クラスカースト最下位の僕、ジョブが【レジスタンス】だったので追放されました。でもなんかムカつくので実際に反乱軍を組織して国家転覆を目指します

尾関 天魁星

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【第四章】

【第四十五話】寝れない夜

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 ~王国暦七一〇年 二月~
 
 
 眠れない夜が、時々あった。
 
 
 刺客に短剣を刺した感触が、蘇ってくるのだ。
 
 
 初めて人の命を奪った瞬間だった。
 
 
 ハンス老人と修行をしている時にも、時々思い出す。
 
 
 忘れなければならないと思うと同時に、忘れてはならないという思いもあった。
 
 
 反乱を起こそうとしている以上、この先も人の命を奪うことになるだろう。
 
 
 その度に、僕は後悔するのか。
 それとも、慣れていってしまうのか。
 
 
 このままでは寝付けないと思い、外に出た。
 
 
 雪は降っておらず、風もない。
 
 
 だが積もった雪は多く、麓に降りれるようになるのはしばらく先だった。
 
 
 それまでに、修行して強くなる。
 
 
 そう心に決めていた。
 
 
「まだ寒いな」
 
 
 ザイフェルトが、そばに来て言った。
 
 
「ハンス老人は、四月になるまでは麓に降りれないと言っていたぞ」
 
 
 喋ると、息が白かった。
 
 
 ザイフェルトは最近、書物を読むことに夢中になっていた。
 
 
 修行を終えて小屋に戻ると、いつも書物を読んでいるのだ。
 
 
 内容は様々で、歴史書だったり、占星術についてだったりする。
 
 
 僕も何冊か読んでみたが、かなり難しい物がほとんどだった。
 
 
 この調子なら、雪が溶ける頃には全ての書物を読み尽くしてしまいそうだった。
 
 
「ユキト、俺はヘルベルトに文字を教えてもらい、学ぶ楽しさを知った。そしてここで書物を読み、更に知識を得たいと思った。得た知識は、きっと俺たちの目標に役に立つ」
 
 
 ザイフェルトは、自信を持ったようにはっきりと言った。
 
 
「そうだね、大きな反乱を起こそうとしたら、腕っぷしが強い人だけではいけない。頭を使って闘う人も、必要になるだろうし」
 
 
 ザイフェルトは笑った。
 
 
 笑うと、やはり白い息が宙に舞った。
 
 
「そうだ最近、ヘルベルトの元気が無いようなんだが」
 
 
 それは、僕も気にかけていたことだった。
 
 
 中々怪我が治らないことで落ち込んでいるのか、それとも他に理由があるのか。
 
 
 面と向かって気持ちを聞く勇気は無かった。
 
 
「監獄からここまで色々とあったし、思うことがあるんだろう」
 
 
 僕だって、短剣で腹を刺した感触が消えないのだ。
 
 
「そういうものか」
 
 
 ザイフェルトが言う。
 
 
 そろそろ、身体が冷えてきた。
 
 
「なぁ、ユキト。本当に反乱を起こしたら、俺たち三人は生き残れるだろうか」
 
 
 初めて寂しそうにザイフェルトが言った。
 
 
「それは分からないよ。ただ、たとえ誰かが死んでも、やり遂げなければならないと思っている。三人ともが死んでも、その志は誰かが受け継いでくれると信じてる」
 
 
 柄にも無いことを言ってしまったと思い、少し恥ずかしかった。
 
 
 
 
 
 
 
「そうか、志か」
 
 
 ザイフェルトが、再び笑った。
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