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【第二章】バーゲス監獄編
【第二十話】ヘルベルトの過去
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あの夜を境に、僕とヘルベルトは様々なことを語った。
僕がこの世界に召喚されて、この監獄に収容されるまでの経緯も話した。
拷問された時や、移送中に何人も囚人が死んだことなどを話すと、ヘルベルトは共感するように頷いてくれた。
逆に、ヘルベルトも自身の事を話してくれるようになった。
彼は旅人の身で、テレスリアム王国内にある採掘街が出身なのだそうだ。
父親が街の採掘場で働いていたが、ある日突然、王国軍に捕縛されて処刑されたという。
役人や軍からは、採掘した鉱石を盗んで無許可で売り捌いた罪だと言われた。
それを嘆いて母親は身投げして命を絶ち、ヘルベルトは幼い弟を連れて街を出たのだった。
その弟も長旅には耐えられず、街を出て半月後に死んでしまったそうだ。
「それは、辛かったね」
「もう、二十年も前のことですが」
ヘルベルトは、二十八歳だった。
「その後は、たった一人で何とか街を渡り歩き、修道院に保護されました」
彼にも、辛い過去を持っている。
ザイフェルトと、同じだと思った。
「私は、父親が罪を犯すとはとても思えなかった。稼ぎは少なかったが、幼い兄弟にお土産を買ってくれたりもしたのです」
幸せそうな家庭の風景が、頭の中に浮かぶ。
さぞ愛情に溢れた父親だったのだろう。
「どうしても納得がいかなかった私は、成人して修道院を出た後、当時の事件を調べました。すると、鉱石を横流ししていたのは、雇い主の方だったのです。父親は、雇い主の代わりに、処刑されたのです」
ヘルベルトの拳が、強く握られていた。
「そんな」
「この国では、よくあるのです。雇い主と軍の幹部は裏で繋がっていて、父親を犯人に仕立てあげて処刑したのです。保身のために」
ひどい話である。
しかも、そんな事がこの国ではよくある事だという。
ザイフェルトと出会った時も、同じようなことを言っていた。
「だから私は、役人も、軍人も嫌いなのです。父を処刑し、母を死なせた。何か自分に出来る事がないかと旅をしていた時、王都で英雄が召喚された事を耳にしたのです」
話が終わる頃には、僕の胸は締め付けられるように苦しかった。
政府を恨むのも、充分に理解出来る。
更に日が経つと、ザイフェルトも話しに加わるようになった。
彼もまた、不当に奴隷に落とされた過去を持つ。
ヘルベルトとザイフェルトも、すぐに近くなった。
僕が異世界から召喚された英雄だったということも、ザイフェルトに話した。
僕がレジスタンスのジョブの持ち主で、反乱を起こそうとしていることも話すと、ザイフェルトは僕の手を取り、固い握手を交わしてくれた。
こうして、産まれも年代も境遇も違う三人が、仲間になった。
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拷問された時や、移送中に何人も囚人が死んだことなどを話すと、ヘルベルトは共感するように頷いてくれた。
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その弟も長旅には耐えられず、街を出て半月後に死んでしまったそうだ。
「それは、辛かったね」
「もう、二十年も前のことですが」
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彼にも、辛い過去を持っている。
ザイフェルトと、同じだと思った。
「私は、父親が罪を犯すとはとても思えなかった。稼ぎは少なかったが、幼い兄弟にお土産を買ってくれたりもしたのです」
幸せそうな家庭の風景が、頭の中に浮かぶ。
さぞ愛情に溢れた父親だったのだろう。
「どうしても納得がいかなかった私は、成人して修道院を出た後、当時の事件を調べました。すると、鉱石を横流ししていたのは、雇い主の方だったのです。父親は、雇い主の代わりに、処刑されたのです」
ヘルベルトの拳が、強く握られていた。
「そんな」
「この国では、よくあるのです。雇い主と軍の幹部は裏で繋がっていて、父親を犯人に仕立てあげて処刑したのです。保身のために」
ひどい話である。
しかも、そんな事がこの国ではよくある事だという。
ザイフェルトと出会った時も、同じようなことを言っていた。
「だから私は、役人も、軍人も嫌いなのです。父を処刑し、母を死なせた。何か自分に出来る事がないかと旅をしていた時、王都で英雄が召喚された事を耳にしたのです」
話が終わる頃には、僕の胸は締め付けられるように苦しかった。
政府を恨むのも、充分に理解出来る。
更に日が経つと、ザイフェルトも話しに加わるようになった。
彼もまた、不当に奴隷に落とされた過去を持つ。
ヘルベルトとザイフェルトも、すぐに近くなった。
僕が異世界から召喚された英雄だったということも、ザイフェルトに話した。
僕がレジスタンスのジョブの持ち主で、反乱を起こそうとしていることも話すと、ザイフェルトは僕の手を取り、固い握手を交わしてくれた。
こうして、産まれも年代も境遇も違う三人が、仲間になった。
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