クラスカースト最下位の僕、ジョブが【レジスタンス】だったので追放されました。でもなんかムカつくので実際に反乱軍を組織して国家転覆を目指します

尾関 天魁星

文字の大きさ
46 / 50
【第四章】

【第四十六話】武術に必要なもの

しおりを挟む
 修行の日々は、続いていた。
 
 
 まだ、ハンス老人に勝てたことは一度もない。
 
 
 やはり、心のどこかに迷いのような物があった。
 
 
 漠然とした迷いだったが、ハンス老人と立ち合っている時、ふと刺客の腹を刺した時のことが蘇るのだ。
 
 
「この所、剣を振るにも槍を突くにも、鋭さが足りん」
 
 
 修行中、ハンス老人が寄ってきて言った。
 
 
「すみません」
 
 
「なにか、迷いがあるように見えるぞ。初めて立ち合った時から、それは感じていたが」
 
 
 さすがはハンス老人だった。
 
 
「一度休み、茶を飲もう」
 
 
 そう言って、僕とハンス老人は上衣を羽織り、丸太の上に腰掛けた。
 
 
 ザイフェルトが、暖かい茶を運んでくる。
 
 
 最近は、家事はザイフェルトが中心にやっていた。
 
 
「さぁ、話してみなさい」
 
 
「バーゲス監獄で、刺客に襲われたことは話しましたよね」
 
 
 召喚されてからここに来るまでのことは、全てハンス老人に話してある。
 
 
「その刺客との闘いで、僕は刺客の腹を短剣で刺したのです」
 
 
 そう言って、僕は腰に差してある短剣を見せた。
 
 
 あの時は必死で、刺客を倒した後もずっと持ち続けていたのだった。
 
 
「刺した時の感触が、忘れられないのです。このまま強くなっても、あの感触は味わいたくない・・・」
 
 
 短剣は、手入れをしていないので、かなり汚れていた。
 
 
 ハンス老人が、ゆっくりと茶をすすった。
 
 
「そうか」
 
 
 一息付きながら、ハンス老人は言った。
 
 
「武術を志す者にとって、その様な悩みは誰しもが持つことじゃ」
 
 
「そうなのですか」
 
 
 ハンス老人もそうだったのかと思ったが、口には出さなかった。
 
 
「武術には、気合いや鍛錬は勿論、恐怖や後悔さえも必要になるのじゃよ」
 
 
「どう必要に、なるのですか」
 
 
 哲学的な話だと思った。
 
 
「それは、修行を通して己で見極めるしかあるまい」
 
 
 僕も茶をすすり、短剣を見つめた。
 
 
「ひとつ助言をするとしたら、そうじゃな。その短剣は肌身離さず、親友のように過ごすことじゃ」
 
 
「親友、ですか」
 
 
 ハンス老人が言っていることが、よく分からなかった。
 
 
「今日の修行はそれ位にして、これから武器の手入れの仕方でも教えよう」
 
 
 ハンス老人が茶を飲み干し、立ち上がった。
 
 
 僕も残った茶を飲み干し、後に続く。
 
 
 それからの数日は、常に短剣と共に過ごした。
 
 
 修行の時も携帯し、剣や槍などではなく、その短剣を使った闘い方を中心に修行した。
 
 
 狩りに出る時も、風呂や寝る時も、常に短剣を差し、そこにあるという事を意識し続けた。
 
 
 寝る前には必ず短剣を手入れして、サビやくもりは一切無いようにした。
 
 
 
 
 
 
 
 それを続けていたある日、不思議と短剣が手に馴染み、いつもよりも思うように短剣を遣えるようになっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

神様の失敗作ガチャを引かされた俺(元SE)、ハズレ女神たちと寂れた異世界を「再創生(リ・ジェネシス)」する

月下花音
ファンタジー
過労死した社畜SE・天野創が転生したのは、創造神に見捨てられた「廃棄世界」。 そこで待っていたのは、ポンコツすぎて「失敗作」の烙印を押された三人の女神たちだった。 「麦が生えない? ……ああ、これ土壌パラメータの設定ミスですね」 「家が建たない? ……設計図(仕様書)がないからですよ」 創は持ち前の論理的思考と管理者権限を駆使し、彼女たちの「バグ(欠点)」を「仕様(個性)」へと書き換えていく。 これは、捨てられた世界と女神たちを、最強の楽園へと「再創生」する物語。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

処理中です...