソコソと、他の囚人がそう言っているのが聞こえた。
確かに彼の身体は大きく、背も見上げるほど高い。
筋肉も他の囚人とは比べ物にならない程大きくて、数十人かかりで取り押さえたのも、嘘ではないかもしれない。
翌日の重労働から、彼は駆り出されていた。
数人がかりでようやく運べるような丸太を、彼はたった一人で運んでいた。
しかも汗をかくこともなく軽々と、である。
彼は口数は少なかったが、他の囚人からすぐに認められていた。
彼が沢山働くことで、自分たちの仕事が減るからという理由も、あるのかもしれないが。
ある日、荒れ地の開墾を命じられた日だった。
その日はたまたまザイフェルトと、例の大男も同じ仕事に振り分けられていた。
ザイフェルトと同じ労働に就くのは、あの日以来である。
ふと彼の姿を探すと、大男と何か喋っていた。
身体は労働で疲れ切っていて、いつもなら横になったらすぐに眠ってしまう。
しかし眠れなくなるほど、考えることが大き過ぎた。
ザイフェルトのように、身分制度の被害者がこの国には大勢居るのだろう。
本来なら英雄として迎えられるはずだった僕をも、裁判もなく一方的に罪人にするくらいなのだ。
国王、引いてはこの国そのものが、民を苦しめている。
ここの牢役人のヤン・ネーテンのように、その身分や職権を乱用する腐敗した役人も問題である。
上が腐るから、下も腐る。
ならば民たちを救うには、上を倒すしかないのではないのか。
頭の中でそんな考えをしていた時、ふと思い出した。
「【レジスタンス】、か・・・」
僕のジョブである。
厳しい生活が続いて忘れかけていた。
ジョブに沿った行動をとった時、ジョブの能力が発揮される。
国王は、そんなような事を言っていた。
ならば僕が反乱軍を組織しようと動いた時、何か特殊な能力などが使えたりするのだろうか。
待て待てと、自分に言い聞かせた。
自分から何かを変えようと動くような性格ではなかったはずだ。
クラスでも孤独だった僕だけど、友達を作ろうと動くことすらしなかった。
そうだったはずなのに、気付いたら民を救うために王政府を打倒するかどうかと考えている。
身の程をわきまえないのも、甚だしい。
下手に目立つようなことをして、処刑されたら元も子もないのだ。
僕は僕らしく、大人しく生きていこうと思った。
◇◇◇◇◇
その翌日のことだった。
通路を挟んだ向かい側の牢に、新しい囚人が入った。
「とんだ大男だな・・・」
「看守たちの噂じゃあ、近くの街で大暴れしたんだとさ」
「それでアイツを取り押さえるのに、衛兵が数十人も出動したって話だぞ」
コソコソと、他の囚人がそう言っているのが聞こえた。
確かに彼の身体は大きく、背も見上げるほど高い。
筋肉も他の囚人とは比べ物にならない程大きくて、数十人かかりで取り押さえたのも、嘘ではないかもしれない。
翌日の重労働から、彼は駆り出されていた。
数人がかりでようやく運べるような丸太を、彼はたった一人で運んでいた。
しかも汗をかくこともなく軽々と、である。
彼は口数は少なかったが、他の囚人からすぐに認められていた。
彼が沢山働くことで、自分たちの仕事が減るからという理由も、あるのかもしれないが。
ある日、荒れ地の開墾を命じられた日だった。
その日はたまたまザイフェルトと、例の大男も同じ仕事に振り分けられていた。
ザイフェルトと同じ労働に就くのは、あの日以来である。
ふと彼の姿を探すと、大男と何か喋っていた。
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